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自己紹介代わりに好きな本を羅列する

けっこう本読んできたけど、中でも生涯読み続けたい本だけ厳選して紹介します。

・ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』
→哲学書。私の専門。バイブル。冒頭一行で世界の画素が上がる。色彩が豊かになる。世界中の痛みをじかに感じる。最後の無についての話を読み終わった時、不思議と爽やかな気持ちになっている。

・ショーペンハウアー『読書について』
→哲学者のエッセイ集。結論だけ言うと「悪書をできるだけ少なく読み、良書をできるだけ深く読め」「言葉を正しく使え」。今読んでも尚新しい。「知識人ぶりたい人々」への痛快な悪口。文章を読むとは?書くとは?物書きと本好きは必読。

・和辻哲郎『倫理学』
→哲学書。私の専門。バイブル。人間という字は「人の間」。「信頼」と「間柄」なくして、個々の人もあり得ない。裏切りも信頼があってこそ。あったかくて泣けてくる。なのによくよく客観的に見たら超システマティックでドライな思想体系で面白い。

・エミリーブロンテ『嵐が丘』
→小説。登場人物が多くてごちゃごちゃっとしてるし、そのくせ手放しで褒められた人間が一人もいないし、起承転結もクソもない気がするんだけど、なんか本全体として魅力的なんだよなぁ。脳内再生がしやすい。日本人の私から見て、「西洋の風〜」みたいなのを一番感じる本。

・谷崎潤一郎『春琴抄』
→小説。とても綺麗な日本語。語り口の多層構造が技巧的。朗読で聞くのめちゃくちゃおすすめ。なんだかんだ「秘め事」が一番エロい。純愛と思いきや全然純愛じゃない。アガペーじゃない。めっちゃ見返りを求め合う愛。つまりエロス。

・江戸川乱歩『芋虫』
→短編小説。発想が神がかってる。センシティブでドキッとするテーマ。こっちのが純愛。身障者と介護者、それを傍観する人たちのリアルが際立つ。「気持ち悪」とか「胸糞悪」とか「怖」と思って、そう思ったことに自己嫌悪しながら読むようなお話。気持ち悪くて悲しくてやりきれなくて美しくて、全然他人事じゃないお話。

・安部公房『砂の女』
→小説。ファンタジーなんだかリアリズムなんだか、もうよくわからんけどすごい話。渇きをもたらす「砂」。生活を圧迫してくる「砂」。にもかかわらず手応えがない「砂」。「砂」と向き合う生活。生活ってなんだっけ?みたいな。とても象徴的。

・江國香織『すみれの花の砂糖漬け』
→詩集。これを読む時だけは10代の少女に戻らなければならない。恥ずかしくて。褒めてる。「「大人の私」を空想する少女」みたいな詩集。

・安野モヨコ『脂肪という名の服を着て』
→漫画。美しい人間が全然出てこなくて最高。「心がデブなんだもの」という名言残すおねえさんだけが美しい。

・コナリミサト『凪のお暇』
→絶賛沼ってる。休載中の漫画。これに共感しない女とは仲良くできません。空気は読むもの/吸うもの。息ができる/できない。「せっかくのお暇なんだから」、お暇が終わった暁には慎二くんとヨリを戻してほしい。絵がゆるゆるで可愛いし、ライフハック的な魅力あるごはんがたくさん出てくる。

千原ジュニア『14歳』
→ノンフィクション小説?思春期のヒリヒリ感がこれ以上なく表れてる。私史上一番。サクッと読めるけど、何百回でも読む価値がある。親も読むべき。何回でもこのヒリヒリ感を思い出すべき。「もう少しだけ待っててください」。親も子供も、ヒリヒリっとして、泣けるシーンなんかないのになんでか涙が出てきて、読後にはフッと生きるのが楽になる。ジュニアさんが飾らず素直に書いたからだろうか。

翻訳家に左右されるからか、海外の本が少ないなぁ。
上記列挙した本についてならいつでも誰とでも語らいたいです。

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