「学びをどこまで深められる?」ポスター:ブルーム・タキソノミーを教室に!
学びはもっと深められることを伝えたい!
「先生、それ知ってるよ~」
塾などですでに予習している子が授業中にこのような発言をすることはないでしょうか。
これ自体は問題ではありません。なにも知っていることを隠す必要もありません。
ただ問題なのは、「表面的に知っていること」=「学習」だと思っている状態です。
そうではなく、実際に確かめて実感として理解したり、いろいろな他の知識と結び付けたり、整理・分析したり、時には新たなアイデアを生み出したり…といった「深い学び」の楽しさこそ味わってほしい。
そんな思いで今回作ったのが、以下のポスターです。(最後にPDF版も添付いたします)
この内容は決して私のオリジナルではなく、
『ブルーム・タキソノミー』という心理学のモデルが基になっています。
ブルーム・タキソノミーとは
ブルーム・タキソノミーとは、アメリカの心理学者のブルームが教育の目標を分類した理論モデルです(注:例のラーニングピラミッドと違ってきちんと研究されたものです)。
「記憶する」というのが認知活動の一番ベースの部分にはあるものの、それよりも高次の認知過程はたくさんあり、そのどこを教育目標にするのか、ということを考えるための理論モデルです。
もともとはブルームが試験問題作成者のために大量の試験問題を集め、分類し体系化したものですが、その後さまざまな批判を受け、弟子のアンダーソンやクラスウォールによって出された改訂版が現在主流となっています。
こう見ると、ブルームの初版では「名詞形」で示されていたものが「動詞形」になっていますし(「知識」というのは他の階層にも関係しているので、「記憶する」という動詞に変えられたわけですね)
トップが「評価」から「創造する」になっているのも大きな変化ですね。
なお、現行の学習指導要領では、「記憶する」~「(一部の)応用する」までが「知識・技能」、「(一部の)応用する」~「創造する」までが「思考・判断・表現」に対応しています。
このブルーム・タキソノミーを教室に掲示し子どもたちとシェアすることで、「深い学び」を可視化し、「自分は今どの段階をやろうとしているのか?」「今日の学習ではどこまで行けそうか」「自分の学習はどの段階だったか」など、目標設定や振り返りにも活用できると考えました。
このポスターのポイントと活用法
このポスターのポイントは、あえて本家とは上下逆にしたことです。
これには明確な意図があります。
教室にはいろいろな子どもがいます。
「記憶する」「理解する」ことに一生懸命になる子どもたちは「低いレベル」なのでしょうか?また「低いレベル」の学習は不要でしょうか?
そんなことはありません。どの段階の学習であっても、その子なりに価値があるはずなのです。
そこで、「低い↔高い」ではなく、「学習を深めていく」というイメージを大事にしようと、あえて上下を逆にしたスタイルで子どもたちには提示しました。
もちろん、子どもたちの学年や実態に応じて、言葉を変更することがあってもよいでしょう。
また、右に書かれている具体例は、教科や単元によって変更してもよいかと思います。
使い方としては大きく2種類を想定しています。
1.今日の学習活動はどの階層なのか理解する
今日の学習活動を説明した後に、このポスターのどの階層をやることになるのか示すことで(あるいは学習後の振り返りで示すことで)、それぞれの階層の具体的なイメージが子どもたちにできてきます。
2.目標設定や振り返りに活用する
ルーブリックのように、今日の授業の「理解する」はこんなこと、「分析する」はこんなこと…と具体的な内容を示し、
自分はどこを目指せそうか目標設定したり
どこまで深められたか振り返って自己評価したり
することにも使えます。
もしよろしければ様々な場面でご活用いただき、どうだったかを教えていただけますと幸いです!
PDFデータは以下からダウンロードいただけます。