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『たそがれ清兵衛(邦画)』〜山田洋次監督が描く幕末の『黄昏流星群』。演技と殺陣が光る真田広之の傑作時代劇!

視聴環境:U-NEXT

※ネタバレします。

【内容】
幼い娘2人と痴呆症の母を残して妻を亡くした幕末の貧しい侍が、藩命で腕の立つ剣士と立ち会うことなるのだが…

監督:山田洋次
原作:藤沢周平
出演:真田広之、宮沢りえ

【感想】
自分のために撮られた映画だと感じる作品に、たまに出会うことがありますが、この映画はまさにそんな一本でした。

真田広之の特集で知り、軽い気持ちで観始めました。ドラマシリーズ『将軍』が18部門受賞したとのことで、『麻雀放浪記』と並ぶ真田広之の代表作と紹介されていた作品です。真田広之主演と聞いて、勝手に派手な殺陣のある時代劇を想像していましたが、実際は市井の人々の地味な暮らしを丁寧に描いた物語でした。

山田洋次監督が本格的に手がけた人間ドラマで、しっかりとした構成と骨太な時代劇で、まさに山田監督にしかできない作品でした。こういう作品を観ると、松竹の映画づくりの伝統と底力を感じますね。時代劇というフィルターを通してこそ描かれる繊細な人間ドラマと、華麗な殺陣の緊張感…真田広之ならではの優れた演技と身体表現が光っていました。

また、宮沢りえの美しさは現代劇で一般の人を演じるとやや浮いてしまうと感じることもありますが、この映画では時代劇といつこともあって見事に役になり切っていました。特に、夫のDVを受けて実家に戻ってきた影のある女性という役が、宮沢りえの持つ独特な魅力を引き出していたと思います。

脇役として今は亡き丹波哲郎が出演しており、昭和から続く日本映画の空気感も感じられました。
田中泯との最後の対決も、ただの時代劇的な殺陣ではなく、深い人間ドラマを描き出す場面として心に残りました。

自分も年を重ね、中年の恋の甘さや苦さが少しずつわかるようになってきて、歳を重ねることで増えていく楽しみを実感しました。『黄昏流星群』を思い出すような、ほろ苦いラストシーンも何とも味わい深い。
大人や中高年向けの映画だと感じながら、しみじみと鑑賞しました。エンタメでありながら人生をしっかりと語る映画って、本当に良いものですね。

https://www.shochiku.co.jp/cinema/database/04570/

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