#HALFTIMEアカデミー コンサルティング型のスポンサーシップ営業とは?
皆さまこんにちは。琢磨です。 タイトル講義に参加し、その備忘録と考えをまとめる。
講演者は、NBAオーランドマジック、パートナーシップセールスのメリッサさん。ディズニースポーツ→NYロードランナーズ→マディソンスクエアガーデン→NYレッドブルズ→USAラグビー→オーランドマジックNOWという圧倒的スポーツ畑!!!
本日はスポンサーシップについて。その手法がコンサルティングファームの営業手法に似ている部分もあり、提案~契約締結のフローに沿って紹介していきたい。
スポンサーシップのコンサル型セールスモデルとは?
※従来のセールスと、コンサルティングセールスの比較図。
コンサル型のセールスモデルとは、従来のメニューにハメた提案手法ではなく、「何が課題か?スポンサーシップの目的は?収益を上げていけるのか?クラブのライツ(権益)を活かして何を成し遂げたいのか?」を傾聴し、課題解決を実現するプロセス。
1.プロスペクティング
プロスペクティングとは、潜在顧客を探し、見つける過程のこと。
要は営業アタックリストの精査である。
ターゲット選定はテレアポの確率を上げるものだったり、売上の読み値(いつまでに目標金額~~円を達成するため)を把握する上で非常に重要。例えば新規営業ターゲット選定時の切り口例を紹介すると、
・業界
・会社規模
・過去協賛金額
・エリア
・成長率
・営業/販促費
等が該当する。
この中でさらに営業ポテンシャルを定める評価軸を設け、ターゲットを精査することもできる。その際の評価軸は例えば、
・クラブへの愛
・担当者の熱量(決済者と案を通すために闘ってくれるか。これマジ重要)
・業界での成長スピード
等が上げられる。この評価軸の設定はチームでいくつか候補を用意しておくと良い。
☆コラム「新規営業メール送る時に、気にしていることはありますか?」
長文で送らず、短い内容でメールを送る。
例えば、直近のニュースと紐づける。
「~~のニュースを拝見しました!
で、~~と弊社のプロパティが繋がっていると思うんです。
是非提案させていただきたいのですがいかがでしょうか?
or
御社の活動についてもっと教えてください!」
だらだらと知らねーよと思われるような資料を勝手に送られても2秒でアーカイブ行きなので、短く端的に!はポイントだなと。
2.ファーストアプローチ
無事にアポイントが取れたら「早速提案だ!」と息巻く前に落ち着こう。
初デートで自分のことばかり話す相手を想像してほしい。
「自分が大好きな方が好き!」というのなら大変結構だが、大半は既読スルーで2回目のデートは幻に終わるだろう。
何が言いたいかというと「主人公はクラブではなく、企業!」
このマインドが抜け落ちると、せっかくのプロスペクティブも水の泡だ。
ファーストアプローチでは提案ではなく、ヒアリングに徹しよう。
ヒアリングする上で以下の事前調査は必須だ。
・意思決定者について調査
・企業研究(組織の変化はなかったか?財務状況は?)
・過去にスポンサーシップをやったことがあるか?
・広告出稿はどのような形で行っているか?
ヒアリング時にグッズをお渡しするのもひとつの手段だ。クラブ財産で使えるものはとことん使おう。仮にヒアリングフェーズで失注しても、渡したユニフォームやぬいぐるみがきっかけで、再アプローチのきっかけが生まれるかもしれない。
ヒアリングの最後には必ず、次にいつ会えるかを設定しよう。
なるべくその場で決められると理想だ。ゆるふわ営業は「後で空いている日を教えてください!」とネクストアクションを曖昧にしがち。
そして無事にヒアリングが終わったら、お礼メールを送る。当たり前のことを当たり前にやろう。
3.提案書作成
あなたは資料を作る際に「ひとりで作った方が速くて効率的!誰にも文句言われないし」と思っているだろうか。スーパー営業マンならこれでも問題ないかもしれないが、やはりチームで作り上げていくことをお勧めする。
質問:「提案資料を作る際にグループで行うことによるメリットは?」
属人的な組織だとパートナーシップ契約をすぐに手放してしまう可能性がある。アクティベーションチームとスポンサー営業部隊が別になることでうまくデリバリー(企画の実行)できないから。
各部署とのリレーションシップを築くようにすることで、クリエイティブなアイデアをもらえたりする。情報をオープンにすることでアイデアをチームでブラッシュアップしていく。
クラブスタッフの場合、人が少ない、膨大な作業量、情報共有が不透明、あーだこーだ言われたくない、など「資料を一人で作らなきゃならんのよ!!!」と反論の声が想像されるがそんなことは正直知らん。
恐らくそういった組織はスポンサー営業売上の頭打ちや、アクティベーションの実行がうまくいかない負の連鎖を起こしていると想像する。
メリッサさん所属のオーランドマジックでも最初は属人的な組織で契約延長もうまくいかなかったようだが、彼女が各部署のリレーションを築くことでひとつの案件に関わる人が増え、アイデアの質が向上した。
もちろん部門間の軋轢はある。部門ごとにミッションは異なるだろうし、それぞれ忙しいだろうし。ただ各部門のやりたいこと、目指すことを理解した上で、クラブとしてアウトプットを提案した方が良くないだろうか?
クラブ一丸の提案となっていた方が、成功確度も上がるでのはないだろうか。
細かい資料作成のhowをいくつか。
・企業の目的を明確にする
・文字が多いと読まれないので、なるべく絵で伝えるよう意識している
(基本ですがワンスライド、ワンメッセージ)
・関係部署の事前ネゴをしておく(上述)
・値付けとスケジュール
4.プレゼンテーション
まず場所。クラブの価値を体感してもらうため、必ず来てもらった方が良い。クラブは夢や情熱を売っている。その温度を直に感じてもらうことは契約クロージングにおいてとても重要。
来場いただけたら、パートナーレベルのおもてなしで企業の熱を高める。
提案を始める前にチームのハイライト映像を流して「いよいよ始まる感」を醸成させることも大事。スポーツスポンサーシップならでは。
プレゼンが無事終わったら、一旦黙って企業から第一印象を素直に聞く。質問が多くでることは良い兆し。
フィードバックを終えたら、しつこいようだが最後に「次いつやる?」を決める。
☆コラム「定量的に説明できないスポンサーシップをどう説明しているか?」※スポーツ特有の情熱、夢が紐づいており、これを売らなくてはならない。
もちろんスポーツが提供する夢や情熱も大切だが、それだけで売ることは難しい。そのため、提供したコンテンツの可視化が必要。エンゲージメント、広告露出換算、すべて評価できる。
なので、提案時にKPI(測定指標)を握っておくことが非常に重要。でその効果計測レポートを年度末に必ず行う。レポーティングは第三者機関を入れて実施した方が説得力も増すので入れるべき。
KPIの共通理解がない状態で進むと年度末に良くない結果を招くことがある…
※かなり悪い例だと契約打ち切りもありえるなと
最後に
フローニンゲンのスポンサーシップでも紹介したように、メニュー型のスポンサーシップからコンサル型のスポンサーシップへの意向は、今後日本でも多くなっていくことが想像される。
あるJクラブではオーダーメイド型(大型)とメニュー型(小口)に金額で分けてセールスを行っているクラブもある。前者はアクティベーションプランナーとペアで実行するとより成功確度が高まるだろう。
営業組織としては一緒でも、オーダーメイド型とメニュー型では売り方や使う脳が異なることから、専任性にすべきと感じる。
また意外と重要なのが本フローの「1.プロスペクティング」部分。地味作業で辛いけど。この領域での効果改善が契約受注率(アプローチ件数×アポ率×受注率 &単価設定より)にも影響してくるので、スポンサーシップ成功の再現度、という意味では、このフローの磨きこみが非常に重要と感じる。
スポンサー営業に特殊能力は必要ない。夢や情熱を売る、という特異性はあるものの、各業種で培った営業能力が必ず役立つと思う。いきなりスポーツ界に飛び込まずとも、入った企業でトップレベルの営業スキルを磨くことで、どのクラブも欲しがるスポンサー営業になるに違いない。
※金が見合わないというハードルがあるが、それはまた別の機会に
次回は、放映権について!
過去の受講レポートもまとめておりますのでご参照くださいmm