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【技法・材料】重要無形文化財保持者   前田昭博氏、十四代今泉今右衛門氏のお話を聞いて

 5月8日、石川県立美術館にて、「白磁」の重要無形文化財保持者 前田昭博氏、「色絵磁器」の重要無形文化財保持者 十四代今泉今右衛門氏による講演がありました。聞き手は、国立工芸館長 唐澤昌宏氏です。(全国・いしかわの工芸講演会 特別対談「伝統陶芸の未来」)

 高校生の時に出光美術館や戸栗美術館で鑑賞して以来、私は鍋島焼、とくに最盛期の色鍋島が大好きです。今回の講演は、またとない機会であり、何日も前から楽しみにしていました。講演は2時間とあっという間でしたが、非常に濃密な時間で、先生方の一言一言が自然と染み込んできました。

 お話されていたことは、ご自身の作品に関することから始まり、自然や風土のこと、素材のこと、歴史・伝統、作品の品格・格調、表現、揺らぎ・ずれ、偶然、白へのこだわり、色絵の線について、3Dプリンターなど、さまざまに展開していきました。

 前田氏・今泉氏のお話の中でとくに印象的だった言葉を以下に書き残しておきます。講演の覚書ですので、言葉の細部は正確ではありません。ご理解ください。

前田昭博氏
「和辻哲郎は本の中で、『芸術とは素材に形をつけること。』と書いています。まさにその通りだと思います。素材の持ち味を形にする。私も磁器制作を重ねる中で、形と素材が一体化する時があります。」
「個性を出すというより、風土・素材の上でやっている中で個性が生まれると思います。」

今泉今右衛門氏
「平良(敏子)さんの芭蕉布は、糸をつくるのがまず大変なんです。ですから、余計な文様をつけていません。簡単にできるようになると、人間は余計なことをしてしまう。現代において大切なことは、このようなことではないかと思います。」


 皆さんもぜひ機会がありましたら、前田昭博氏、今泉今右衛門氏のお話を聞いてみてください。

動画① 前田昭博氏の講演

動画② 十四代今泉今右衛門氏へのインタビュー


 この講演会は、国立工芸館(石川県金沢市)で開催中の企画展「未来へつなぐ陶芸―伝統工芸のチカラ展」のイベントです。6月19日まで金沢で開催され、その後全国に巡回するそうです。こちらも必見です!

↓↓↓国立工芸館ホームページ
https://www.momat.go.jp/cg/exhibition/ceramics-of-the-past-and-of-the-future/




カバー画像引用元:https://www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp/plan/detail_393.html

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