テニス上達メモ031.テニスの困りごと「ナンバーワン」(自己肯定感は「心の友」)
▶違和感は「先生」
テニスで苦しむ困りごと、その2です。
ちなみにその1として取り上げたのは、「違和感」でした。
違和感は、上手くいっていない現状に気づかせてくれる「先生」だけど、放置しておいては気持ち悪いという話でした。
「なんか違う!」
「どこかへん!」
こんな「テニス独特の気持ち悪い感じ方」をするプレーヤーは、少なくないでしょう。
高じると、ラケット破壊に及ぶ場合もあるのです。
ですからラケット破壊は、ほかの競技と比べてみても、テニスに限って突出して多いのです。
「テニスは個人競技で孤独だから破壊が起こる」などという分析は、表面的でしかありません。
個人競技で、テニスと同様にコーチングが許されない、チームメイトとも苦楽を分かち合えない将棋であっても、悪手を打ったからといって将棋盤をひっくり返す棋士など、聞いたためしがありません。
▶ナンバーワンシードも怖くない
ほかに、あなたにとっての強敵を挙げるとすれば、何でしょう?
あるいは誰でしょう?
対戦相手がものすごく強いと評判のナンバーワンシード選手であったとしても、最強の敵に比べれば、そんなのはまったく怖くはありません。
むしろ、そのような対戦相手に胸を借りることのできる経験は、敵どころか味方とのかけがえのない出会い、とさえ言えます。
▶これほど「しんどい敵」はいない
ではその正体、あなたにとっての強敵は、誰でしょうか?
それは、「あなた」です。
自分の敵は、自分。
これほど手強い敵は、この世のどこを探しても、ほかに見当たりません。
▶「自己否定」という強敵
具体的には、「自己否定」です。
なぜ、自己否定は強敵なのでしょうか?
自己否定すると、「自分のテニスはこれでいい」と受け入れられないからです。
「もっといい打ち方」「もっといいスイング」「もっといいフォーム」があると考えてしまうのです。
こういうと「向上心のどこが悪い?」と思われるかもしれません。
もちろん、向上心のすべてが悪いわけではありません。
「もっとよくボールが見える」などの向上する方法を、私もよく提案します。
しかし何事も、過ぎたるは及ばざるがごとし。
「もっと」の思いは現状の否定ですから、どこまでいっても満足しません。
いつかどこかに幸せがあると探し求めるようなもので、いつかどこかは結局永遠に、ない。
『幸せの青い鳥を探しすぎる心理』。
いつもどこかに、不満足な気持ちを抱えながら生きる(プレーする)ので集中状態に入れないから、「もっと」を求めすぎるとパフォーマンスは上がらないのです。
▶自己否定が強いと「結果」が気になる
「自己否定」は、自己肯定できない自分にまつわるセルフイメージ。
自己肯定感が低いと、「結果」が過剰に気になりがちです。
ありのままの自分では「足りない」から、結果を出して「埋め合わせよう」とするのです。
結果さえ出るのであれば、「相手が全部ダブルフォールトでもいい!」とすら考えてしまうのです。
プロセスを楽しむ発想が、まったくないのです。
▶結果と自分を「切り離す」
結果を出せば認めてもらえると思い込むのですけれども、とはいえ「結果」と「自分」とは違います。
結果は出せなくても「自分は自分」。
「これでいい」と受け入れられるのが自己肯定です。
よく意見を否定されると「怒る」人がいますけれども、「意見」と「人」とは違いますよね。
「意見」を否定しているのであって、「人」を否定しているのではないのに、それと同じように自己肯定感が低いとまるで、「結果」を残せなかった「自分」がダメなように感じられます。
▶余力をたっぷり残して負ける「歯痒さ」
結果を気にするあまりプレッシャーが強まりすぎると、出せる実力も出せなくなります。
テニスの試合で、全力を出し切って負けるのならまだしも、まだまだ余力を残したままゲームセットの敗戦を迎えるプレーヤーは少なくありません。
たとえば徒競走だと、ビリだとしても、一応全力は尽くせます。
しかしテニスでは、「それすら」できない。
その歯痒さったら、ありません。
「私の敵は私です」と歌ったのは中島みゆき。
「自分の敵は自分」です。
▶「人目」が気になりボールに集中できない
自己肯定感が低いと、自分の都合や事情よりも、相手のほうを優先してしまいがちです。
「遠慮」というと聞こえはいいかもしれませんけれども、テニスに遠慮はいりません。
相手というのは対戦相手のみならず、あらゆる「人目」が対象です。
自己否定する、つまり自己肯定感が低いと、自分の都合や事情よりも「人目を気にする」から、ボールに集中できません。
自分の都合としては、ボールに集中したいのです。
だけどできない。
ボールに集中できないとテニスは上手くプレーできません。
ですから自己否定は、テニスをプレーするうえで強敵です。
自分でも自覚できないけれど、ずっと「見られている」気がするのです。
▶「悪い!」「ゴメン!」が口を衝く
テニスはミスするスポーツです。
練習でエラーしたとて、どうということはないのに「悪い!」「ゴメン!」が口を衝くのは、練習相手のほうを優先しています。
そのような「罪悪感」を覚えるのは自己否定的ですし、自分らしく堂々と振る舞えず、萎縮したプレーになってしまうのです。
メンタルタフネスというと、強気、負けん気、威勢、自信などと、いろいろ言われますけれども、メンタルが弱くなる根っこは、自己否定。
自己否定は、プレーを萎縮させる強敵です。
▶「完璧主義」の原因
自己否定感が強いプレーヤーは、完璧主義の傾向です。
逆の印象かもしれませんけれども。
「完璧に仕上げないと自分には価値がない!」という感じ方になるから、完璧にこだわらざるを得なくなるのです。
それほどまで「自分には価値がない」というセルフイメージ。
「完璧にこだわる」というと、聞こえはいいかもしれないけれど、先述したとおりテニスは「ミスするスポーツ」。
どんなに頑張っても、完璧にはプレーできません。
できないものをやろうとするから、「無理がたたる」のです。
どうしてもできないのにやろうとする無理筋を強いるから、自己否定は強敵です。
▶ただひたすらに「それでいい」「仕方がない」
自己肯定できるようになると、打ち方やフォームにとらわれません。
いくらもっと理想的な打ち方やフォームがあるとしても、相手のボールが速かったり遠かったりして間に合わないときには、ムチャクチャに打ち方にもなるけれど、「それでいい」「仕方がない」と受け入れるのが自己肯定です。
のけ反って打たざるを得ない事情が、その時、そのプレーヤーには、確かにあった。
ただひたすらに「それでいい」「仕方がない」を積み重ねるのです。
▶自己肯定感は「心の友」
また、「意見」と「自分」は違うのと同様に、「結果」と「自分」も別物。
結果が伴わなくても自分は自分。
勝とうが負けようが「存在自体に価値がある」というイメージが実装されると、結果にとらわれないからプレッシャーにも押しつぶされにくくなります。
つまりメンタルタフネスとは、自己肯定感のこと。
その結果、結果にとらわれないでいると、結果が伴ってくる。
自己否定は「強敵」ですが、自己肯定は「善友」。
死ぬ直前の、最後の最後まで頼れる「心の友」です。
いつもそばに、ずっと一緒にいてくれます。
死ぬ間際に「それでいい」「仕方がなかった」と言えれば、大往生です。
▶自分にも「都合」や「事情」がある
そして自己肯定感が高いと、自分の都合や事情を優先できます。
他人の都合や事情をスルー(も)できるから「人目」が気にならず、唯我独尊でボールに集中できるのです。
「自分の都合や事情を優先するなんて、相手に失礼だ!」などと感じられるならば、相手の心の器を小さく、寛容度を低く、見積もっています。
「他者肯定感=自己肯定感」の相関です。
自分の都合や事情を周りの人は受け入れてくれるという「温かな見方」ができると、自分らしく堂々と振る舞えます。
またそういう自分でいると、相手の事情や都合を(も)慮れるから、「人それぞれ」の領域を侵さずいられるため、お互いに「遠慮の要らないテニス」を楽しめるのです。
そのテニスは、パフォーマンスがスーパーハイレベル。
逆に言うと、自己肯定できないでいると、どこか周りの人に「責められそうな圧」を感じます。
▶弱いままでも大丈夫な「強さ」
自己肯定感が高まると、完璧にこだわらずにすみます。
テニスはミスするスポーツ。
この客観的事実に基づくアセスメントができるから、ミスにもとらわれず、淡々と、のびのびと、プレーを楽しめます。
決して、勝てれば「相手が全部ダブルフォールトでも構わない」という考え方にはなりません。
自己肯定できると、「テニスが弱いままでも大丈夫な強さ」を手に入れられます。
テニスが弱くても、自分は自分で、存在するだけで価値がある。
すると実際のテニスも、本当に強くなるのです。
「完璧主義を手放すと完璧に近づく」というカラクリです。
▶「幸せの青い鳥」は探さない
自己否定。
敵は「外」にいるのではなく、自分の「内」にいた。
ここを乗り越えないことには、自分の打ち方やフォームにはもっと改良の余地があるなどと「幸せの青い鳥を探し始める」から、現状に対して否定的になり、人目が気になり、完璧にこだわるあまり、完璧から遠のくばかりです。
▶「戦う」のではなく「和解する」
自己否定という手強い相手。
敵とはいえ、戦う必要はありません。
むしろ和解する感じで、「仕方がないよね」。
そんな自分を受け入れたとき、和解します。
自己肯定感は、最後の最後まで、一生頼れる「心の友」です。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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