イップス克服に向けて006:もう一度気持ちよく普通のラリーがしたい
回答
▶「アドバイス」がさらに追い込む
イップスほど誤解されている病気は、多くありません。
いわく「気合いが足りない」「足を動かせ」のほかにも、「イップスなんて、気持ちの持ちようだ!」「リラックスすればいい!」「単に練習不足だ!」「努力が足りない!」「意志が弱いんだよ!」「下手なだけなんじゃないの?」云々……。
このような指摘や思い込みを信じる場合、イップスという病気は治りません。
とはいえ、イップスを患った本人はもとより、周りの人たちも、その程度の認識がほとんどでしょう。
こういった指摘、思い込みが、どれほど治療を妨げるかについて、知っていただきたいのです。
残念ながら頼れるイップス治療の専門家というのは、私の知る限りあまりいません。
むしろ治療者による上記のようなアドバイスによって患者が、さらに追い込まれるケースも少なくありません。
アドバイスには「現状の否定」が含まれるため、自己肯定感を損なうのです。
▶症状に直接手をつけないで
病気ですから、治ります(正確にいうと単に元どおりに戻るのではなく、成長します。免疫力が強まるからです)。
ただし、発熱を自分の意思で下げられないのと同様に、病気ですから、症状そのものについては、直接的にコントロールできません。
つまり、腕が勝手に動く、あるいは勝手に止まるイップスの人が、腕を止めたり動かしたりする症状をコントロールしようとするのは、端から「無理」なばかりか、「逆効果」です。
できない自分を再確認して不安を募らせるだけだからです。
▶イップスは「不安」の病気。「安心」できると治療は飛躍する
そう、イップスは、不安の病気です。
ですから、安心できると治療は「飛躍的に」進みます。
「フォームがどうこう」などでは決してありません。
そのためには、テニスゼロにこうしてご相談いただくほかにも、周りの人たちに気持ちを聞いてもらえる働きかけが、何よりも有効です。
「何よりも」です。
▶事情を事前に伝えておくと安心できる
ただし先述しましたように、症状そのものはコントロールできないのですから、話題にしないでください。
周りの人たちに気持ちを話して、「それはつらいね」「だれでも不安になるよね」などと、聞いてもらえればもう「十二分」です。
ですから、ご自身から「イップスはどうやったら治る?」「どうすれば腕が暴れなくなる?」などの話の振り方は、(どうしても気にはなりますが)慎まれますように。
どうせ「リラックスすればいいんだよ」などと言われても、「それでもし、また腕が暴れたらどうしてくれる!」といったように、かえって不安が煽られかねません。
ですから、周りの人たちに打ち明けるときにも(打ち明けるのが苦手なのも、イップスになりやすい人の特徴ではあるけれど……)、「アドバイスはいただかなくて構わないので、聞いてもらえるだけでありがたい」と、事情を事前に伝えておくと「安心」です。
▶話して楽になれそうなら、何でもいいから話して
また周りの人たちも下手にアドバイスしようなどとせず(それは逆効果になるので)、「つらいよね」「何でも言ってよ」「協力するさ」などの寄り添う姿勢が、いかに治療を後押しするかを理解していただきたいのです。
前回、読者さんにご紹介していただきましたマチュー先輩による克服までのストーリー「イップス実話」とも、ちょうど話が符合しています。
私自身もイップス経験者ですし、テニスゼロにはイップスを克服した人たちも、集っています。
仰せのとおり、「打ち込むラリー」どころか、「普通のラリー」すらまったくできなくなる、あるいはスライスでしのがざるを得なくなるのが、イップスです。
なので皆さん、あなたの不安な気持ちがよく分かる。
ですから、話して楽になれそうなら、何でもいいから話してください。
またのご連絡をお待ちしています。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
https://note.com/tenniszero
無料メール相談、お問合せ、ご意見、お悩み等は
こちらまで
tenniszero.note@gmail.com