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リハビリ拒否の意外な理由とは!?
患者さんが主体的に治療を受けに来るクリニックと違って、
回復期病棟に入院してくる患者さんの全てが治療に積極的なわけではありません。
「もういいから」
とリハビリ拒否をされたことが、僕も数え切れないくらいあります。
いわゆる困難事例、ですね。
それを、
「あの人は認知症だから」
「高次脳機能障害で病識がないから」
「そもそも性格的にやる気がないから」
と言ってしまうのはとても簡単です。
通り一遍の介入を短時間で行なって、時期がくれば退院させて、はいおしまい。
介入拒否に対して落ち込んでいたのは最初の数年間だけで、
気がつくと「こういう人もいるよね」と大した感情を抱くことなく、やり過ごすスキルばかりが上がっていく…
回復期病院で働いていた頃を振り返ると、そんなことが多かった気がします。
ところが、
認知行動療法では「相手の行動がなぜ起こっているのか?」をこれまでと違った視点で評価していきます。
介入拒否を改善することはできなくても、
アプローチ方法を変えてみよう!という気持ちに少しでもなれたら良いな…
という思いで今回は記事を書いてみました。
性格や障害に注目するのをやめる
多くの人が、行動の原因を相手の性格や障害に求めてしまいます。
僕もそうでした。
「リハビリ室に来ないのはだらしないからだ」
「食事介助を拒否するのは認知症のせいだ」
確かに、そう言われてしまうと納得できるんですよね。
ですが、こうした見方は相手の行動を読み解く上では決して役には立ちません。
なぜなら、
行動の原因を性格や障害のせいにしても、それを変えるためのアプローチ方法がないからです。
加えて、
相手の個別性を無視した捉え方になっている、という点が大きな問題です。
食事の時間だと認識できないのは、確かに認知症が関係してるかもしれません。
ですが、
MMSE10点の人が皆同じように食事介助を拒否するわけではありません。
約束にルーズな人(誠実性が低い人)の全てが、リハビリに取り組まないわけではありません。
病気や性格の特性に当てはめて相手を見ていると、その人自身の個性を見落としてしまいます。
行動の前に起きたことに注目するのをやめる
多くの人は(僕も含めて)、
行動の前に何が起きたのか? を考えることで行動の理由を説明しようとします。
「足が痛いから歩くのをやめた」
「高カロリーの食事を食べていたから肥満になった」
「血圧が高かったから(原因)脳梗塞を発症した(結果)」
因果関係、なんて言葉があるように、
多くの出来事は原因が先にあって結果は後からついてきます。
それはそうですよね。
ですが、
行動に関して言えば、原因と結果を逆に見ることで視野が広がるんです。
✅行動の後に焦点を当てる
行動の原因は、行動の前ではなく後にある。
え?どういうこと?
って思いますよね。説明します。
「あの新入職員のAさん、全然挨拶しないんだよね」
と看護師長さんからお小言があったとしましょう。
Aさんは引っ込み思案だから(原因)挨拶をしない(行動)のでしょうか?
Aさんに詳しく話を聞いてみると、次のようなことが分かりました。
「いえ、前に挨拶したんですけど、完全に無視されたので…」
朝病棟に入る時、夜勤帯の看護師に挨拶をしたら無視されたのだそうです。
さて、あなたがAさんの立場だったら翌日もその看護師に挨拶をするでしょうか?
しないですよね。おそらく。
行動(挨拶をした)
結果(無視された)
挨拶という行動をした結果、無視された。
だから、次の日から挨拶という行動をしなくなった。
時間軸をずらして見ると、
「挨拶をしない」という行動の原因は、行動の前ではなく後にあるんです。
食堂の新作ラーメンを注文して不味かったら、次からそのラーメンは頼まなくなるのと同じです。
行動の後にどのようなことが起こるか(起こったか)によって、その行動の増減は決まる。
このように、
行動の後に注目して行動の原因を探るアプローチをしてみると支援の幅が広がることがあります。
リハビリ拒否を読み解く
リハビリ拒否を繰り返す認知症の高齢者を例に、その理由を考えてみましょう。
フォローで介入した新人療法士とリハビリしたら、足が余計に痛くなった
↓
次のリハビリを拒否
リハビリ室で歩く練習をしたら、周りの人にジロジロ見られて不快な思いをした
↓
次のリハビリを拒否
10年前に骨折した時にリハビリを受けたらめちゃくちゃ痛かった記憶がある
↓
今回のリハビリも拒否
他にも色々と考えられると思いますが、
一度リハビリを受けた(行動した)結果、不快な感情を抱いた可能性はないか?
という視点で情報収集してみたり、
一つ仮定を立てて異なるアプローチ方法を考えてみると突破口がひらけるかもしれません。
それでは、今回はこのあたりで。
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理学療法士を11年やってきたけど、自分のパーソナリティを今すぐ理解して欲しい。学校では「患者や同僚との関わり方」は教えてくれない。真面目な人ほど対人関係でメンタルを病みやすい。でも、自分の根っこを知ると変われる。パーソナリティを作る”5つの特性”について分かりやすくリプ欄に書きました
— 寺島佑@理学療法士×自律神経×心理学 (@re_1021_) February 27, 2023
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