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『ドライブ・マイ・カー』マイレビュー蔵出し

見た当初のレビュー

村上春樹の短編小説の原作を映画化した濵口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』。接触事故や代行運転手など原作の主要要素を残しながら、妻のシーンや演劇の演技論、戯曲「ワーニャ伯父さん」の練習風景、演劇シーンを入れる大胆なアレンジに驚きつつ、しっかりと濵口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』、いや、『シン・ドライブ・マイ・カー』になっている!
 

緑内障になった主人公と運転代行とのやりとりや妻の不倫相手との対峙など原作の重要箇所をおさえつつも、それ以上に全編のセリフの硬さが気になる。しかし、そこは意図的な演出で、それが「ワーニャ伯父さん」の本読みのシーンと主人公・家福の車内での練習シーンで分かる。そうすると、すべての会話に微妙な強弱が見え、また全編が虚実、演技か素なのか曖昧な部分が面白い。

 

中でも外国人とのやりとりや、手話を使う韓国人のやりとりが良い。言語が通じない分、表情などで言語を補っているので、他のキャラも表情で見ると面白くなる作りになっている。

そんな中で、主人公の家福と家福の専属ドライバーになるみさきの無表情・無機質さが際立つ。無表情・無機質とは言っても全くの棒ではないので、その細かさを楽しむ。

 

「ワーニャ伯父さん」や妻の音が語る「空き巣をする女子高生」や八目鰻の話などのメタファーを楽しむ作品でもあるので、おとなしめのドラマ映画を見慣れていない人にはいまいち乗れないかもしれないが、今年ベスト級の大傑作! これまでの日本映画を見返したくなるぐらい映画の演技を見つめ直せる。

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