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#1983 個別最適な学びと協働的な学びはどう両立し得るか

教育界では、「個別最適な学び」と「協働的な学び」が重要視されている。

特に、前者の学びの具体である「自由進度学習」「自己調整学習」「けてぶれ」などの学習が流行を見せている。

しかし、このような「個別最適な学び」は、「個にフォーカスした学び」であるゆえに、「孤立した学び」に陥りやすくなる。

家庭での「自習」と変わらなくなってしまうのだ。

そのような学習の中で、いかに「協働的な学び」を含めるのかが重要になってくる。

今回は、「個別最適な学び」の中で、「協働的な学び」をどう一体化させるかを論じていく。

まず前提として、「個別最適な学び」の在り方には、2つの方向性があると捉える。

1つ目は、「何も分からない状態から『知る』状態にするための学習」である。

これは、葛原氏の言葉を借りるならば、「分からなければ、QNKS」である。

つまり、問いを立てて、解決に必要な情報を抜き出し、構造化のために取捨選択し、整理された形でアウトプットする。

このような学習をすることで、分からなかった物事を「知る」ことができる。

このときに、考えられる「協働的な学び」は、「対話」である。

葛原氏は、「対話もQNKSである」と主張している。

特に、「Q:情報の抜き出し」「K:取捨選択して構造化」の際に、他者との「対話」が必要になる。

個人で情報をいくら抜き出しても、そこには限界がある。

そこで、他者との「対話」をすることにより、自分は見つけられなかった新たな情報を得ることができる。

また、個人でたくさんの情報を取捨選択し、構造化するにも限界がある。

そこで、他者との「対話」をすることにより、自分とは違った視点で情報を取捨選択したり、違った形で構造化したりすることができる。

「QNKS」のような、個人で物事を「知る」ために探究活動をする際は、「対話」がとても重要となるのだ。

それは、一人で情報を集めたり、再構成したりするのには限界があるからである。

「対話」をすることにより、他者の視点・意見をもらうことができ、自分の学びが拡がったり、深まったりするのである。

よって、「何も分からない状態から『知る』状態にするための学習」としての「個別最適な学び」では、「対話」という「協働的な学び」と両立させることができるのだ。

2つ目は、「できない状態から『できる』状態にするための学習」である。

これは、葛原氏の言葉を借りるならば、「できなければ、けテぶれ」である。

つまり、計画を立てて、自分でテストし、結果を分析し、練習してできるようになる。

このような学習をすることで、できなかったことが「できる」ようになる。

このときに、考えられる「協働的な学び」は、「助け合い」である。

特に、「分析」「練習」の際に、他者との「助け合い」が有効となる。

「けテぶれ」では、自分の力でテストするが、その結果を十分に分析することが重要である。

そのときに必要なのが、「原因の検討」と「解決策の立案」である。

問題解決を間違えてしまったならば、その原因を特定しなければならない。

その原因究明が不十分だと、次の「解決策の立案」ができなくなり、「練習」につながらない。

そこで、他者の助けを得ることにより、間違えた原因を検討することができる。

また、原因が特定できても、解決策を立案できなければ、「練習」につなげることができない。

そこでも、他者の助けを借りることで、解決策を立案することができる。

さらに、「練習」の段階でも、再度うまく問題解決ができず、途方に暮れてしまうこともある。

そこで、他者からのアドバイスにより、「なぜ間違えてしまうのか」を把握し、「どうすれば間違えないか」を再度学ぶことができる。

このような「助け合い」によって、「できない状態」の子どもが徐々に「できる状態」に近づいていくのだ。

よって、「できない状態から『できる』状態にするための学習」としての「個別最適な学び」では、「助け合い」という「協働的な学び」と両立させることができるのだ。

以上、「個別最適な学び」の方向性を2つに分け、それぞれの場合に両立し得る「協働的な学び」の形を整理した。

ざっくりまとめると、「QNKSでは対話と両立」「けテぶれでは助け合いと両立」ということになる。

ぜひ、以上のことを念頭に置き、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を実現していきたい。

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