質問121:コーチに言われる配球ができないのはなぜ?
回答
▶集中は楽しい
テニスが楽しくできるようになってきたのは、好循環の兆候ですね。
集中というと、頑張りや努力、真面目などを想像する人もいるかもしれませんけれども、それは集中している人を、外側から見た印象。
プレーヤー本人の内側としては、テレビゲームに夢中になる子どもと同様、「集中=楽しい」のです。
ですから「テニス上達ワクワク・エンジョイ大作戦!」が効くのです。
▶配球パターン以前に、狙えない
さてご質問につきまして、最近同じような内容の問合せをいただいていましたので、まずはそちらをご紹介します。
回答例をご参照いただくと、コーチの言っていることがなぜできないのか、お分かりいただけると思います。
どうすればできるようになるのかは、この回答を読み進めてもらえれば分かります。
多くのテニス愛好家は、狙わず(狙えず)に打っている(と思い込んでいます)。
ですから配球パターンをいくら教えられても、できないものはできないのです。
ここが根本的な原因です。
自信があれば、「次の一手を考えてボールを打てる」わけではありません。
リンク先にあるように、いかに早く狙うコースを決定できるかどうかがポイントです。
換言すると、早く狙うコースを決定できれば、「ここしかない!」という自信と確信を持って、打てるようになります。
行動(狙う)が先で、感情(自信と確信)があとというのが、アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズが提唱した「アズイフの法則」なのでしたね。
▶「大きすぎたか!」のセルフトークが邪魔をする
精一杯になるのは自分でも自覚できない思考領域で「ミスしたくない」「うわ、大きすぎたか!」「速いボールが来てほしくない」「甘いボールを打っちゃった」などと、セルフトークをしているからです。
特にゲーム形式ではそうなりがちです。
リンク先の繰り返しになりますけれども、たとえば、2人対1人で打ち合う練習で自分が1人のストローク側に入ったとき、相手の2人へ交互に打ち分けるコントロールは、きっと難しくないですよね。
言ってみれば、クロスとストレートへ、あるいは立ち位置によってはセンターと逆クロスへ、コントロールしているのとシチュエーションは同じです。
これは、狙いが早い段階で(練習ではあらかじめ)定まっているから、できます。
つまり、技術的には難しくない。
ただコース決定のタイミングが遅いと、「狙いながら打つ」ような対応になるので、ボールに集中するのが難しいのです。
自分でも自覚できない思考領域の「ミスしたくない」「うわ、大きすぎたか!」「速いボールが来てほしくない」「甘いボールを打っちゃった」などのセルフトークを鎮めるために、「集中力」が試されます。
▶「いつも狙おうとする」完璧は目指さない
とはいえ、もちろんシチュエーションによっては、追い込まれたりして狭いコース(深さも含めたエリア)を狙えずに打ち返さざるを得ないショットも、上級者であっても決して少なくありません。
完璧は求めないでください。
ですから、安心してください。
狙えないのは、ご自身や、Aさんだけではありません。
プロでも狙えない場合は、最も簡単な「来たコースへ打ち返す」だけの無難な返球も、ないわけではないのです。
▶「無意識」は狙っている
とはいえ無意識は、ちゃんと狙っているのですよ。
本当にどこも狙っていなかったならば、「横」や「後ろ」へ打ち返すかもしれませんよね。
一応、意識しなくても「前」は狙っています。
そのターゲットが「広い」か「狭い」かの違いだけでしかありません。
ですから先ほど「多くの愛好家は、狙わず(狙えず)に打っている(と思い込んでいます)」と但し書きしました。
意識して狙うのではありません。
無意識(イメージ)は狙っているので、それに委ねるのです。
すると後述する「ひらめく」感覚が出てきます。
▶2次攻撃が「いつもできる」とは限らない
2次攻撃は、「結果としてそうなる」ケースが少なくありません。
1球目では決め切れないから、無難につないで次に対戦相手から浮いてきた2球目で決めるような配球です。
「センター→ワイド」というからアグレッシブな2次攻撃的ではありますけれども、ディフェンシブな「追い込まれたからロブ→パートナーがポーチ」も、言ってみれば2次攻撃です。
あるいは「相手を深く追いやった→ドロップ」。
これも2時攻撃といえばそうなのでしょうけれども、結果的にそうなる。
このとき、深いボールで追い込んだ時点では、「次にドロップ」とはまだ、決められないですよね。
なぜなら深く追い込まれた相手も、次に深いロブを打ち返してくるかもしれません。
それでもなお、こちらが遅くて浅いドロップショットを打ったら、時間的な余裕のある相手は簡単に追いつけるから、打ち込まれてしまいます。
2次攻撃とはいえ、考えてお膳立てできるわけではなく、まさに瞬間的に「ひらめく」イメージ。
もし本当に、2次攻撃がいつも意図的にできるのだとしたら、「対戦相手もそうする」でしょう。
つまり、この矛はどんな盾でも突き通す。
そして、この盾はどんな矛をも跳ね返す。
2次攻撃がいつも意図的にできるとしたら、「矛盾」なのです。
フォームもそうですけれども、もし2次攻撃が「いつもできる」としたら、それは「戦うテニス」ではなくお膳立てされた「お遊戯会」。
できるとすれば、「サーブをワイドに入れて、相手リターンの返球をストレートへ」などに限られます(とはいえ実際にはこれも、相手リターンの返球コースしだいですから、決め打ちしようとすると逆に対応力を損ねます)。
こちらの回答例もご参考にしていただけると思います。
いえ、それで大丈夫です。
考え事をせず無心でいると、「ひらめく」からです。
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