潮風
どこにも
居場所がないのは
誰もが同じ
グラデーションな
気分を抱えて
見えないように
している
孤独な内と
変わらないのだろう
僕らが見ている
世界は
本当はもっと
違う色をして
見る人の角度や
覚悟で
薄く見えたり
濃く見えたり
それを繰り返して
波の間に間に
浮かんでいる
本当のことは
当の本人にも
わからない
相対的なもので
そう思いたい
気分が支配する
幻想なんだろう
幻想なんだろう
幻想なんだろう
遠く遠く
海より遠く
消えてなくなるまで
遠く
疲れた旅人たちが
また
歩き出すまで
海を見ていたい
そう
さざ波は揺れて
潮風が
においを運んで
今まで言った
すべてを
洗い流す
人なんて
人が作ったものなんて
人で出来たものなんて
砕けて散って
潮風に乗って
海に散骨されればいい──
また歩き出すまで
ここにいたい
波に揺られ
潮風を浴びて
夕日が海の向こうに
沈んでいくのを
ただじっと
永遠に見ていたいんだ