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フィルターバブルの向こう側へ
vol.157
今日は代官山蔦屋で一日過ごしていました。
朝から店内をグルグル回り、昼食で一回休憩を挟みつつ、午後もひたすら宝探しのようにくまなく本棚をチェックする。
それだけ、本屋は好奇心のスコープを広げてくれているのです😊
TSUTAYAといえば、最近注目されている本屋があります。
横浜・妙蓮寺にある「本屋・生活綴方」です。
この店は単なる小売ではなく、「文化創造基盤」としてクリエイティブな人たちの集いの場となっています。
〈AMP / 2024年11月13日〉
この書店を手掛けているのが、以前はTSUTAYAなどを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に勤めていた中岡祐介さん。
中岡さんは最初は本屋をやるつもりはなく、三輪舎という出版社を立ち上げたのですが、自社の本を売るため営業に行った老舗書店「石堂書店」との出会いで運命が変わります。
同店は売上に低迷に悩んでおり、CCC出身の中尾さんに相談するようになったとのこと。
その流れから、中岡さんは店の再建を担うことになったのです。
ただ、そこはCCCで活躍してきたノウハウもあり、中岡さんは5年で大幅な黒字を達成します。
そうした信頼もあり、石堂書店の目の前にある姉妹店「チャイルドイシドウ」の再建も行うように。
この店は児童書やコミックを扱っていたのですが、2000年頃に閉店して以来、本や不用品が並ぶ物置状態になっていたとのこと。
これが、冒頭で紹介した「本屋・生活綴方」につながるのです。
単に独自のラインナップを持つ独立系書店として運営するのではなく、街のクリエイティブな拠点に。
そのため、本屋に印刷機を置きます。
そして、中岡さんと関わる人たちに本を出してもらっている。
「2〜300部の本をつくっています。40〜60ページ程度の小さい本なら、誰でも面白い本をかくことができる。また、消費者ではなく作り手にフォーカスすることで、クリエイティブを楽しみたい人たちが集まる場所にしたんです」
と、その意図を説明されているのですが、出版+印刷+本屋の重なる場所として生活綴方があるわけです。
多くの人たちが本づくりに参加することで、並ぶ本にさらなる独自色が生まれる。
そして中岡さんは、こんなシビれることを仰っています。
「アルゴリズムに左右されないという点は、間違いありません。東京・下北沢の『本屋B&B』を経営するブック・コーディネーターの内沼晋太郎さんが『不便な本屋はあなたをハックしない』という言葉を伝えています。つまり、本屋はレコメンド機能や特定の情報に誘導する仕組みがなく、そこにあるのは、偶然の出会いです。広告のように『あれをやれ』『これをやれ』と言われると、自由が奪われ、ワクワク感がなくなってしまいます。しかし、本屋では自分の意思で自由に選ぶ体験ができる。これこそが本屋の価値なのかもしれません」。
アルゴリズムによって偏った情報に囲まれる「フィルターバブル」が問題になっている昨今ですが、リアルの持つ “偶然の出会い” が、これからますます求められるでしょうね。
そう考えると、本屋だけではなく、小売業全てに当てはまる。
実店舗を交流と共創の拠点として考えていくと、新しい可能性が広がるように感じます。
例えば、クリエイトしたい人が、少量から何かプロダクトを生み出せるようにしてみたり。
今はハードルが高くても、今後は少量で大量生産並みのコストで製造できる技術が現れてくる。
それも、結構近い将来だったりするでしょう。
テクノロジーの急速な進歩の、その先を見据えながら、“リアル” をどう価値づけていくかがカギを握りそうです😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!