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ブルアカ『時計じかけの花のパヴァーヌ編』2章感想──ネル先輩の強さをナメていた

 ネタバレあり

 
 シナリオに関してはもう馴れたもので、非常に危なげない堅実な展開だった。最後のほう、アリス関連の話はちゃんとまとまるのか?と思ったけど、力技ながらも大団円に持っていってくれたのでさすがだと思う。
 すでに各所で言われていることではあるけど、ブルアカのメインストーリーは毎度大筋で同じようなことをやっている。アビドス、パヴァーヌ、エデンでは、それぞれ「戦うことを運命づけられた少女」が登場して、彼女を助けに行くまでの流れがひとつの山場になっている。さらにいうと報連相不足で事態が悪化するという展開も定番で、アビドス対策委員会もティーパーティーもリオ会長も基本的にそのせいで面倒なことになってしまっている。
 こういう「定番の展開」がしっかり可視化されたのがパヴァーヌだったのかなと思う。まだまだブルアカは始まって1年とかなのでシナリオのマンネリみたいな悪印象は受けなくて、むしろ各学校それぞれの問題点をそれぞれのシナリオで掘り下げつつ、問題の根幹が共通しているということを描いているのが上手いと思う。一方で、今後はある程度、展開にヴァリエーションがないとマンネリ化してしまうので、そこは期待しつつ、不安もありつつ、注視していきたい。

 ストーリーに関して。パヴァーヌ1章はゲーム部中心の話だったけど、2章の主役はネル先輩といってもまったく過言じゃなかったね。オタクとヤンキーの友情ってやっぱ激アツなんだよな。終始一貫して「暴」としてのネル先輩の強さが描かれていて、どれだけボコボコにされても倒れないのがマジでかっこよかったし、個人的には『嘘喰い』の門倉立会人を思い出した(ヤンキー繋がりってだけでは?)。でも実際、アリスとネルって門倉と梶ちゃんみたいなところない?
 エレベーターでの閉塞作戦は思いっきり『喧嘩稼業』の十兵衛対石橋でアガってしまった。シナリオの人が喧嘩稼業読んでいるとは思えないが。それはそれとしてふだんあんまりアクションパートを細かく書いてこないブルアカで、ネル対トキはそれなりに理屈でバトルを作ってる感じがあったのは良かった。やっぱりミレニアム生同士の戦いだから頭使わなきゃなあ。ネル先輩も意外と頭脳を使って動くタイプだということがわかってきた
 リオ会長に関してはいろいろ賛否あるだろうけど、まずは部下がトキ一人しかいないのにミレニアム生の大半を敵に回して戦おうとしたあたりに感心した。リオのトロッコ問題、ぜんぜん論理的じゃないじゃんか。でも巨大建造物や巨大メカをひとりで作り上げて、しかもヴェリタスですら破れないようなセキュリティを構築しているわけだから、ミレニアムの頂点に立つに相応しい能力を持っているんだろうな。なまじ能力があるからどうにかしようとしてしまう…というのもブルアカでよくあるパターン。3章があるとしたらリオ会長の話になるんでしょうね。

 ゲーム部メンバーについては1章ほど出番がなかったように思える。それこそユズがチートプレイヤーを倒した話とかが後半でどう活かされるのかとか気になっていたけど、実際にはゲームとかあんまり関係ない物理的な方法でトキを攻略したので笑ってしまった。まあゲームは人を傷つける道具ではないからな……。
 とはいえ、ゲーム部メンバーの掘り下げは1章でちゃんとされていたし、物足りなさはあまり感じなかった。アリスが何者なのかという謎はけっきょく残ったままだし、事態の解決策も見えていないけど、それでもアリスがアリスであるというだけで受け入れるのがゲーム部なんだな。
 ゲーム部は単にゲームをやる部活ではなくてゲームを作る部活で、だから「わたしたちのクエスト」の歌詞の最後は「美しさを込めて生み出す 作品で幸せとどける それこそが大切なメインクエスト」になっている。ゲーム部はクソゲーを攻略するプレイヤーであると同時に、幸せを生み出すクリエイターでもあるわけで、そういうかれらだからこそアリスを助けて受け入れることができたのだなあと思った。
 だから2章クリア後にガビガビの画質でEDが流れるところはほんとに演出が上手い。私たちもまたブルーアーカイブというゲームに幸せを貰ってるんだなということを思い出させてくれた。ブルアカはこういう「ゲーム」という媒体への強いフェチズムを感じさせてくれるのが良い。

 箱舟云々の話はわりと設定の根幹に絡んできそうだったけど、頭ミレニアムではないのでよくわからなかった。まあ現時点では正確に追わなくても良いのかもしれない。個人的にはキヴォトス人がカジュアルに巨大建造物を作りまくるところが気になる。あれってどういう仕組みになっているんだろうか。
 あと、シナリオの時系列を正確に把握する必要がそろそろありそうだけど、そこも諸説あるから難しいなあ。公式でいずれ正解発表をしてほしいところ。


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