質問142:すぐアウトにしてしまう。フォアを打つのが恐くなってしまった
回答
▶心身の自然治癒力を落とさない
イップスでないのだとすれば、「ちょっと風邪をひいた」「まぁ、なるようになるだろう」と、軽く受け止めてください。
こんな時に苦しくなるのが、「風邪が治らなかったらどうしよう!」「もっとひどくなったら大変だ!」「風邪にならなきゃよかったのに!」などと、重く受け止めてしまうことです。
そうすると、ストレスから心身の自然治癒力が落ちて、ますます治りにくくなってしまいます。
▶フェデラーも「小さな悪魔」だった
長いテニス人生、風邪をひく程度のことはたまにある、程度に捉えておくとどうでしょうか?
また、風邪をひけば抵抗力がついて、大人になるにつれて強くなるように、少しくらい打てなくなるような経験があっても、長い目で見ると強く、メンタル的にもたくましくなるものです。
あのロジャー・フェデラーでさえ、ジュニア時代(幼少期)は気性が荒く癇癪持ちで、上手くいかないとラケットを放り投げたりしたから「小さな悪魔」とさえ称されたということは、多くの不調も経験したからだと思います。
今回のご経験は、現状維持から脱し、今以上に進化・成長するチャンスであるとご承知いただくのが、息子さんにとって心身がいちばん安らぐでしょうし、その結果、自然治癒力も高まると思います。
▶全部のゲームを取ろうとしない
とはいえ、風邪の症状がつらく長引いたりするとシンドイでしょうから、程度を軽減する処方箋をひとつ。
それは、試合の中で「捨てゲーム」を作るというご提案です。
もちろんルールに抵触する「無気力プレー」を勧めているわけではありません。
どんなボールも全力で追う大切さは変わらない(参考記事「捕れなくても、あえて食らいつく」)
とはいえテニスは、全部のゲームを取る必要のないスポーツです。
なのでどうにもできない不調を感じたら、どこかのあるゲームで「ショットの結果はどうでもいい」と割り切ってプレーしてみるのです。
▶ただボールの回転を見る
ショットが入るか入らないかはどうでもいい。
戦術も意識しません。
ですからプレーも適当。
だけどその分、「ボールの回転を見ること」だけに集中するのです。
だけど頑張って見ようと努力してはいけません。
気楽に「ただ見る」だけです。
それでゲームを落としたとしても、「捨てゲーム」なのは想定範囲内。
全部を取ろうとしていた今までとは違った手応えが出てきたらしめたものです。
▶勝てるようになる「重圧」
今回の問題にあえて症状名をつけるなら、「勝ちビビり」ですね。
格上の相手に図らずも勝てそうになったり、負けるはずのない相手に勝たねばと気負ったりした時などに起こる症状。
ですからこれは、お伝えいただいているとおり、レベルが上がった兆候と捉えます。
なぜなら、負け続けているプレーヤーは、勝ちビビる経験をしませんから。
勝ててきたから、それがプレッシャーとなる。
大人でも、仕事でいい成果を何度か出し続けると、「次も頑張らなきゃ」とばかりに、仕事そのものではなく、結果に集中してしまいがちです。
▶「ネガティブな感情」に向き合う大切さ
一時的な風邪を深刻に受け止めすぎる必要はありません。
特に、ネガティブな感情にいかに向き合うかは、私たちがテニス人生で経験するさまざまなスランプ等を通じて学んでいける「大切な課題」です。
体に備わる「感覚」と対比して言うと、心に備わるそれが「感情」ですから、どんな感情も機能的であり、上手く付き合えば人生の質が向上します。
「痛み」を感じてくれなければ、指をスパスパ切り続けてしまいかねないのでしたね(参考記事「痛みを感じてくれる体。不安を感じてくれる心」)。
それと同様に「怒り」を感じてくれなければ、困った事態に対処できません。
それは、長い目で見れば勝敗よりも価値あることですし、結果的に、勝てるプレーヤーに成長するプロセスにもなりますから。
短い目で見るから、失敗は失敗に終わります。
トーマス・エジソンよろしく、長い目で見れば、失敗は新たな発見ができた「成功」しかありません。
これは「慰め」でもなんでもなくて、客観的な「事実」です。
▶「気持ち」を伝える
仮にイップスが疑われる場合は、テニスゼロ『イップス友の会』へご入会を検討してみてください。
「友の会」といっても、みんなで集まって何かするわけではありません。
ただ気持ちを伝え合うだけの掲示板です(参考記事「克服に向けて042:イップス友の会入会希望」)。
ですが、何かアドバイスするでもなく、気持ちを伝え合うだけだからこそ、話すプレーヤーは本心を語ることができ、同じ境遇の聴くプレーヤーも「つながり」を感じられて心が温かくなります(参考記事「つながっている『鎖』はわざわざつながない」)。
▶「魔法の言葉」
最後に魔法の言葉です。
「この程度でよかった」。
生きている限り、負けようと、財布を落とそうと、恋人にフラれても、事故には遭ったけれど、「この程度で良かった」のです。
これは、マイナスやネガティブな出来事を、無理やりプラス思考したり、ポジティブシンキングしたりしてくださいと、申しているのではありません。
ただの「現状の肯定」です。
「こうならなきゃ良かったのに!」などと現状を否定しても、いえ否定するほど、前向きな心のエネルギーは出てこないどころかなくなります。
逆に受け入れてしまえさえすれば、そこからが「新たな人生」が始まる出発点。
「生きる力」が湧いてきます。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
https://note.com/tenniszero
無料メール相談、お問合せ、ご意見、お悩み等は
こちらまで
tenniszero.note@gmail.com