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リハビリに役立つ認知行動療法
認知行動療法、という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
ですが、
「結局それって臨床心理士とかの専門分野じゃないの?」
と思っている人は多いのではないでしょうか。
何を隠そう、僕がそうでしたし。
でも実際は、理学療法士だろうが作業療法士だろうが、
もっと言えば看護師だろうと介護士だろうと、「対人援助」に関わる職種であれば、いかようにも使いようがあるのです。
僕もまだまだ学び途上ではありますが、皆さんと一緒に勉強していければと思っています。
行動に至るまでの心理過程
認知行動療法の学術的位置づけについてはひとまず置いておいて、
人が何らかの行動を起こすまでの心理過程について考えてみます。
休日の昼下がり、大勢の客で賑わっている一軒のカフェがありました。
小腹が空いていたA君は店の前を通りかかり、一瞬悩んだ後にそのまま入店しました。
一方、
同じように通りすがりのBさんもどこか休める店を探していましたが、店内の喧騒を確認するとその場を立ち去っていきました。
さて、A君とBさんの行動は真逆のものになったわけですが、
二人が行動を起こすに至る心理的過程を分解して見てみたいと思います。
①知覚
二人が目の当たりにしている状況(環境)は全く同じものです。
・人が大勢いるカフェ
・賑やか
・自分はお腹が空いている
僕らが一番初めに外界から取り入れる情報は、すべて五感のフィルターを通っています。
今回の例で言うと、
人が大勢いる(視覚)、賑やか(聴覚)、空腹(内臓感覚)などですね。
②認知
五感で知覚した情報は、脳の海馬と扁桃体を通して認知されます。
過去の記憶と照らし合わせて、現在の状況が「快」か「不快」かを判断するわけです。
A君は三人兄弟で、幼い頃から家の中に年代の異なる子供たちが出入りする環境で育ちました。
父親譲りの外向性の高さから兄の友人ともすぐに仲良くなり、いつも賑やかに遊び回る子供時代を過ごしています。
だからこそ、
目の前の店内から感じる喧騒に対してポジティブな評価を下しています。
Bさんは一人っ子で、内向的な母親の影響を受けていつも一人で本を読んでいるような子供でした。
大きな音や光に対する過敏性を持ち、いつも満員電車を避けるために朝早く出勤しています。
だからこそ、
店内の喧騒に対してネガティブな評価を下しました。
③感情
ポジティブな判断や分析からは、当然ポジティブな感情が生まれます。
ネガティブな判断や評価からは、ネガティブな感情が生起されます。
故に、
A君は「楽しそう」と頬を緩め、Bさんは「疲れそう」と眉をひそめました。
④行動
人は感情が動くことで行動に至ります。
ポジティブな感情を抱けばそこに接近しようとするし、
ネガティブな感情を抱けばそこから遠ざかるように動きます。
楽しそうと思って自然と目元が緩むのも、
甲高い笑い声を聞いて無意識に眉間をしかめるのも、感情を伴ったが故の反応です。
よって、
A君は入店し、Bさんはその場を立ち去りました。
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認知は感情・行動より前に起こる
大切なことは、
五感に対する認知は感情や行動よりも前に起こる、という点です。
Bさんに対して、
「賑やかなカフェで昼食をとることをポジティブに考えなさい」と無理やりポジティブシンキングを強いても、決して良い結果にはなりません。
なぜなら、
賑やかな場所=不快なところ、というBさんの認知が変わっていないからです。
認知過程をすっ飛ばして、いきなり感情を変えようとするのは、
リハビリでもよくあるミスパターンだと思います。
例を挙げましょう。
10回の立ち上がり練習中、7回目で「もういいよ」と拒否し始めた患者に対して、
「大丈夫、上手く出来てますよ。頑張って!」
と感情論で声をかけても、
(こんな運動したってどうせ俺はもう仕事には戻れないんだろ)
と判断している患者には何も響きません。
この場合は、
患者さんが「現在の状況に対してどのような認識を持っているのか」を探り、
その認知を変えるような支援方法を考えなければいけません。
具体的には、
「何のために起立練習を選択しているのか」
「今後の病状の回復によっていつまでに何が出来るようになるのか」
など、ポジティブな感情を生むに十分な情報を認知してもらう必要があります。
認知が変われば行動が変わる。
つまり認知行動療法とは、
認知(物事の捉え方)を変えることで問題解決を図る対人援助技法のことを指します。
そしてもう一つ、
認知行動療法を学んでいくと、自分の認知の歪みにもだんだんと気がついていきます。
世界に対する見方が少しずつ変わっていくんです。
まぁ、僕のようなひねくれ者は少しばかり時間がかかりますが(笑)
セルフコンディショニングとしても使える認知行動療法に、興味を持ってくれる人が少しでも増えると嬉しいです。
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理学療法士を11年やってきたけど、自分のパーソナリティを今すぐ理解して欲しい。学校では「患者や同僚との関わり方」は教えてくれない。真面目な人ほど対人関係でメンタルを病みやすい。でも、自分の根っこを知ると変われる。パーソナリティを作る”5つの特性”について分かりやすくリプ欄に書きました
— 寺島佑@理学療法士×自律神経×心理学 (@re_1021_) February 27, 2023
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