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4月も後半になってきたからか、あんなに寒くて嫌だった夜風が、むしろ気持ち良く感じてくる…
「サミー、おかえり」 リビングに小さな光が灯り、2秒ほどの間が空いてから無機質な声が部屋…
「ごめん、待った?」 肩上の長さで揃えられた髪を揺らしながら、春香が僕の元へ小走りでや…
そう遠くない昔、三陸のとある山麓に、よしゆき村と呼ばれる村があった。 正式な村名は他…
目が覚めると、見知らぬ部屋の見知らぬ布団に包まっていた。 起きあがろうとすると、「起…
春になると僕のベッドからは、病院の入り口のところに咲いている桜を見ることができる。この…
傘に当たる雨音が、どんどん大きくなってくる。 耳を塞ぎたくなるほどに煩いけれど、傘と鞄で両手は埋まっている。 傘が飛ばされそうなほどに強い風により、袖はもうびしょびしょに濡れてしまった。 家路を急ぐため小走りをしようするも、一向に進む気配がない。 おかしいなと思い足元を見ると、地面に足がついていなかった。ああ——僕は今、宙に浮いているのだ—— —————————————————————————————— 目が覚めると、そこは電車の車内で、電光掲示板には僕の家の
学校へ向かう電車に乗りながら、スマートフォンを操作しLINEの友達リストを一通り確認する。…
「あ、ポリメリアンだ。かわいー」 見慣れた道を歩きながら、ちぎれんばかりに尻尾を振るポ…
ギュシューッと大袈裟な音を立てながら、電車が止まる。 こんなご時世もあってか、この駅…
それは火曜日の朝。 いつもより早く目覚めてしまい、頭を目覚めさせるためにコーヒーを胃…
「希ちゃん、明日以降の業務の引き継ぎ資料送っておいたから、目通しておいてね」 隣の席…
「最後の晩餐に食べたいものは何か」と、学生時代そんな話題が上がるたびに、僕はカップラー…
「はじめまして。平岡麗奈です」 「平岡ユリ……さん?」 目の前にいる男性が、手元の紙に書かれた私の名前と、私の顔を交互に見る。 婚活パーティも終盤に差し掛かり、この反応にも慣れてしまった私は、目の前の男性のプロフィールカードを確認した。 『趣味:バイク、カメラ』『好きな映画:洋画全般』『性格を一言で:マイペース』……。どれを取っても話題になりそうな内容はなく、残り2分55秒をどう過ごすべきか必死に頭を回転させた。 30を間近に控えた私は、最後に恋人と別れてから1年以