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信州そばは奥が深い

結論

長野県内だけでも地域によって、ご当地そばのバラエティが豊富だった。


秋は新そばの季節、最後の食事に味わいたい年越しそば。新そばは、その年にとれた蕎麦の実を粉に挽いて、作ります。特に香り高いです。12月まで、新そばが楽しめます。

12月31日に食べるものとして、そばが真っ先に浮かびます。1年のシメとして、そばを食べたいです。なぜ、年越しそばが定番になったかについて、こちらの記事をお読みください。

今回は、長野県に伝わるそば料理について、紹介します。

長野県が蕎麦文化の強い理由

長野県は1000~3000m級の山々に囲まれており、標高が全体的に高いです。土地がやせており、涼しい気候の長野県では、稲作に向かない土地でした。一方、蕎麦は、やせた土地、涼しい気候でも育ち、2,3か月程度で収穫できます。そのため、米の代わりとなる食糧として栽培されてきました。

長野県では、縄文時代には蕎麦が食べられていたと考えられています。蕎麦の実をそのまま煮込んで食べたり、蕎麦粉に熱湯を加えてこねて団子状にしたものを食べていました。現在も、そばがきとして食べられています。

戦国時代には、長野県内で、そば切りが食べられていました。そば切りが誕生しても、家では手間ひまかかるため、江戸時代まで、普段はそばがき、お祝いごと、おもてなしとして麺が食べられてきました。

長野県各地で誕生したご当地そば

長野県は南北に長いため、気候が県内でも異なります。特に冬になると、顕著な気候のちがいが現れます。北部は豪雪地帯、南部は温暖な気候です。気候の違いによって生産される農産物も異なります。そのため、県内各地で独特の蕎麦文化が誕生しています。

戸隠そば

長野県北部にある長野市戸隠地区で食べられています。戸隠地区には、戸隠神社という日本屈指のパワースポットがあります。戸隠神社を目指す修行者に向けて、ふるまったおもてなし料理として、江戸時代に戸隠蕎麦が誕生したと言われています。戸隠そばは信州そばの最高峰とされ、岩手のわんこそば、島根の出雲そばと並び日本三大そばの一つとされています。

戸隠そばの特徴は、「ぼっち盛り」という独特の盛り付け方です。ぼっち盛りは1口大の1つの輪状に盛られており、5つの輪があります。5つの輪は戸隠神社の5社にちなんでおり、一つの輪が人の魂の形を表しているとされます。

ざるそばは、蕎麦のコシ、香りが強く楽しめます。濃いめのそばつゆに軽くつけ、すすると、のど越しと香りが広がります。

戸隠そばについて、さらに詳しく知りたい方は、こちらをお読みください。

高遠そば

長野県南部にある伊那市高遠地区は、高遠藩の拠点である高遠城の城下町として発展しました。明治時代、旧高遠藩士が植えたとされる高遠城址公園の桜が有名です。

辛味大根のおろし汁に焼き味噌を溶いてつゆを作ります。醤油が普及する前のそばの食べ方でした。ねずみ大根が主役です。ねずみ大根は小さく辛みが強いです。ねずみ大根は、江戸時代には長野県のいたるところで栽培されています。冬が旬です。

辛味大根の辛さが先にきて、焼き味噌の香ばしさ、甘味が後から広がります。現在の上田市付近では、うどんのつけ汁として辛味大根のおろし汁が使われています。「おしぼりうどん」と言われます。

すんきそば

長野県南西部の木曽地域で食べられています。すんきとは、赤かぶの葉、茎を乳酸発酵させた漬物です。11月〜1月の農作業が落ち着いた時期につくられます。塩、酢など調味料を使わず、乳酸菌の力だけで発酵させるため、塩辛さはなく、キムチのような酸味が感じられます。すんきを細かく刻み、温かいかけそばの上に乗せます。酸味と香りから、どこか懐かしさすら感じられました。

くるみそば

長野県東部では、くるみの栽培がさかんです。くるみをすりつぶしてペースト状にし、そばつゆと合わせてくるみダレを作ります。そばをつけて食べると、くるみのコクのある味わいと豊かな香りが口の中へ広がります。

蕎麦湯

長野県の蕎麦屋さんに行くと、ざるそばと同時に蕎麦湯が提供されることが多いです。蕎麦湯とは、蕎麦の茹で汁です。蕎麦を食べたシメとして、そばつゆをちょうどいい濃さに調整して飲みます。蕎麦湯には、蕎麦から出た栄養が閉じ込められています。蕎麦には、ビタミンB、タンパク質、鉄分、カリウム、ルチンなどが含まれています。


今回は、長野県のご当地そばについて語りました。長野県内のそば料理は奥深く、まだまだほんの一部しか出会っていないことに気づかされました。

参考文献

  • 尾形希莉子、長谷川直子,(2018) ,そばうどん知恵袋111題, ベレ出版.

  • うどんそば編集部,(2018) ,地理女子が教える ご当地グルメの地理学, 柴田書店.

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たびてく@一人旅ガチ勢
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