スーパーマリオから学ぶ「失敗の克服術」
Trial and Error
「失敗から学ぶ」ということは、大切なことです。
僕自身、難病のクローン病の身でありながら、社会保険労務士になれたという成功にみんなの注目が集まりがちだけど、社会保険労務士になるまで数多くの失敗を重ねてきました。
自分自身に原因がなく、クローン病のせいで不条理を感じた失敗もたくさんありました。
努力が踏んだり蹴ったりになったり、徒労に終わることも多かった。
しかし、過去にたくさんの失敗を乗り越えたから、今の成功があるんだと思います。
では。
どうして、僕が数多の失敗を乗り越えられたのか?
それは、趣味の「TVゲーム」のおかげ。
基本、ゲームというものはいきなり成功するものではなく、失敗を繰り返しながら、自身のテクニックや知識を成長させ、クリアするものです。
「トライ&エラー」の繰り返しの先に、成功があります。
この事によって、僕は「あきらめない心」と「勝負根性」だけは人一倍強いものを持てたと自負しています。
失敗を克服するためのトライ&エラー、すなわち、あきらめずに試行錯誤をすることはとても大事です。
この試行錯誤の重要性を特に教えてくれたのが、僕の1番最初に買ったゲーム「スーパーマリオ」だと思います。
クリボーを踏みつけていく強さ
「スーパーマリオブラザーズ」は、1985年発売のアクションゲームです。
「マリオ」などのキャラクターを操作してゴールまで導くことが基本の遊び方となります。
世界販売は約4000万本で、世界で最も売れたゲームソフトとしてギネスに認定されたこともありました。
日本国内の単体としてのゲームソフト売上では、2020年に『あつまれ どうぶつの森』が記録を塗り替えるまで30年以上に渡って歴代1位でした。
スーパーマリオにおいて、最も強い敵は「クリボー」です。
ラスボスであるカメの大魔王「クッパ」が1番強い敵だと思われがちなんですが、1番強い敵はザコキャラクターである「クリボー」です。
ファミコン版「スーパーマリオブラザーズ」において、ゲームをスタートして最初に出てくるクリボーがマリオを最も撃墜した敵キャラといって過言はないでしょう。
Bボタンを押してダッシュし過ぎた、Aボタンのジャンプのタイミングを見誤った。
多くのプレイヤーが最初のクリボーにぶつかったことでしょう。
マリオはやられちゃいます。
でも、みんな、ここでゲームをあきらめますか?
いいえ。
ほとんどの人がコンティニューです。
次のプレイでは、クリボーを踏みつけるか、ジャンプで越えていきます。
実は、その最初のクリボーを踏みつけられるようになったとき、みんな気付かずに1番の難敵もやっつけているんですよ。
仕事も勉強も人間関係も恋も、1つの失敗でクヨクヨしてたらダメ。
1つ失敗を乗り越えると、知らないうちに、大きい果実が得られていたりするから。
1歩を踏み出せたことが代えがたい価値だったな~んてことも。
その後もマリオをプレイしていくと、失敗はたくさんあります。
・ノコノコ(亀)の甲羅を蹴って、壁に跳ね返って自分にぶつかった。
・土管に入ろうとしたら、パックンフラワー(食虫花)に食べられた。
・ジャンプした先に地面やリフトがなくて奈落の底に落ちた。
・水中でゲッソー(大きいイカ)に挟み撃ちされた。
・砦でファイヤーバー(火柱)にぶつかった。
・ゴールポールの頂上をつかもうとジャンプしたら、はずして100点のスカだった。
でも、やっぱり。
何回も遊ぶという試行錯誤のうちに、どれも自然とクリアできるようになるんですよね。
失敗から学べているんです。
そして、いつのまにか、ラスボスであるクッパのお城の到着。
最後のクッパとの対決は、今までの失敗を重ねて得てきたゲームスキルの向上でそんなに苦労せず倒せることが多い。
つまり、最初のクリボーのマリオの撃墜数のほうが、クッパの比じゃない。
早くに失敗を重ねた方が、大きく成長できるということまであり得る。
だから、あまり、みんなには失敗を恐れないでほしいと思います。
そもそも。
ヒロインであるピーチ姫はなぜクッパにさらわれるのか?
ブロックに変えられたキノコ王国の住人を元に戻す方法を知っているとか諸説ありますが、スーパーマリオシリーズのゲームでクッパがピーチ姫をさらう理由が明かされたことは1度もありません。
原因不明です。
なんとなくノリでさらってるんでしょうね。悪者っぽいノリで。
これが、ほんとの悪ノリ。なんちって。
得てして、身に覚えのない理不尽は誰にでも起こり得るものです。
いつも見返りなく逆境に立ち向かえるマリオのマインドはかっこいいなと思います。
ロジカルに失敗を乗り越える方法
それでは具体的に、失敗をどう克服していけばいいのか。
3つの手順を示して、説明します。
1.失敗を正確に分析する
失敗の原因となるのは、「理想と現実のギャップ」と「能力」だと思います。
「理想」では、クリボーを踏みつけたい。
ジャンプして回避したい。
「現実」では、マリオのダッシュのブレーキがきかない。
シャンプのタイミングが合わない。
問題となるのは、能力がなくて「理想の姿」になれない「現実のみじめな姿」。
なかなか人は自分のみじめな姿を受け入れられないものです。
それでも、「現在の自分」を正確に捉えるということが失敗克服のスタートに立つ条件です。
2.同じ失敗を繰り返さない
人は後付けで理由をつけるので、過去の出来事を正確に捉えるのは難しい。
人は見たことより、知っていることに記憶を一致させる傾向を持ちます。
経験より知識を重視するので、過去の記憶は知識によって歪みやすい。
そして、自分にとって都合のいい歪んだ過去の情報だけを集めてしまいがちです。
社会心理学でいう「確証性のバイアス」。
ネットだと、「フィルターバブル」と呼ばれるものです。
失敗において、情報を隠したり、曲解したりすると進歩できなくなってしまいます。
クリボーにぶつかった能力不足を「運が悪かったせいだ」なんて思ってしまうと、「俺のせいじゃない」とゲームテクニックの改善余地がなくなりますよね。
事実の捉え方の前提を間違えると、その誤りに気付かないが故に、次の誤りを引き起こしていく。
誤りが誤りを呼ぶ。負の連鎖が続いてしまいます。
このようなクローズドループを起こさないことが重要です。
そのために、前提を間違えず、正しい対処をすることが必要となります。
3.小さな目標から達成する
僕がオススメするのは、失敗の細分化です。
大きな目標を達成するには、まずは小さな目標に分け、1つずつこなすやり方です。
クリボーの手前でジャンプしよう
↓
土管をみたら、入れないかしゃがんでみよう
↓
谷があったら、崖の直前でジャンプしよう
↓
ノコノコの甲羅は跳ね返ってこないように蹴ってみよう
↓
なんとかやられずに、ステージクリア
この1ステージ1ステージの成功を繰り返すことで、最終的にはクッパ城に辿り着く。
「マージナル・ゲイン」と呼ばれる理論です。
1%の改善を積み重ねることで大きな成果を生むという考え方です。
小さな成功を重ねることで大きな成功につながるのではないのでしょうか。
今できる小さな目標を少しずつこなして、大きな目標を達成する。
塵も積もれば、なんとやらです。
僕もこの考え方から「リーン・スタートアップ」の開業をしました。
最低限の費用、スキルで起業し、経験と失敗から経営を無駄なく回すビジネスモデルです。
今日の小さな踏み出しの1歩が、明日の大きな1歩につながると信じています。
そんなボクも開業してすぐに大失敗
えらそーに御託を並べていますが、そんな僕も開業して早々に大失敗をしてしまいました。
社労士として、行政協力の仕事をもらっていたのですが、僅か2ヵ月ちょっとで仕事を辞退することになりました。
自己管理ができていなかったと言えば、それまでなんですが、持病のクローン病を悪化させ下血してしまいました。
自分の中で大きな原因はもうハッキリとわかっています。
1.「体力的な原因」
2.「知識的な原因」
1について。
炎症性腸疾患は朝に体調が悪くなることが多いから、僕は普段から朝食はあまり食べないんですよ。
一般市民のお客様の相談対応をするんで、相談途中にトイレに行けない。
そのため、食事はさらに極力減らしていました。
行政施設までの通勤は片道1時間20分くらい。
お昼休みは申請書の午前中の残務があって休憩できず、薬も栄養剤も飲めなかったりで。
帰りも午後の残務があって、1時間以上は残業して。
休憩もとらないで10時間以上は通しで働いて。
また帰りの電車と駅からの歩きで1時間20分くらい。
無我夢中で仕事を覚えたい一心で。
働いているときは気付かなかったけど、振り返ってよくよく考えたら、12時間以上カロリーなしでぶっ続けて動き回っていたから、体力が持たなかった。
週一の業務委託の身で、行政の就労環境うんぬんの交渉をするのは筋違いだと思うし。
自分で身を引くのが一番いいと思った次第です。
体力が続けば、知識をつけたいし、大変でも続けたいなって意思はあったんだけど。
体力だけは自分の努力ではどうにもならない。
ま、難病患者が普通の人と同じように、普通に働けたら、そりゃ難病の両立支援はいらないよねって話で。
でも、難しい試験を合格して「社会保険労務士」になれたから、難病患者の自分でも普通の人と互角に働けるんじゃないかって奢傲に思っちゃったんだよねー。
ダメでした。バカでした。ごめんなさい。
僕の考えが甘かった。
2について。
前段のリーン・スタートアップと絡む話なんですが、社会保険労務士試験を受けるにあたって、僕は過去問から逆算して、できるだけ無駄なく勉強をしてきました。
とりあえず、社会保険労務士になってしまえば、後はなんとかなるだろう、と。
それが仇となりました。
テキストと過去問くらいしか勉強してこなかったから、実務の知識がまったく足りなかった。
もちろん、事務指定講習とか研修で申請書を書く知識はそれなりに勉強したつもりだったけど、実際の事務手続きはもっと高度な知識が必要というか。
法律の知識だけでなく、コンサルタントの技術や一般常識も必要で。
当たり前の幸せが描けなかったから、みんなの当たり前がわからなかったりもして。
ずっとニートやってた自分もいけないんだけど、このブランクを埋めるためにはかなり努力しないとなって。
Questionに対してのAnswerはできるのだけれど。
相談に来る人はQuestionすら、自分でわかっていないことも多くて、まず、その問題提起をこちら側でしなくちゃならない。
「ナゾトキ」って言えば、わかりやすいかな。
問題のない「なぞなぞ」みたいなもので。
相談者の抱えてる困りごとを聞き出すのが本当に難しい。
法律用語をそのまま伝えてもわからないから、簡単な言葉に言い換えなければならないのだけれど、ずっとぼっちの陰キャで他人との会話なんてあまりなかったから、言葉のボキャブラリーが乏しいわけさ。
自分の知識にも問題が山積でした。
でも、これは早くに自分の問題がわかってよかった。
時間をかけて勉強すれば、なんとかなる感触は得られていて。
とにかく、もっともっと知識のインプットが必要。
ただ、ここも体力が足りなくて、仕事をして帰ってきても、疲弊しきってしまって。
行政の仕事の勉強オンリーで、他の研修に参加したり、他の勉強をする余裕がない。
勉強の幅を広げられないのが大問題で。
難病の支援をやっていく上で、一点突破の知識じゃ、どうにもならないし。
勉強をする時間の確保も必要だと思いました。
その勉強時間を確保するにも、周りの社労士の先生がいろいろとアドバイスしてくれるんだけど、体力面で自分にできるように思えなくて。
みんなは普通のことが普通にできるんだけどさ、僕はそれができなくて社労士になったワケだから。
助言してもらえるのは、とてもとてもありがたいんだけど、「普通の社労士像」を描いて話をされると、自分には重荷というか、期待には応えられないと思ったんだ。
難病の身上で社労士試験を合格するためにも、一般的な努力「+α」のことをしてきて。
難病の身上で一人前の社労士になるためにも、一般的な努力「+α」のことをしなきゃいけないってわかっているから。
たぶん、周りの社労士と同じことしていたら、「+α」ができない。
難病の人間がみんなと同じ努力をしていては一人前の社労士になれない。
「+α」ができて、はじめて同じスタートライン。
「+α」ができないと、必ず競り負ける。
絶対に「+α」の部分の努力が必要だと思うんだ。
行政協力の仕事をしていて感じたのは、昭和の根性論で仕事をしているな、と。
週2~3日以上、仕事をやったほうがいい、とか。
体で仕事を覚えなきゃいけない、とか。
コスパよりコスト、コスト、コストという雰囲気が身を削るなぁ~と。
体力勝負で仕事をしていくところが限界だった。
「+α」の努力を捻出できなくて、知識も体力も共倒れになりそうで。
社労士って、もっと「働きやすさ」とか、コスパとか、タイパを考えて仕事するものだと思っていて。
その節約した時間を「+α」の努力に当てて、難病のハンデを乗り越えようと思っていたから、自分の想定が甘くって、世の中そんなにうまくいかないなぁということがよくわかりました。
普通の社労士さんと同じように働いたら、「+α」の努力のための時間が確保できない。
だから、同じスピードで技術を会得していくのが難しかった。
「+α」の努力ができて、はじめて一人前になれるから、それができないと欠陥品のまま。
クローン病の社労士という前例がない以上、すべて手探りでやっていかなければならないから、難病の人間なら、難病の人間なりの独自の努力が必要だと思いました。
だから。
自分のやり方で勉強時間を確保して、もっともっと知識をつけなきゃいけないと感じています。
以上の2点が、僕なりの失敗の分析です。
下血して、体力的な限界を迎えたことで、仕事を辞めることになりました。
今のまま同じ事をしていては、同じ失敗を繰り返します。
クローズドループから抜け出すためにも必要な決断だったと思います。
初仕事は「社労士ごっこ」をしてきただけでしたが、この失敗からも教訓が得られました。
「体力がないなら、体力がなくても仕事ができる環境を自分で創ろう。」
そして、その大きな目標を達成するためのマージナル・ゲインは。
しっかりと確実に社会保険労務士の知識をつけていくことだと思います。
治療と仕事の両立支援の課題
今回の失敗は、難病患者の治療と仕事の両立支援の面からも僕に課題を教えてくれました。
治療と仕事の両立支援は、「健康リスク」と「経済リスク」の天秤。
どちらかに傾けば失敗する。
仕事がなくなったということは、当然、無収入社労士に逆戻りしたわけで、身を持って感じました。
健康リスクを守ろうとすれば、経済が傾き。
経済リスクを守ろうとすれば、健康が傾く。
これは難病患者みんなに当てはまることで、この天秤のバランスを維持できなければ、治療と仕事の両立支援は成り立たないんだと再認識しました。
僕は「治療に合わせて仕事をする」はずが「仕事に合わせて治療をする」になってしまった。
自分自身が治療と仕事の両立ができなくて、両立支援の説得力があるのか。
ユニクロ会長の柳井正さんの言葉です。
「早く失敗して、早く考えて、早く修正する」
行政協力の仕事をしてみて、開業してすぐに失敗できたのは幸運だったと思う。
自分の慢心や至らない知識に気づけたから。
ただ、任天堂の会長だった山内溥さんの言葉も僕の心に刺さっていて。
「運を認めないといけない。運を実力だと錯覚するということは、これほど愚かなことはない。」
この幸運も、幸運でしかないんだな、と。
何度も同じようなラッキーには恵まれないワケで、きちんと実力をつけていかないといけないと思っています。
そして、今回、行政協力のチャンスを与えてくれた人たちには本当に感謝しなくちゃ。
成功は失敗の上にできるものだから。
僕もひとつの失敗でクヨクヨとめげてられないと思っています。
だって。
チートされたゲームはおもしろくないじゃん?
マリオがスタートからゴールまでスターを取った無敵状態だったり。
マリオの残機が99で、いくら失敗しても減らなかったり。
そんなゲームをクリアする意味があるの?
人生甘くないよなーと思いつつ。
不利な状況からの「逆転」こそがゲームの醍醐味だから。
この難局も楽しみながら、乗り越えたいなーって思っています。
理不尽、不条理なことはいっぱいあります。
それでも。
難病患者、障害者が社会で活躍してほしいと願っているから、みんなも失敗を乗り越えていってほしい。
僕の失敗がみんなの学びになったら、幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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