質問129:フォームが変だと言われる
回答
▶「素振りのフォーム」は整っているはず
お尋ねしますが、素振りでも変なフォームだと言われるでしょうか?
素振りなら整ったフォームでスイングできるという人が、ほとんどです。
ですから、ほとんどの人にとって、フォームは問題ではありません。
素振りの時点で明らかな問題があれば、素振りはフォームを覚える以外にも、なめらかに振れるようになる優れた練習方法なので、ぜひ取り組んでみてください。
繰り返しこそ、世界最高レベルの学習法です。
▶フォームの乱れは「症状」であって「原因」ではない
素振りでは問題ないのに、いざボールを打とうとするとギクシャクする、フォームが乱れるというのであれば、それはフォームそのものというよりも、別のところに原因があるのです。
素振りならフォームは整うのに、打つ段になるとフォームが乱れるならば、ボールとの同調に成功していません。
つまり、飛んでくるボールよりも早くスイングしすぎたり、遅くスイングしすぎたりする結果として、フォームの乱れが表面的に現われているのです。
たとえば過食症というのは、表面に現れている食べ過ぎる、吐き戻す「症状」なのですけれども、その衝動を抑え込もうとすると目に見えない本当の原因である「ストレス」が増大して、ますます症状もひどくなるのと同じです。
▶体はフォームを「乱してくれている」
たとえば飛んで来るボールに対して上半身がのけ反ったりするならば、スイングが遅れています。
あるいは前のめりになったりするならば、スイングが早すぎです。
つまり、体は打球タイミングに操られて動くのです。
この場合、フォームを正そうとする練習に意味はないし、できません。
過食症を押さえつけたからといって衝動を抑えられないのと同じです。
むしろ余計にひどくなる。
体がのけ反ってくれなかったら、詰まったインパクトの当たりになります。
前のめりになってくれなかったら、ボールにラケットが届きません。
体は、何とか上手くインパクトするために、フォームを崩して合わせにいってくれているのであり、無理やりフォームだけ整えようとすると、今度は当たらない(フレームショットする)というエラーが発生するのです。
▶フォームは「結果」であり「手段」でもある
フォームの乱れは、タイミングが合っていないために生じる「結果」であると同時に、ズレたタイミングでも何とかボールに当てるための「手段」にもなっているというわけですね。
乱れたフォームは、上手く打つための「手段」。
ですからフォームをきちんとしようとすればするほど、ミスが増えることはないですか?
いくら「背すじピン」が正しいフォームだからといって、タイミングが遅れているのにのけ反らなければ、ボールはポーンとコートを飛び出します。
ボールとのタイミングが合っていないのに、フォームだけ正そうとしても効果はないというよりも、まったくの「逆効果」です。
▶「素直でいる勇気」を発揮する
目に見えないところに原因があっても、私たちはつい、見た目に分かりやすい表面上の結果や手段(フォーム)に問題解決の糸口があると思い込みがちです。
顧問や周りの人たちのアドバイスを聞き入れるなら(聞き入れる必要はないのですけれども)、そのようなフォーム作りは素振りで終えておき、実際にボールを打つプレーにおいては、身体動作は意識しないてください。
顧問が何と言おうと、素直でいてください。
ただしここで言う素直とは、「大人の言うことをよく聞く素直な子」などという解釈ではありません。
むしろまったくの逆で、大人に言われても、自分がやりたいように、言いたいように試行錯誤する「素のまま真っすぐ」が本物の素直。
ジュニア時代の錦織圭は、コーチに言われても「スルー」して、自分のやりたいプレーをしたのです。
▶「とやかく」言わせないために
あるいはこちらで述べたように、「とやかく言わせない」ためにボールへの集中力を上げればいいのです。
たとえば「テイクバックはコンパクトに」とは常識的なテニス指導では言われますけれども、テイクバックが人一倍大きすぎても、上手く打てていれば誰も文句は言いません。
そういう部員もなかにはいるのではないでしょうか?
「ローボレーはヒザを曲げて腰を落とせ」というけれど、ひらりと舞うジョン・マッケンローにとやかく言う人はいないのです。
▶「早く動いてしまう」問題
ボールとの同調について、テニス中上級者だと相手のボールスピードも上がりますから、飛んでくるボールに対して遅れるケースが多くなります。
一方初中級者の場合は意外にも、早すぎるエラーも少なくありません。
飛んで来るボールよりも、「先に動いてしまう」のです。
そのせいで先に動きすぎるから、あとから動き戻したりするせいで、その動きはドタバタと慌ただしく映ります。
一方テニス上級者はボールに合わせて動くから、頑張って動いている印象ではないのに、スーッとボールへ優雅に追いつくのです。
▶東大生も中卒も遺伝子レベルに差はない
また、「スポーツに向いていないのではないか?」という懸念ですが、一切考えなくて構いません。
それはこちらで述べている、東大生も中卒も遺伝子レベルに差はないのと同じです。
人間の体は約37兆個の細胞でできていて、そのうちのたったひとつの細胞核の中に約30億文字分の遺伝子情報が収められています。
日々行われる細胞分裂は、一字たりとも間違わずにコピーが繰り返される生きる営みだというのです。
体は精緻。
能力は誰しも持っています。
ただそれを引き出せるか、引き出せないかの違いだけです。
▶上級者になくてテニス音痴にあり、テニス音痴になくて上級者にあるもの
伸び悩むテニス音痴と、テニス上級者との違いは次の2点のみ。
「現実に対するイメージのズレ」が、伸び悩むプレーヤーにはあって、テニス上級者にはありません。
ボールに対する「集中力」が、伸び悩むプレーヤーにはなくて、テニス上級者にはあります。
本当にただ、それだけです。
運動神経が「要らない」といえば語弊があるかもしれませんけれども、テニスに運動神経は必要ありません。
どこまでが運動神経で、どこまでが違う神経かの区別にもよりますけれども、イメージも集中力も、いわゆる運動神経とはあまり関係ないのです。
▶自分にはないと思い込んでいるけれど、実際にはある「イメージのズレ」
まずは「現実に対するイメージのズレ」です。
多くのテニスプレーヤーが「自分にはそんなものない!」と思い込んでいるのですけれども、上手くプレーできないならば、あります。
特に、素振りのフォームは整っているのに、プレーになると乱れるならば、その原因は「現実に対するイメージのズレ」です。
あるいは練習では上手く打てるのに、試合になると打てなくなるのも、イメージが揺らぐからです。
現実に対するイメージのズレがあると、どんなにボールに集中して、回転や毛羽を見ても、タイミングよくボールをヒットできません。
こちらで紹介しているとおり、動画最初のロジャー・フェデラーによるミスは、彼の内的なイメージのズレ、錦織圭のミスはそうではなくて、解説者が言うとおり太陽が目に入った外的な原因に起因するエラーです。
改めて動画をご案内してみます。
▶「化ける」ときはやって来る
「思い込み」というのは、自分が思い込んでいると「気づけない」ところに、その本質があります。
このズレさえなくなってしまえば、問題は一発解消。
「あんなに苦しんだテニスの悩みは一体何だったんだ」というふうに、化けます。
ですが、フォームを「意識」していると、いつまでたっても「現実に対するイメージのズレ」はなくなりません。
なぜなら思考がフォームで占拠されているので、他の情報が入ってこないからです。
なので、どうぞ「素直」でいてください。
「大人の言うことを聞く素直な子」ではなくて、自分の気持ちに「素のまま真っ直ぐ」プレーすれば、上手くいきます。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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