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ブルアカ感想

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ブルーアーカイブの感想
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記事一覧

第六の古則「非有の真実は真実であるか」について

第六の古則「非有の真実は真実であるか」について

 満を持して語られた第六の古則。その文言は今までの古則の中でももっともシンプルだったが、それだけに非常に意味が取りづらくもあった。しかも、これまではセイアとか連邦生徒会長が比較的わかりやすく解説してくれたのに、今回は古則の話を持ち出したのが地下生活者なのでいかんせんどこまで真面目に読んで良いのかわからない。
 とはいえ、アビドス編3章のメッセージ性自体はわりと明快なので、そのあたりを補助線にして考

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ブルアカ『対策委員会』3章感想──小鳥遊ホシノの長いお別れ

ブルアカ『対策委員会』3章感想──小鳥遊ホシノの長いお別れ

 ブルーアーカイブのメインストーリーアビドス対策委員会編第3章(夢が残した足跡)の感想です。全面的にネタバレを含みます。

 素晴らしかった。序盤は債権者組合の仕組みがよくわからん!とか契約書どうなってんだ?とか文句を言いつつ読んでいたが、途中からそういう細かいことがどうでも良くなってくる展開になり、ヒナ参戦後はずっと最高な瞬間が更新され続けていた。圧倒的な熱量と演出でねじ伏せてくる気迫があった。

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ブルアカ『-ive aLIVE!』感想──放課後スイーツ部の距離感

ブルアカ『-ive aLIVE!』感想──放課後スイーツ部の距離感

 ブルーアーカイブのイベント「-ive aLIVE!」の感想です。同イベントの他に、イベント「甘い秘密と銃撃戦」や関係人物の絆ストーリー等の内容に触れています。

 ふだんはイベントの感想を書いたりしないんだけど、今回ばかりは興奮醒めやらぬという感じで書いている。それくらい良かった。
 前回の放課後スイーツ部イベント「甘い秘密と銃撃戦」はブルアカのイベント全体のなかでもトップクラスに好きな話で、「

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『伝道の書に捧げる薔薇』はアリウススクワッドの元ネタなのか?

『伝道の書に捧げる薔薇』はアリウススクワッドの元ネタなのか?

 ブルーアーカイブに登場するアリウススクワッド(およびアリウス分校)のモチーフ(元ネタ)のひとつはロジャー・ゼラズニイのSF小説「伝道の書に捧げる薔薇」なのではないかと思ったので、それについて説明する。
 あとそんなこととは関係なく『伝道の書に捧げる薔薇』は傑作短編集なので、これを読んだひとが少しでも興味を持ってくれたら嬉しい。

 ロジャー・ゼラズニイはアメリカのSF作家で、短編小説「伝道の書に

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ブルアカ『百花繚乱編』1章感想──物語る行為の裏と表

ブルアカ『百花繚乱編』1章感想──物語る行為の裏と表

 ブルーアーカイブのメインストーリー百花繚乱編第1章(いつかの芽吹きを待ち侘びて)の感想です。あまり整理できていないので取り留めない感じになっています。

 ネタバレを含みます。

 

 物語る行為について

 物語というのは基本的にフィクションだけど、物語るという行為は必ずしも虚構のみを対象にしていない。つまり、まったくの嘘八百を物語ることも可能だし、現実に起こった出来事を物語ることも可能だ。

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ブルアカ『カルバノグの兎』2章感想──「何でもしますから」

ブルアカ『カルバノグの兎』2章感想──「何でもしますから」

 ネタバレあり(エデン条約1~4・最終編・カルバノグ1~2)

 RABBIT小隊が変わっちまった憧れの先輩たちに戸惑いつつも、やっぱ違うだろ!とNOを突きつける展開はシンプルに熱い。一方のFOXもRABBITにかつての自分たちを見出して投降するというのも、ベタながら良かった。思えばこのゲームは学園RPGを謳いながら、こういう直球の先輩-後輩ものをやってこなかったから妙に新鮮だった。
 定番の共闘

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ブルアカ『あまねく奇跡の始発点』感想③──誰にも帰責できない奇跡の話

ブルアカ『あまねく奇跡の始発点』感想③──誰にも帰責できない奇跡の話

最終編4章(完結)までのネタバレを含みます。

↓過去の感想

 ストーリー更新があったばかりで、ちょっと興奮醒めやらぬ気持ちだが、いろいろ考えることもやめられないので吐き出していこうと思う。思えば1月からほんとうに更新があるたびに感情を揺さぶられ、良い意味で翻弄され続けてきた激動の日々だった。やりきったなあ……ブルーアーカイブ。

プレナパテスについて

 途中まで単なるATMかと思ったプレナパ

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ブルアカ『あまねく奇跡の始発点』感想②──勇者の資格

ブルアカ『あまねく奇跡の始発点』感想②──勇者の資格

 最終編3章までのネタバレを含みます。

 ↓ 前回の感想

連合作戦

 なんといってもペロロジラvsカイテンFX Mk.∞ですよ。すごすぎる……。特にロボが理屈とかなく巨大化するというジェットジャガーのオマージュもあり、特撮をふだん見ない自分でも激アツになれた。なにより、ペロロジラもカイテンFXもすでにプレイヤーが「知ってるエネミー」だからこそ安心して見られる。
 しかもなにがすごいって、カイ

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ブルアカの「七つの古則/ジェリコの古則」について

ブルアカの「七つの古則/ジェリコの古則」について

 ブルアカのストーリーの要所でこれ見よがしに語られるのが「古則」である。最終編3章までの時点では2番目と5番目しか語られていないが、今回はひとまずこれについて考えていきたい。ストーリーの考察というよりは、古則を通してブルアカのストーリーを改めて読んでいこうというくらいの気持ち。
 お遊びに近い文章なのでくれぐれも真に受けないでください。
 あと、前提としてシッテムの箱の起動時に出てくる「七つの古則

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ブルアカ『あまねく奇跡の始発点』感想①──透明だけれど無色じゃない

ブルアカ『あまねく奇跡の始発点』感想①──透明だけれど無色じゃない

 この記事には、ブルーアーカイブ最終編『あまねく奇跡の始発点』2章20節(1/24更新分)までのネタバレを含みます。

 2023年1月22日、ブルアカ2周年アニバの記憶はまだ新しい。次々と襲いくる新情報の雨あられのなか、極めつけに実装されたメインストーリー最終編。そこから怒涛の勢いでのレイドバトル突入。そのせいで今週はもう完全にブルアカのことしか考えられなくなり、連合作戦とガチャを狂ったように回

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ブルアカ『エデン条約編』4章感想──聖園ミカのためのキリエ

ブルアカ『エデン条約編』4章感想──聖園ミカのためのキリエ

 エデン条約編全体のネタバレを含みます。

 約束された勝利の章だった。
 ストーリーは盤石かつコンパクトで、しかも評判の良かった3章の勢いを引き継ぎつつも、ときおり世界観に対して新たなアプローチを見せるのが良い。事前の期待もかなり高かったはずだけど、ちゃんと応えてくれている。
 エデン条約編が秀逸なのは、補習授業部→トリニティの内部抗争→トリニティ対ゲヘナ対アリウス→対ベアトリーチェ、というふう

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ブルアカ『時計じかけの花のパヴァーヌ編』2章感想──ネル先輩の強さをナメていた

ブルアカ『時計じかけの花のパヴァーヌ編』2章感想──ネル先輩の強さをナメていた

 ネタバレあり

 
 シナリオに関してはもう馴れたもので、非常に危なげない堅実な展開だった。最後のほう、アリス関連の話はちゃんとまとまるのか?と思ったけど、力技ながらも大団円に持っていってくれたのでさすがだと思う。
 すでに各所で言われていることではあるけど、ブルアカのメインストーリーは毎度大筋で同じようなことをやっている。アビドス、パヴァーヌ、エデンでは、それぞれ「戦うことを運命づけられた少女

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