BtoB製造業にとってレバレッジの高い情報発信という施策
製造業DXを手掛ける注目のスタートアップ、キャディの加藤勇志郎社長が面白いことを言っていました。
レバレッジとはてこ。小さな力で大きな成果を得られる=費用対効果が高いということです。
曰く、認知の向上によって、
「お前ら誰だ?帰れ!」と言われることが大幅に減った
課長以上の1/3がキャディの壮大なゴールを知っているので、当社経営層とディスカッションすること自体に価値を感じてもらえるようになった
会話のはじまりが、「安くなるよね?」から、「調達全体を改革しましょう」に変化した
そう。
スタートアップは持つものが少ないので、小さな力でも進められる情報発信を駆使して自分を語り、人や資金を集め、開発を加速し、商談につなげるポジティブスパイラルを作りだし、ビジネスを軌道にのせます。
キャディは、メディアへの出演やnoteをはじめとするSNS、セミナー等のイベント登壇など、ありとあらゆる情報発信手段を社員総出で駆使し、創業わずか4年で250人もの規模に急成長を遂げました。また、80憶円という巨額の資金調達も実現しました。あまたある日本のスタートアップの中でも、群を抜いて情報発信のレバレッジ効果を引き出した会社だと思います。
中でも、低コストで活用できるインターネットは、情報発信のレバレッジ性をさらに高めました。キャディは、それを余すことなく使い倒したと言えるでしょう。
そしてもちろん、情報発信のレバレッジ性は、スタートアップだけの専売特許ではありません。成熟期のBtoB製造業にとっても、高い費用対効果があるのです。
当然ながら、BtoB製造業は、まず優れた技術やビジネスの開発に力を注ぎます。モノを開発することが生業ですから、生まれてこのかたずっとそれをやってきている。今できる100の事に対して、すでに90くらいは手をつけているイメージです。
一方、情報発信については、その生業から二の次になるのは仕方ないとして(僕は両輪と思っていますが)、情報発信をしなくても取引先に通えばモノが売れた時代が長く続いたことと、日本人の控え目な気質が相まって、とてもではないが、やりきった状態には程遠い。今できる50の事に対して、まだ10しか手をつけていない感じです。
となると、情報発信でやれることはかなり大きい。
考えてみてください。100のうち90までやっている技術・ビジネス開発であと10伸ばすのはなかなか大変なことだし、できても100/90=11%の伸び。かたや、50のうちまだ10しか手掛けていない情報発信でなら、あと10伸ばすのは比較的簡単だし、40伸ばせば、なんと50/10=400%の伸びになるのです。
これは本当に大きなレバレッジです。
手掛けてこなかったからこそ、大きな伸び余地があるのが、BtoB製造業にとっての情報発信なのです。
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