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空想お散歩紀行 物語の道

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空想の世界の日常を自由に描いています。
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#想像

空想お散歩紀行 人工知能が物語を紡ぐ日

空想お散歩紀行 人工知能が物語を紡ぐ日

とある作家がいた。彼は群像劇が得意だった。大勢の人物が、それぞれ違う場面で物語を繰り広げ、最後には全てが一つに集約される。
それはバラバラだったはずのパズルのピースが一つ一つはめ込まれていき、物語のクライマックスで完成を迎える。その爽快感が多くの読者を魅了し、世界中にファンがいた。
しかし一つ難点として、彼は執筆が遅かった。
物語を書いては休載し、再開して続きを書いてはまた休載しを繰り返していた。

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空想お散歩紀行 奪われた仕事

空想お散歩紀行 奪われた仕事

いや、もう最近は商売上がったりよ。
その悪魔はタバコを片手にそう呟いた。
彼らは地上に地獄を作り、人々を恐怖と絶望に落とすのが仕事だ。
だが、そんな彼らも今の時代ではため息をついている。
昔は良かったと悪魔は言う。
かつては、天災など人間が理解できないもの、対処できないものは悪魔の所業と畏れてくれた。
だが、科学の発達が森羅万象を数字と式に分解してしまった。
そこから人間は自ら世界に地獄を作り出し

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空想お散歩紀行 ハロウィンと農家

空想お散歩紀行 ハロウィンと農家

季節ごとのイベントというのは特別な需要を生む。
クリスマスにはおもちゃが売れるし、バレンタインにはお菓子が売れる。
そして、今はじきにハロウィンを控えた時期だ。
今日はとある農家を取材のために訪ねている。
ハロウィンと農家と聞いて何を連想するだろうか?
かぼちゃ?確かにそうだ。ハロウィンとかぼちゃは切っても切り離せない。
だが、他にもハロウィンに欠かせないものがこの農家で作られている。
農家の主に

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空想お散歩紀行 強制的正義の味方

空想お散歩紀行 強制的正義の味方

「マジか・・・」
それは朝一番に知らされる。
朝、目が覚めたと同時に直観で分かるのだ。
今日の自分はヒーローだと。
世界中に平和を乱す悪が毎日のように現れる。
そんな悪と戦うために存在するのがヒーローだ。
「なんで俺が・・・」
だが、進んで戦いの場に踏み出し、さらにそれを続けていく度胸のある者は案外少ない。
空想の中でヒーローになりたい者は大勢いても、現実で痛い目を見たい者はいない。
「あ~~~、

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