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2024.09 岐阜・おもしろうて長良川鵜飼

9月。敬老の日の3連休。

茹る暑さの岐阜駅

母方の祖母の一周忌があり、実家のある岐阜市に帰省しました。

法事というと読経して食事会をするのがよくある流れかと思います。
ところが「こんな機会でもないと親族が集まることないから!」と、寺で法要→老舗旅館で会食→船を貸し切って鵜飼を見てフィナーレという盛大なプランが計画されていたことを直近になって知らされるのでした。

なんで鵜飼??と思ったけど、大人になってから見る鵜飼はめちゃめちゃ良かったという話。


▶︎十八楼

つつがなく法要を終え、市内を流れる長良川へ。
長良橋の近くには、格子戸のある日本家屋が立ち並ぶ河原町があります。

食事をしたのは、河原町にある創業160年の老舗旅館 十八楼。

松尾芭蕉が岐阜に訪れた際に記した「十八楼の記」が名前の由来だそう。
ロビーにも芭蕉の句が飾ってありました。

面白うて
やがて悲しき
鵜飼かな

鵜飼めっちゃ楽しかったから終わって帰るとき寂しいわ〜という気持ちを読んだ句。ディズニーランド帰りの女子みたいな句ですね。
魔法陣グルグルに出てくる「おもろうてやがてダメージ」という私のお気に入りの台詞がこの芭蕉の句から来てることに気づいて衝撃。

食事はどれを食べても美味しい。

だいすき、鮎の塩焼き

食事をすると温泉に入れるプランだったので、しっかり長良川温泉にも入りました。
この日暑すぎて法事の時から汗だくだったので、ベタつく汗を流してさっぱり。お風呂上がりのマッサージ機とアイスキャンディーは無料で完備。さすが老舗。

楽天トラベルより
楽天トラベルより

兄夫婦はこちらに宿泊だったので、ちょっとだけお部屋を覗かせてもらった。リバービューで窓からは長良川が望めます。

部屋からの眺め
香炉かな?鵜がかわいい


▶︎河原町

長良川温泉も満喫して、鵜飼船に乗るまでにまだ時間があったので兄の奥さんである義姉とダッシュで河原町散策へ。

実家がここから車で5分ほどのところにあるのですが、この日初めてちゃんと歩いて散策しました。
なぜなら土日ですら閉まってる店が多いから、大体来てもドライブスルー。

格子窓の家屋
エモだね

長良川の水運を利用した川港として栄え、織田信長の時代から多くの商店で賑わっていたそう。
織田信長が本拠地とした岐阜城も目と鼻の先。

金華山と
岐阜城

現在は古民家をリノベしたモダンなカフェやレストラン、お土産屋さんが立ち並んでいます。

赤いポストが可愛い河原町屋
お腹いっぱいじゃなかったらクリームソーダ飲みたかった。

@kawaramachiya

お洒落なお土産が揃った長良川デパート

@nagaragawa_depart

オリジナルアイテムのほかに、美濃和紙を使用したアイテムや関氏の刃物なんかも置いてあったり。セレクト商品が岐阜駅とかにあるお土産屋さんよりよっぽどセンスが良い。

美濃和紙の提灯
す〜ぐポストカード買う〜

一緒に見て回った義姉は鵜のぬいぐるみにご執心でした。鵜って青い目してて可愛いんです。
嘴の形もきゃわいい。ミニサイズもいた。


あと写真を撮り損ねたけど、rustico4と言う超人気店も。
ハード系のパンや、野菜がぎっしり詰まったキッシュ、果物のクラフィティなどがショーケースに並んでいてクラクラする。母がよく行ってるらしく、コーヒーもお墨付きの美味しさだとか。

お腹空かせて来なきゃ…。

タイミングを見誤ると全然お店開いてないのですが、この日は鵜飼のオンシーズン(5月〜10月)だったこともあり開店率高かったです。


▶︎長良川鵜飼

夕方になり、長良橋の麓にある鵜飼観覧船乗り場へ。

鵜飼とはなんぞやと言う話ですが、鵜を操って川魚を獲る伝統漁法でこの辺りの観光目玉にもなっています。
その歴史はなんと1300年前の奈良時代から。
織田信長や徳川家康も鵜飼を手厚く保護したそう。

でも観光地あるあるですが、地元民ほど滅多に行かないよね…。
私は生まれも育ちも岐阜市ですが、鵜飼は小学校の社会科見学で見たっきり。

船に乗る前に本日の鵜飼説明が行われます。

岐阜市民はだいたい小学生のときに長良川に行って鵜匠さんからお話を聞いたりする授業があるので、説明聞かなくても知ってる〜と思ったんですが最初からド肝を抜かれます。

本日の鵜飼説明
宮内庁式部職 鵜匠

宮内庁式部職!?
鵜匠さんって国家公務員なの??

どう考えても黒い台の上で説明するんだと思ったら、台には上がらずその横で説明してた
衝撃すぎて話が入って来なかった

全然知らなかったのですが、ここ岐阜市の長良川鵜飼と、さらに上流にある関市の小瀬鵜飼の鵜匠さんは皇室の祭典・儀式・交際および雅楽などを司る職位が与えられていて、完全世襲制だそうです。

そして長良川で行われる鵜飼いは「御料鵜飼」と呼ばれ、禁漁区である御料場での漁が許されていて、皇室の保護のもとに行われている日本唯一の鵜飼いなのだとか。
獲れた鮎は皇室や伊勢神宮に奉納しているそう。
え、めちゃくちゃすごいんじゃん…
そういうのもっと広めてくれよ。

他県の鵜飼は観光鵜飼なので、女性の鵜匠さんなんかもいたりするみたいです。

そんな感じで色々驚きつつ、屋形船に乗り込みます。

ちなみにこの船頭さんは大学生のアルバイトさん。
めちゃくちゃ知識豊富で、鵜飼の小ネタをたくさん教えてくれました。
アルバイトとは思えない、正社員になりなよ。

長良川を少し登ったところに停船。

鵜飼が始まるまではまだ時間があるので、ここで船を止めて夕ご飯の仕出し弁当をいただく。

本日2匹目の鮎の塩焼き

ちなみに鵜飼観覧の値段ですが、16人貸切船で59,000円だそうです。
この仕出し弁当や飲み物などは料金に入っておらず、仕出し屋に注文して持ち込みの形になります。

公式だと、乗合船で大人一人3,500円。
ホテルが宿泊プランとセットにして出している予約もあるみたいなのでその辺りは値段もまちまち。

長良川温泉 すぎ山
ホテルから乗船できる

待機時間が1時間半ほどあって、坐骨神経痛が悪化した。お尻クッション持ってくるといいかも。

中秋の名月の写真がいつもバズり散らかす岐阜城。
この日も月が出てたけど、私のスマホじゃお城まで写らないな。

船にはお手洗いがないので、長ぐつを履いて川の中を歩き、徒歩でお手洗いがある別の船へ。

長いこと待って、やっと鵜飼の始まりの花火が上がる。

鵜飼のシーズン中は毎日花火が上がります。
なので夕方に花火の音がすると、鵜飼の季節だな〜となる岐阜市民あるある。

上流から篝火を乗せた鵜舟が近づいてくる。

この篝火が水中を照らし、川底で寝ている魚を起こすのだそう。
鵜飼は毎年5月11日~10月15日に行われていますが、中秋の名月の日だけは月明かりが明るすぎて篝火の効果を得られないので鵜飼はお休みになります。

最初は「狩り下り」という漁法で、観覧船は鵜舟1隻と並走して川を下る。

鵜匠さんは鵜を操りながら、鵜は水中に潜り魚を捕まえる。
首に結われた紐のおかげで大きな魚は飲み込めず、鵜匠がそれを取り出します。
てっきり獲った魚は全部吐き出すのかと思っていたけど、小さいお魚は食べることが出来て鵜が狩りをするエネルギーになるんだとか。

水面に顔を出す鵜のシルエットが可愛い。
潜らずにプカプカしてる子は稀にサボってるらしい。

船頭のお兄さんが色々教えてくれて面白かった鵜飼メモ。

・鵜飼のメリットは、鵜の体温が低いので魚が痛まない
・鵜が喉で魚を締めるので新鮮
・鵜飼で取った魚には鵜のクチバシの跡が付くが、それが箔になる
・獲った魚は料亭などにおろす
・中でも鮎は高級品として扱わて、ほとんどが市場に出回らない

・鵜はウミウ
・育てるのに3年くらいかかり、7年で働き盛り
・体格で選ぶから基本的にオスに偏る
・鵜は2羽で1ペアのパートナー
・先輩鵜が後輩鵜に仕事を教える
・クッソ縦社会
・でもパートナー同士で仲良く毛繕いしたりする
・片方の鵜が調子悪いと、もう1匹も調子出ないので休ませる

ちょっと待って、バディモノってことじゃん…
そういう話もっとください。

ちなみに定期的な健康診断と、インフルエンザワクチンも受けるらしいです。獲った魚は皇族の方も召し上がるので、鵜はかなり感染症だとかの健康に気を遣っているそう。

ズームなのでちょっと画質が荒くなりますが…

バディかな
こいつはプカプカしてサボってるな
4羽並んで
順番に潜ってった
勢いつけて潜るのがかわいい

10/26追記:動画を載せた


そして回収
回収
回収からのリリース

狩下りはこれで終わって、最後は「総がらみ」という漁法で鵜舟が横一列になり、鮎を浅瀬に追い込みます。

篝火の炎が綺麗で圧巻でした。

夢中な従姉妹と子どもたち

これで鵜飼観覧は終了ですが、マチネとソワレじゃないですけど鵜飼は夕方の回と夜の回と2回制なので、鵜匠さんと鵜たちはこの後もう一度お仕事するそうです。

長良橋を潜り、船着場まで戻ります。

親族たちとはここで解散。
叔父叔母、久しぶりに会う従姉妹たち、さらにその子どもたちもいて朝から晩まで1日ずっと賑やかだったのですが、一気に解散して帰っていったのでもの寂しい気持ちに。
しっかり芭蕉の句の「面白うてやがて悲しき鵜飼かな」を実感しました。


翌朝、兄夫婦と合流したら…

買ってたよ、鵜のぬいぐるみ。
鵜飼を見てどハマりしたらしいです。

いや分かる。私も鵜飼の何がおもろいねんと当時小学生の分際で思っていたのですが、やっぱり大人になってから見ると感じ方が違う。
背景にある歴史の深さや、鵜と鵜匠さんの話も大人になってからじゃないと理解できなかっただろうな。
そして自分が生まれ育った街にこんなすごい伝統芸能が息づいているということを知れて、なんだか誇らしい気持ちです。

当たり前にまた長良川鵜飼を見に来たい。来年も見たいし、長良川上流の小瀬鵜飼も見に行きたい。
人生であと何回鵜飼を見れるれるかの戦いが始まったかも。

最近は映画やインスタなどの影響で岐阜旅行が人気のようなので、ぜひ鵜飼も見に来て欲しいです。


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