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イップス克服に向けて006:もう一度気持ちよく普通のラリーがしたい

こんにちは。現在、フォアハンドで悩んでいます。
ただいま大学2年生で、テニス経験としては、小学校で硬式3年間、中学校軟式3年間、高校で硬式3年間、大学で硬式1年間なので、同じ年齢の人たちに比べると少し長いくらいだと思います。
しかし、高2の秋のころの試合からフォアハンドが全く打てなくなり、試合には勝てず、練習ではラリーが続かなくて相手に迷惑をかけたりと、テニスが楽しくなくなりそうです。
 練習でたまに調子がよくストロークが打てることもあるのですが、試合では必ず打てなくなります。スライスはそこまで症状が現れないので、現在、フォアは全部スライスで打ってなんとかすごしてます。
この状態になってから色々と調べたりしました。そして、イップスというものを知りました。実際に自分がイップスかどうか分かりませんが、症状はよく似ており、そうなのではないかと思っています。
先輩や同期に言っても、気合いが足りないとか、足を動かせなどと言われておしまいです。
フォームを矯正しようとグリップを変えたりしましたが、少しの期間良くなってもまた同じ症状がでます。
もう自分ではどうしたらいいのか分かりません。テニスをやめようかなと何度も思いましたが、テニスは大好きだし、このままやめてしまったらそれは逃げなのではないかと思ったで、やめませんでした。
もう一度気持ちよく普通のラリーがしたいです。よろしくお願いします。


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回答


▶「アドバイス」がさらに追い込む


イップスほど誤解されている病気は、多くありません
 
いわく「気合いが足りない」「足を動かせ」のほかにも、「イップスなんて、気持ちの持ちようだ!」「リラックスすればいい!」「単に練習不足だ!」「努力が足りない!」「意志が弱いんだよ!」「下手なだけなんじゃないの?」云々……。
 
このような指摘や思い込みを信じる場合、イップスという病気は治りません
 
とはいえ、イップスを患った本人はもとより、周りの人たちも、その程度の認識がほとんどでしょう。
 
こういった指摘、思い込みが、どれほど治療を妨げるかについて、知っていただきたいのです。
 
残念ながら頼れるイップス治療の専門家というのは、私の知る限りあまりいません。
 
むしろ治療者による上記のようなアドバイスによって患者が、さらに追い込まれるケースも少なくありません。

アドバイスには「現状の否定」が含まれるため、自己肯定感を損なうのです。

▶症状に直接手をつけないで


病気ですから、治ります
(正確にいうと単に元どおりに戻るのではなく、成長します。免疫力が強まるからです)。
 
ただし、発熱を自分の意思で下げられないのと同様に、病気ですから、症状そのものについては、直接的にコントロールできません
 
つまり、腕が勝手に動く、あるいは勝手に止まるイップスの人が、腕を止めたり動かしたりする症状をコントロールしようとするのは、端から「無理」なばかりか、「逆効果」です。
 
できない自分を再確認して不安を募らせるだけだからです。
 

▶イップスは「不安」の病気。「安心」できると治療は飛躍する


そう、イップスは、不安の病気です。
 
ですから、安心できると治療は「飛躍的に」進みます
 
「フォームがどうこう」などでは決してありません。
 
そのためには、テニスゼロにこうしてご相談いただくほかにも、周りの人たちに気持ちを聞いてもらえる働きかけが、何よりも有効です。
 
「何よりも」です。

▶事情を事前に伝えておくと安心できる 


ただし先述しましたように、症状そのものはコントロールできないのですから、話題にしないでください
 
周りの人たちに気持ちを話して、「それはつらいね」「だれでも不安になるよね」などと、聞いてもらえればもう「十二分」です。
 
ですから、ご自身から「イップスはどうやったら治る?」「どうすれば腕が暴れなくなる?」などの話の振り方は、(どうしても気にはなりますが)慎まれますように
 
どうせ「リラックスすればいいんだよ」などと言われても、「それでもし、また腕が暴れたらどうしてくれる!」といったように、かえって不安が煽られかねません
 
ですから、周りの人たちに打ち明けるときにも(打ち明けるのが苦手なのも、イップスになりやすい人の特徴ではあるけれど……)、「アドバイスはいただかなくて構わないので、聞いてもらえるだけでありがたい」と、事情を事前に伝えておくと「安心」です。

▶話して楽になれそうなら、何でもいいから話して


また周りの人たちも下手にアドバイスしようなどとせず(それは逆効果になるので)、「つらいよね」「何でも言ってよ」「協力するさ」などの寄り添う姿勢が、いかに治療を後押しするかを理解していただきたいのです。

前回、読者さんにご紹介していただきましたマチュー先輩による克服までのストーリー「イップス実話とも、ちょうど話が符合しています。

私自身もイップス経験者ですし、テニスゼロにはイップスを克服した人たちも、集っています。

仰せのとおり、「打ち込むラリー」どころか、「普通のラリー」すらまったくできなくなる、あるいはスライスでしのがざるを得なくなるのが、イップスです。
 
なので皆さん、あなたの不安な気持ちがよく分かる。
 
ですから、話して楽になれそうなら、何でもいいから話してください。
 
またのご連絡をお待ちしています。

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero