【連作】ヨッチのこと5
給食時間。
ツヨシが一方的に絡んできたから悪いのに、何故か一言だけ言い返した僕まで先生に酷く叱られた。
喧嘩両成敗…なんて理不尽な理由で叱られるのは納得いかない。
机で一人突っ伏していると、ヨッチの声が降ってきた。
「5時間目、“ぼいこっと”しようぜ。付き合うからさ!」
顔を上げるとイタズラっぽい笑顔がそこにある。
僕は立ち上がった。
きっと先生に叱られても納得できる、と思えたんだ。僕は僕の意思でヨッチと“ぼいこっと”するんだから。
途端に楽しくなってきて、ゲラゲラ笑いながら2人で教室を飛び出した。5時間目開始のチャイムを、僕らだけが逆走する。
ツヨシの事なんてもうとっくに忘却の彼方。
end
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