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質問074:相手のフォームを読んで予測するべきか?
いつも的確なアドバイスありがとうございます。 ※※です。
また質問が出てきました。 それは、「予測です」。 勘違いかもしれませんが、シンプルに、ボールに集中する!
これはとても大切だと感じます。1STセット6−0で取った時の最後のポイントで変な自分では納得のいかないフォアハンドミスをした時に、2NDセットに入り、これに拘ってセットを5−7で取られて、フャイナルセットで頭がパニックになり0−6で取られることは自分たちでもプロ選手でもありますよね。
けれど、どこから集中するかも大切だと感じます。ボールを良く見る!大切なことですが、相手のフォームを読んで相手のインパクトから集中した方がいいのでしょうか・・? 事実、僕は全日本ランキング20位選手と以前ラリーをした時に、インパクトから読んてないと遅れる・・と思いました。
今年のウインブルドンで伊達選手がウイリアムス選手と試合をした時に相手がストレートに打った時に、伊達選手は「なぜストレートなの!」という顔をしてました。 あれは相手のショットを読んでないと、あのような顔をしないと思うのですが・・どうでしょうか・・?
宜しくお願い致します。
回答
※過去にいただいたご質問に対する加筆修正を行った回答例です。話題が数年前にさかのぼることをご了承ください。
▶予測ではなく、直感でプレーする。その姿勢は真逆
結論から言いますと、予測してはいけません。
「いけない」というと、語弊があるかもしれません。
テニスの試合ではルール内であれば、何をやってもいいのですから。
いけないというよりも、予測すると、プレーパフォーマンスが落ちやすくなる不利を招く。
後述しますがそれを覚悟で、一か八か予測するなら、致し方なしです。
プロが「予測が当たった」「予測できた」などと言っているのは、言葉の定義がちょっと違うのです。
それも過去を振り返って、「ああだった」「こうだった」などと位置づけ直した「後づけ」にすぎません。
プロが言っているのは「予測」というよりは、「直感」なのです。
予測は事前に、相手サーバーのトスの位置などから頭のなかでコースを読んだりしますが、直感は、状況に応じて打たれそうなコースが感じられるという違いがあります。
一見すると同じように思えますが、予測が、頭のなかでコースを読もうとする能動的な姿勢なのに対し、直感は、五感を通じてコースが感じられる受動的な姿勢という違いを指摘できます。
能動と受動ですから、真逆とさえ言えます。
▶予測しながら、ボレーボレーがまともにできますか?
たとえば近い距離でボレーボレーを、フォアに来るのかバックに来るのかを予測しながらやってみると、やりづらくて仕方がありません。
対応が間に合わなくなります。
間に合わなくなるのは、予測すると、逆を突かれるケースがかえって増えるからです。
先に動いてしまうからですね。
逆に予測せず、リアルタイムのボールに目のピントを合わせ続け、ボレーボレーをしてみると、頭で考えなくても(考えないから)、逆を突かれるなんて滅多にない。
何となく、フォアとバックのどちらに来るか、感じられるでしょう。
これが、直感が働いている状態です。
頭のなかで予測するよりも、断然ラクにプレーできると実感できるはず。
直感などというと、どこか霊的な(?)印象を想像するかもしれませんけれども、そんなことはありません。
要するに、「直の感覚」。
思考を経由せずに、五感から直接体に伝わる情報です。
▶予測するから、テニスは難しくなる
さて伊達公子vs.ヴィーナス・ウィリアムズ戦のエピソードは、2ndセットの第4ゲーム、ポイントは40-40だったと記憶します。
アドコートでのクロスの打ち合いから、伊達がストレートに振った直後のウィリアムズのストレート返し。
これは単純に、伊達のクロスコートにオープンスペースがあったのですが、そこを狙わずウィリアムズが狭いほうのストレートへ打ってきて、動きの逆を突かれた意外性からの驚きだったのではないでしょうか?
一か八かの八は、伊達が掌握していたのですが、そこで一のほうに打たれたことによる「うそー」という、あの表情だったのです。
これが先述した「一か八かでは致し方なし」の実例。
繰り返し申し上げますが、予測しては「いけない」わけではありません。
もうどうしようもなく取れそうもないボールを打ち込まれそうなときには(こちらに大きなオープンスペースがあって、対戦相手がスマッシュを打ち込もうとするときなど)、予測して「一か八か」で逆サイドへ先走る、というギャンブル対応もあり得ます。
だけど通常レベルのプレーにおいては予測すると、「今、ここ、この瞬間」の集中力を、低める原因になる。
常識的なテニス指導では「予測せよ!」「予測が大事!」とさんざん言われます。
「予測すれば、コースを読める!」
「予測すれば早く動き出せるから、余裕を持って対応できる!」
頭の理解では、何となく納得できる。
ところがいざ実践では、全然役に立たぬ。
早く動くと、逆を突かれます。
早く動きすぎると、ボールとの同調が途切れます。
予測がまさかの、テニスを難しくしていた要因。
だからテニスが、かくも難しくなるのです。
テニスを簡単にプレーするには、ボールに集中すればいいだけなのです。
▶未来を予測すると、リアルタイムのボールから、いったん目のピントが外れる
一方で私としては、ポストマッチインタビューのほうが気になりました。
解説の吉田友佳による「100パーセント集中してプレーする秘訣は?」という問いに伊達は、「この瞬間を無駄にはできぬ」と返答。
この瞬間とは、未来でも過去でもなく、まさに「今」なのですね。
未来を予測すると、当たろうと当たるまいと「今、ここ、この瞬間」の集中を損なうので、リアルタイムのボールからいったん目のピントが外れます。
その場合、結局リアルタイムのボールに目のピントを合わせ直す二度手間になるので、やっぱり無駄なのです。
▶対戦相手のフォームを読むと、不利を招く2つの理由
さて、「どこから集中するか?」というご質問につきまして。
「相手のフォームを読んで相手のインパクトから集中した方がいいのでしょうか・・?」というのでは、ボールスピードが一定以上になると、後手に回って遅れると思います。
なので、対戦相手がインパクトするよりずっと前の、自分の打ったボールが飛んでいくところから、いえもっと、ポイントが始まる以前から、ボールに集中しておきます。
予測の話に通じますが、対戦相手のフォームを読んではいけないのです。
いえ、「いけない」というと語弊があったのでしたね。
テニスの試合では、ルール内では何をやっても構わない。
「いけない」というより、対戦相手のフォームを読むと、不利を招く次の2つの理由があります。
ひとつは、相手のフォームを読むのも(球種やスピードなども含む)返球コースの「予測」ですから、先の理由でアウト。
早く動くと、逆を突かれてかえって遅れるばかりか、早く動きすぎると、肝心なボールとの同調も途切れます。
そしてもうひとつは、対戦相手のフォームを読むと、いったんリアルタイムのボールから目のピントが外れる不利を招きます。
▶オートフォーカスの一眼レフカメラ「ジ、ジージージー」
オートフォーカスの一眼レフカメラを想像してみてください。
相手のフォームにレンズのピントを合わせてから、改めてボールにピントを合わせようとしてシャッターを半押しすると、「ジ、ジージージー」などと音を立てて調整する「タイムラグ」があるじゃないですか。
人間の目も、これと同じメカニズムです。
相手のフォームを見ると、結局ボールにリフォーカスする二度手間になるのですね。
もしかすると、対戦相手のフォームとボールとを、「同時に見られる」とお思いでしょうか?
だとしたら、それは勘違いです。
『新・ボールの見方』を紐解きましょう。
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いまの「い」に目のピントをぴったり合わせると、「ま」のほうは、薄々と存在は認められるものの、ハッキリとは見えません(拙速に試したりせず、時間をかけてでもしっかりと「い」に目のピントを合わせて、輪郭がクッキリと浮き上がるような見方をお試しください)。
さらに「い」の左側上端に目のピントを合わせると、「ま」はもう、読めなくなるはずです。
「いや読める!」というのなら、目のピントの絞り込みがまだ甘く、全体を眺めていて、集中できていない証左。
この2つの理由により、結局リアルタイムのボールに目のピントを合わせ直す二度手間になるから、対戦相手のフォームを読もうとすると、一定以上のスピードを越えた場合は後れを取るのです。
▶まとめ:ボールに集中して感じるままに動くと、テニスは簡単になる
まとめます。
●予測すると、リアルタイムのボールに集中できなくなります。逆を突かれたりして、かえってテニスが難しくなります。
●「直観」でプレーすると、思考を経由しないから、感じるままに動けます。
●相手が打ってからではなく、ずっとリアルタイムのボールに集中し続けると、目のピントを合わせ直す二度手間がなくなるから、後れを取りません。
●いまの「い」に目のピントを合わせると、もう「ま」は見えなくなります。なので相手のフォームとボールとを同時に見ることはできない以上、ボールのほうに集中すると、テニスは簡単になります。
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