見出し画像

さぁ、“学び方” 改革へ

column vol.1129

「ラーケーション」という言葉はご存知でしょうか…?

これは、「ラーニング(学習)」「バケーション(休暇)」を合わせた造語で、愛知県が提唱した新しい学習のカタチ。

…私は、この記事を読むまで知りませんでした…

〈JIJI.COM / 2024年1月29日〉

こちらは、児童生徒保護者の休暇に合わせて平日に学校を休める制度。

愛知県(名古屋市は除く)と大分県別府市が昨年9月に導入し、来年度には茨城県栃木県日光市なども始めるそうです。

…少年時代の私が生きた昭和の頃では考えられないような制度…(驚)

ただ、この制度の目的を理解していくと、ビジネスの現場に通ずる大切な視点が見えてきます。


机では学べないことを学ぶ日

改めてラーケーション制度について説明しますと、こちらは2つの目的があります。

1つは「子どもが家族と過ごす時間を増やす」こと。

これは、働き手が家族の時間を大切にするワークライフバランスに通ずるところがあると思います。

特に温泉街で有名な大分県別府市は、観光業に従事する親御さんも多いので、平日に休みを設けることで、親子の絆を深めることができるわけです。

そして、目的の2つ目「アクティブラーニング」への意識づくり。

主体的に体験学習することが目的で、机の上では学べないことを学べるように促します。

例えば、愛知県ではバイオリン工房製造工程を見学したり、国会見学したりする事例があったそうです。

また、4月に導入する茨城県では全ての県立高校と希望する公立小中学校などで年5日まで取得を認め、体験探究に加え、自分の生き方を見詰め直す機会につなげるとのこと…(驚)

まさに、働き方改革ならぬ「学び方改革」です。

県のご担当者さんは

人工知能(AI)の台頭で知識や技能が中心だった学びの変化が必要になっている。体験、探究活動は今まで以上に重要で、社会と接点を持つことで成長してもらいたい」

と語っているそうですが、「知識や技能が中心だった “学び” 」の部分を “仕事” に変えたら、そのまま社会人にも当てはまる話ですね。

(ちなみに、高校生は保護者と一緒に活動する必要はないそうです)

「週休3日制導入」への重要な視点

ビジネスの現場で、学習機会の創出につなげようとしているのが「週休3日制導入」でしょう。

子育てや介護を抱える世代の離職防止や、増えた休日をリスキリング(学び直し)などに充てることで社員のスキルアップにつながることが期待されています。

特にリスキリングに焦点を絞ってお話しすると、大手企業約1600社を会員に持つ経団連は、生産性向上のために「働き手の主体的な学びが必要」と訴え、自己啓発のための時間確保として希望する社員が週休3日で働ける「選択的週休3日制」の導入が有効だとしています。

政府も2021年6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」選択的週休3日制の導入を促しました。

…とはいえ、特に中小企業にはマンパワーの余白がないですし…、導入にあたって3つのパターンのどれを選ぶか、…なかなか結論が出ないという企業もあるでしょう。

【3つのパターンとは】
①「圧縮労働型」
…休日を増やしても週の労働時間を変えない。平日の負担増
②「給与削減型」
…労働時間を減らすことで休日を確保するため給与も時間に応じて減額
③「給与維持型」
…休日を増やし労働時間を減らしても給与額は現状維持

ちなみに、海外でもまだ道半ばのようですが、成果も出てきているとのこと。

イギリスのケンブリッジ大学やアメリカのボストン大学などの研究チームの調査では、22年6~12月に広告や金融・保険、建設などイギリスを拠点とする61の企業・団体週休3日制を試行。

9割超56社が今後も続け、18社恒久的な制度にする考えを示しました。

また、23社では試行期間中、収益が平均1.4%増加

参加企業は会議の開催頻度を減らしたり従業員が仕事に専念できる時間を設けたりしたことで生産性向上につなげました。

以前、【「忙しい」って言わない…】という記事で、人は与えられた業務量を与えられた時間めいいっぱい使ってしまうという「パーキンソンの法則」をご紹介させていただきましたが

こうした心理によって生み出してしまった過剰な業務もあるはずです。

世の中的には「ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)」と言うのでしょうが…(汗)、

休みを設けることで、こうした過剰部分を見直すきっかけにもなるでしょう😊

「学び直し」へのトリガーとしての休日

生産性向上は「休む」ための向上でもあり、「学ぶ」ための向上でもある。

私もバリバリ中小企業の経営に携わっているので、非常に実情は噛み締めてはいますが…(涙)

それでもやはり…、目の前の仕事に追われつつも(人的余裕はないですしね…)、いかに「学びの時間」を捻出する意識を持つかが、持続可能な会社をつくっていく上で重要になると考えています。

週休3日が難しくても、月1回は「学びの休日」を設ける。

1日で学べることはもちろん少ないですが、私はそれ以上に時代の変化や未来を考える時間として有効に使うことが良いと思っています。

先ほど、茨城県のご担当者さんの

社会と接点を持つことで成長してもらいたい

というメッセージをご紹介しましたが、まずは組織変革、自己変革のトリガーになる「きっかけ」をつくる。

ちなみに、先ほど

(AI時代の到来により)「知識や技能が中心だった “学び” 」の部分を “仕事” に変えたら、そのまま社会人にも当てはまる話ですね。

と語りましたが、「AI Market」の昨年10月の調査レポートでは、全国の18歳以上の男女(サンプル数:490名)の約6割が「chatGPT」を使ったことがないということが分かりました。

〈AI Market / 2023年10月26日〉

それなら、「生成AIに触れる日」にするだけでも、これから自分が目指す人財像を考えるきっかけや、学びへの動機も生まれやすいわけです。

そうすることで、日々の学びへの意識もきっと高まる

総務省統計局が2022年に発表した社会生活基本調査(令和3年度調査)によれば、日本の社会人の勉強時間1日平均13分

仮に1日15分勉強したとしても、平均よりも約15%も多いことになります。

学び方改革の前の、学びへの意識改革に

そんなところから、特別休暇を導入していけると良いのかもしれませんね。

結局、こうした学びの小さな積み重ねが、自社と自分を救うことになるのですから😊

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!