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『コピーライターじゃなくても知っておきたい心をつかむ超言葉術(著:阿部広太郎)』〜現役コピーライターが明かす、プロだけが知る「無意識を意識化する技術」

【内容】
流行語にもなった林修を起用したコピー「いつやるか、今でしょ!」の広告を作ったコピーライター阿部広太郎のライティング術を語った本。


【感想】
開高健が「人類が発明した最も優れた言葉」として「ライオン」を挙げた、という話が印象に残りました。その言葉をコピーライティングのメタファーとして語る内容が特に興味深かったです。
開高が語ったのは、「ライオン」という名前を与えたことで、それまでただ恐ろしい存在だったものが、四つ脚動物の特定の種という属性を得たということ。その結果、人間は「ライオン」を客体化し、冷静に対処できる対象として扱えるようになった、というエピソードでした。この視点は、言葉が持つ力や意味を操作するコピーライティングの本質にもつながると感じました。
また、この本が「現在進行形で活動しているコピーライターだからこそ書ける」内容だという点も強く共感しました。
特に特徴的なのは、こうしたコピーライターの本でよく触れられる糸井重里のコピーについてほとんど語られていないこと。これが、次世代のコピーライターらしい視点だと感じました。
記憶に残る言葉もいくつかありました:
* プロとは、無意識を意識化する人のこと。
* 偶然を必然に変えられる企画は強い。
* ドレスを1枚1枚脱いでいくような企画書が、人をドキドキさせる。
* 作り方から考える。
これらの言葉には、コピーライティングの技術や哲学が凝縮されており、学びが多かったです。
さらに、本全体を通じて、出版社と著者の「思惑」が絡み合っているのを感じました。著者側には、自分自身をプロデュースする一環として本を出している意図があるように思えます。noteやオンライン講座を通じて現在進行形で発信していることもあり、今の時代性が色濃く反映された一冊だと感じました。
特に印象に残ったのは、著者が新人研修の際にコピーライターの先輩から聞いた「広告は入口である」という言葉です。この考え方は、広告の本質を端的に表していると感じました。
また、新人研修時に、著者の名前をもじって「安倍広告太郎」というコピーが作られたというエピソードも興味深いものでした。そのときは「ふーん」と流していたものの、振り返ると、このコピーを聞いた後に著者の名前がしっかり記憶に残っていることに気づき、「なるほど」と納得しました。

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