テニス上達メモ026.すべての技術的アドバイスは「後づけ」である(自分の宝の見つけ方)
▶フォーム解説は第三者による「主観的な感想」
それが良いか悪いかは別として、すべての技術的アドバイスは「後づけ」です。
ボディターンを使ったスイングを行うから、力強いストロークが打てるのではなくて、力強いストロークを打とうとした結果、ボディターンを使ったスイングが現れたのです。
それを外側から見た第三者が主観的な感想として、「力強いストロークが打てるのは、ボディターンを使ったスイングを行っているからだ」などと、後づけの技術解説をします。
▶「納得」するから「錯覚」する
しかし実際にプレーする選手の内側には、そのような意識はまったくありません。
確かにボディターンを使ったスイングは行なわれています。
ですが、それを意識しているかどうかは別。
「ロジャー・フェデラーは、ヒジから引いている」
「バックハンドは胸を張ってフォロースルーしている」
フォーム解説は「間違えようがない」のです。
ですから納得すると、錯覚します。
▶「アズイフの法則」
原因と結果を取り違える誤解を、私たちはよくやります。
楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなるや、悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなるなど。
感情(楽しい)が行動(笑う)に反映されるのではなくて、行動(笑う)によって感情(楽しい)が生み出されるというのが、「アズイフの法則」です。
アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズが提唱。
喪失体験があるから悲しくなるのであって、まさか悲しいから喪失体験をするわけではありません。
豊かになったら、幸せになるのではありません。
幸せを「する」から、豊かになる話と似ています。
▶プロネーションしたからといって、必ずしもスピンサーブは打てない
力強く打とうとするから、ボディターンが現れ、スピンサービスを打とうとするから、プロネーションが行なわれるのであり、ロブを上げようとするから、フォロースルーは高くなります。
換言すれば、ボディターンを行うからといって、必ずしも力強く打てるわけではありません。
プロネーションを行なうからといって、必ずしもスピンサーブが打てるわけではありません。
フォロースルーを高くするからといって、必ずしもロブが上がるわけではありません(スイングを低く止めても、ロブは上がります)。
原因と結果を取り違えています。
▶すぐ近くへ投げるのに「剛腕」は振るわない
腕の振りを速くするから、速いボールを投げられるわけではなくて、速いボールを投げようとした結果、腕の振りは否応なしに、速くなるのです。
下手投げでトスするから、すぐ近くのターゲットへコントロールできるのではなくて、すぐ近くのターゲットへコントロールしようとした結果、否応なしに、下手投げのトスになるのです。
すぐ近くのターゲットへコントロールするのに、オーバーヘッドから剛腕を振るうはずがありません。
スピードもコントロールも、フォームを意識したからそうなる「原因」ではありません。
フォームはあとから出てくる「結果」です。
▶「する」のではなく、「なる」
手をグーにするから、棒を握れるのではありません。
棒を握ろうとした結果、手がグーになるのです。
たかが手をグーにするなんて、技術的アドバイスとは言えないかもしれませんけれども、これももちろん「フォーム」に関する表面的な見た目問題。
(グーに)「する」のではなく、(グーに)「なる」のが自然です。
こういうと、「チョキにしたら棒は握れないだろう。だからグーを意識するんだ」などといわれるかもしれません。
しかし棒を握るのにチョキでしようとしたら、それは逆に「意識」しないとできないから不自然なのです。
「フォームは意識しなくていいと言うのなら、逆立ちして打ってもいいのか?」という反論と同じです。
ボールを前へ飛ばすのに逆立ちするフォームには、意識しないとなれません。
すべての身体動作は目的遂行のために、意識して行なうのではなく、無意識で行なわれるのです。
▶「99パーセント」が取り違えている世の中
ところがこの点を、世の中の99パーセントの、実用書もレッスン動画も新聞のスポーツコラムも専門誌も、競技はテニスを始め、野球もゴルフもサッカーも卓球も、みんな見事に取り違えています。
「体重移動を、どうする、こうする」
「スタンスが、ああで、こうで」
「グリップを、ああしろ、こうしろ」
どれもこれも「する」指摘ばかりだから、真面目に話を聞く人ほど、上手くいかなくなってやりきれなくなります。
▶なぜ疑いもせず「フォーム指導」を信じる?
多くの人が言います。
「フォームが大事」。
疑うことなく妄信するさまは、「フォーム教」による洗脳といったら、言いすぎでしょうか?
しかも結果が出ていない現状に気づいているのは、ほかの誰でもない本人のはずです。
にも関わらず「自分には運動神経がないからだ」などと自虐にするのは、後述する「自己肯定感」のあり方に由来。
▶日本のスポーツレベル全体を「底上げ」する
「フォーム」にこだわる旧態依然としたスポーツ指導のあり方が変われば、幼いころに運動音痴で悩む子どもはいなくなるし、プロにいってからつぶされる選手もいなくなります。
ひいては日本のスポーツレベル全体の底上げに通じます。
野茂英雄もイチローも、フォーム指導に従わなかったから、大活躍したのです。
そしてもちろん錦織圭も。
99パーセントが「信者」なのですから、これまでにどれだけのタレント(才能)がスポイル(ダメに)されてきたのかを思うと、言葉に詰まります。
▶アマチュア時代は活躍したのに、プロにいって大成しないわけ
アマチュア時代は活躍したのに、プロにいって大成しない選手が少なくないのは、野球にせよゴルフにせよ、「大人によるフォーム指導」が関わっています。
誰とは言わずとも、「高校時代はすごかったのに」「ジュニア時代は活躍したけど」と惜しまれる声が聞こえてきます。
▶自分の中に埋もれてある「宝」
親は「木の上に立って見る」と書くのでしたね。
大人が人工的な手を加えなければ、子どもは素直(素のまま真っ直ぐ)に、ぐんぐん成長していきます。
技術的アドバイスによるフォーム矯正は現時点でのフォームに関する、指導者からの他者否定であり、自分から意識するのは自己否定。
逆に言うと私たちは自分で自分を肯定すれば、自分で自然に成長していけるのです。
それが、「自己肯定感」。
自分の好みや得意や何がしたいかやどう動きたいかは、深いところでは自分にしか分かりません。
そこに「宝」があるのです。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
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