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紅くらげに告ぐ

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長編4作目
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2024年11月の記事一覧

紅くらげに告ぐ #1

紅くらげに告ぐ #1

いつかはきっと報われる。

そんな言葉に惑わされて何も無い日々に希望を打ち立てる。

それが、人間。

   

    生まれ変わったら何になりたい?

世界で一番くだらなくて、この世界に辟易している事を暗喩している恐ろしい質問。

俺はこう答えたことがある。

          ベニクラゲ

周りの人間はキョトンとしていた。

なんでベニクラゲ?と聞かれたから、こう答えた。

ベニクラゲは不

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紅くらげに告ぐ #2

紅くらげに告ぐ #2

??:はぁー....めんどくさい仕事終わった...

??:お疲れ様、飯あるけど食う?

??:ちょーだい....あれ?〇〇は?

??:仕事入った。

??:へー.......

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カチャ

何で? というより初めて見た。体が固まって動けない。

和:な...何で...

〇〇:すーっ....はぁ....

タバコの臭いが

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紅くらげに告ぐ #3

紅くらげに告ぐ #3

〇〇:ふぃー....今日も仕事終わりっと。

後輩:お疲れ様です!

〇〇:今日はミス無しだったな。

後輩:先輩のおかげです!

〇〇:今度飯行くか。奢るよ。

後輩:ほんとですか!? ありがとうございます!

〇〇:よしっ!じゃあ美味い飯目指して、来週も頑張るかー。

〜〜

後輩:じゃ、僕はここで。

〇〇:うぃー。お疲れー。

後輩:お疲れ様です!蓮加先輩も!

ウィーン エレベーターの扉

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紅くらげに告ぐ #4

紅くらげに告ぐ #4

和:ご飯出来たよー。

「やったぁ!皆んなご飯だってー!」

和:そんな焦らなくても大丈夫だよ笑

大きめのテーブルを何個か並べ、その上に料理を並べていく。

「「いただきまーす!」」

嬉しそうに食べてくれる子供達を見ると、こっちまで笑顔になれる。

イチノセ孤児院に来て、わかった事がいくつかある。

・皆んな普通に学校に通っている事。

・〇〇、九条が帰らない日が多い事。

・美空がこの孤児院

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紅くらげに告ぐ #5

紅くらげに告ぐ #5

「鬼ー! やっと帰って来た!」

「あっちで遊ぼー」

鬼木:うっせぇ!今取り込み中だっての。

パァン!

「ぎゃー!笑 皆んなー!鬼に撃たれるぞー」

「逃げろーー!笑」

和:な...なんなのこの状況...

子ども達に銃を撃ち、それを子ども達は笑いながら逃げている。

私に向けて撃たれた銃声を聴いて、みんな起きて来たみたいだ。

鬼木:んで、こいつ誰。

カチッ

鬼木:ありゃ...弾切れ

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紅くらげに告ぐ #6

紅くらげに告ぐ #6

鬼木:寒ぃな....雪降ってもおかしくねぇぞこれ..

和:.........

私は190cmはあるだろうという巨躯の後ろをついていく。どんどんと、いかにもという路地に入っていく男は、特注であろうマスクを被り、顔を隠す。

鬼木:お....いたいた。

和:....あ....

巨躯の後ろから少し顔を出して路地を見ると、高校生らしい男が、三人程の大人に囲まれている。

鬼木:よし、じゃあここで待

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紅くらげに告ぐ #7

紅くらげに告ぐ #7

ガチャ

和:ただいまー....

シャワーも浴びずにベッドへと倒れ込む。寒さのせいもあってか、体がどっと疲れている。

和:ふぅ......

目を瞑っても、頭を巡るのは先刻の出来事。鬼木が悪い人では無いのはわかった。むしろ良い人。

気がかりだったのは、鬼木から聞いた〇〇の話。

和:(全然わかんない....どんな人か...)

鬼木含め、様々な人を救っているのは話を聞いてわかった。何でも屋が

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紅くらげに告ぐ #8

紅くらげに告ぐ #8

美空:ただいまー....

鬼木:おう、おかえり。

美空:はぁ....疲れた。

鬼木:今日ダンスのレッスンか?

美空:うん.....あれ?和は?

鬼木:あぁ、〇〇の仕事についてった。

美空:えぇーーー!!!??

鬼木:なんだよ笑

美空:ぶぅー.....私もまだ連れてって貰ったことないのに....

鬼木:はっは笑 和には必要な事だったんだろ笑.....てか何、まだ〇〇の事好きなの?笑

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紅くらげに告ぐ #9

紅くらげに告ぐ #9

サツエ:ありがとう。散歩に連れて行ってくれて。

和:い、いえいえ、こんな事ならいくらでもやります。

寒空の下の散歩。30分ほど歩いて、家路についた。澪が来てからは、サツエさんは殆ど澪とばかり話していた。

.....私が初対面の人と話すのが苦手っていうのもあるんだけど。

澪:ねぇ、お婆ちゃん。和に町を案内して来てもいい?

サツエ:あら、いいわね。私はお留守番してるから楽しんで?緊急の時はモ

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紅くらげに告ぐ #10

紅くらげに告ぐ #10

和:............

体が硬直して動かない。布団に入って、ギュッと目を瞑る。

カタカタカタカタ

部屋にはパソコンのキーボードを叩く音だけが響いていた。

〜〜

数分前

コンコンコンッ

半ばヤケクソになって、扉をノックした。

「あ?誰だー?」

扉の向こうから声が聞こえる。

和:わ、私です! あぁ...和です...

「........入れ」

少し沈黙があった後、私は部屋に

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紅くらげに告ぐ #11

紅くらげに告ぐ #11

澪:あ!ちょっとテレビつけて良い?

朝ご飯の洗い物をしていると、澪がテレビをつけ始めた。

"今月のゲストは〜....幕間京くん!1ヶ月宜しくお願いしまーす!"

澪:ひぇ〜!1ヶ月! 忙しいのに凄いなぁ...

テレビに映っていたのは、アイドルの幕間京。テレビで見ない日はないし、今一番売れてる男性アイドルなんじゃないだろうか。

和:ファンなの?

澪:んー...ファンって訳じゃないけど、なん

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紅くらげに告ぐ #12

紅くらげに告ぐ #12

「梅澤、お前今日なんか予定入ってるか?」

梅澤:いえ、特に何も。

「じゃあ、前言ってたあそこ、行ってみるか」

梅澤:あそこ?

「孤児院だよ、イチノセ孤児院」

梅澤:あぁ....分かりました。時間空けておきます。

「おう。あ、あとコーヒー」

梅澤:...はい。

巡査長になっても、環境は変わらなかった。私が女だからだろうか。

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紅くらげに告ぐ #13

紅くらげに告ぐ #13

和:おはようございます...

九条:んー、おはよう和ちゃん。

朝起きて、孤児院に行くと、既に九条が起きてコーヒーを飲んでいた。

結局あの後、程なくして〇〇が車に戻ってきた。「何も心配はするな」とは言っていたけど、何かあった事は、間違いないだろう。

家には、戻ってこなかったから。

九条:朝ご飯食べたらさ....ちょっと話あるんだけど、大丈夫?

エプロンをつけ、包丁を持った所で、そう声をか

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紅くらげに告ぐ #14

紅くらげに告ぐ #14

ガチャッ

〇〇:み、美空は!?

あれは間違いなく美空の母親だった。もしかしたら、ここにきたのかも知れない。

急いで家に帰った。美空に何か起きているかも知れない。勢いよく扉を開けた。

和:へっ....

〇〇:んあ?

電気がついていたのは、子供達が遊ぶ広間だけ。そこで和が一人踊っていた。

和:い、今のは...な、何でもなくて!

〇〇:何も言ってない。練習してたんだろ?良いじゃんか。

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