イップス克服に向けて002.無事、笑顔でテニスを楽しんでいる
回答
▶人は必ず変わる。身も心も
私が「イップスは克服できる」と申し上げます根拠は、人は、必ず、更新され続けるからです。
死ぬ直線まで変わり続けます。
よく言われるのが、人の身体は部位にもよりますが1カ月から1年で、すっかり入れ替わるという新陳代謝。
身体だけではありません。
心だって、瞬間瞬間変わります。
優しい性格というのはありません。
ある人や物事に対してその時にできる条件が整えば、優しく変化します。
怒りっぽい性格というのもありません。
ある人や物事に対して、そのような条件が整った時に、怒りっぽく変化します。
▶イップスが治らないのは「治りたくない」から
イップスだってそうです。
発症するのは、そのような条件が整った時だからです。
ところがイップスになると、「イップスの自分」という、何か確固たる変わらない自分がいるかのように錯覚しがちです。
その錯覚が、さらなるイップスを更新します。
食べ物が変われば身体が変わるように、自分についての理解が変われば症状も変わります。
では、どうしてイップスが治らないのか?
こんなことを言うと叱られるかもしれませんけれども、本人が本当は、「治りたくない」から。
これが答えです。
▶「自分」について、分かっていないから
「そんなことはない!」
「こんなにつらいんだから、絶対に治りたいに決まっている!」と、思い込んでいるかもしれません。
しかしそこは、「自己欺瞞」という心の「だます性質」がある。
「思い込み」「バイアス」などとも、言い換えられるかもしれません。
自分について、本当のところを分かっていないのです。
おっしゃるとおり、ここが、「これまでの価値観・生き方を否定する部分」に該当するのだと思われます。
▶自分について分かる「確かな方法」
「否定」というとネガティブですが、これまでの価値観・生き方を「更新」すればいいだけです。
さてここからは、イップスを発症した方に向けた、克服のための具体的なアドバイスを綴ります。
上記のとおり、「自分について分かっていない」というのが原因。
とはいえ、自分について分かろうとして、過去の生い立ちをさかのぼって振り返るのは、難しいかもしれません。
期間が、長すぎるからです。
いえ、1年、1か月、1日だって、長すぎる。
自分について、本当に明確かつ具体的かつ客観的に分かるには、「今・ここ・この瞬間」の自分であれば、間違いがありません。
これが、自分について分かる「確かな方法」です。
▶身体を観察する
しかし、思考や感情といった捉えにくい対象について分かるには、慣れないと難しいでしょう。
ですから「座る」「立つ」「歩く(右足・左足)」といったような動作(身体)的な対象から取り組むのが、段階的かつ速やかに、イップスを克服するための手ほどきとなる。
動作(身体)が変われば、思考、感情も変わります。
よく言われるのが、楽しい(感情)から、笑う(動作)のではない。
笑う(動作)から、楽しくなる(感情)のに似ています(関連記事「『やる気』はあとからついてくる」)。
具体的なテニスのシーンに当てはめれば、心が緊張するから(感情)、スイングが縮こまる(動作)のではない。
「慎重にプレーしよう」として縮こまったスイングをする(動作)から、心が緊張する(感情)のです。
なので萎縮を解きほぐすには、「慎重にプレーしよう」などとするのではなくて、「いつも通りのスイング」を心がければ、心の緊張も緩和するしだいです。
▶「行ったり来たり」で落ち着く
具体的なドラマの一場面に当てはめれば、妻の出産を待つ分娩室の前で、夫がせまい廊下の端から端を、行ったり来たりするシーンをご覧になったことはないでしょうか?
そうして行ったり来たりする身体動作を通じて、心を落ち着かせようとしているのであり、実際に落ち着くのです。
動作(身体)が変われば、思考、感情も変わります。
食べ物が変われば身体が変わるように、自分についての理解が変われば、イップス症状も、ものの見事に変わります。
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