『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈 著)
※ネタバレします。
【内容】
女子中学生の成瀬は、閉店になるまで地方デパートで、毎日生中継されているテレビに映り込むことにする。
成瀬の特異なキャラクターは、周りから反発されながらも飄々と生きる姿勢に、徐々に周りもその魅力に魅了されていく…
※2024年本屋大賞受賞作品
【感想】
地域に唯一あるデパートの閉店に合わせてカメラに何度も映りに行ったり、m-1や競技カルタに参加したり…
成瀬は、どこかやりたいと思っていても、ブレーキを踏んでやれないことをやってくれる存在なのだと思いました。
トリックスターズ的な若者が得意なキャラクターとその行動で、周りを巻き込みながら、関わる人々をポジティブに変えていくという、悪い意味ではなくいつの時代も描かれ続けられる物語だなあと…
『坊ちゃん』、『限りなく透明に近いブルー』、『涼宮ハルヒの憂鬱』…
小説とか漫画、ドラマと延々と描かれてる続けていて、人々は自分世代の『成瀬』を必要としているんでしょうね。
そこには自然と、時代生も反映されているのだと感じました。
成瀬はいい意味で、今時の10代女子の考える、普通の高校生が出来る人生を変えているかもしれない現実的なラインの突飛な行動なのではないか…
SNSとかYouTubeとかでバズったら、一気に世界的な存在になるなんてことが、わりと身近にあるという現実の中での絶妙なラインなのかなあと思ったりしました。
フィクションとして楽しむなら、この感じなのがいいのかなあ…
(こんなことを描くのは、本当に野暮なことだと重々わかっているのですが…
あくまで個人的に感想なので、この作品が好きな方はごめんなさい…)
なんてこと書いていますが、いい年したおっさんでも、成瀬や友達たちの追体験出来て、最後まで楽しく読んだということで、許して(?)もらえればと思います。
続編も出ているようなので、どういった展開になるのか、気になっています。
大活躍したら、またこの小説の持っていたテイストとは違った形になってしまうような気がしますし…
あまり活躍しなければしないで、それはそれで肩透かしにあったような気持ちになりそうですし…
うーん、どういった展開にしていくのが正解なんだろうと…
読んだ後、本屋大賞受賞したとのニュースを知りました。
今回の受賞は、本を読まない若い世代の掘り起こしに期待した面もあったりもする気がします。
若い世代のなるべく広い層に、どれだけアピール出来る作品が出て来るかで、これからの出版界の行末が決まってきたりするんでしょうね。
こうした作品で読書の楽しさを知ることで、他の本への興味や実際の購買行動に繋がっていくんでしょうし…
https://www.shinchosha.co.jp/special/naruten/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?