世の中はミトロジーだらけ 『今日のミトロジー』中沢新一
最初はなんだかチンプンカンプンだったけど、読んでいくうちにだんだんとその面白さが滲み出てくる。ミトロジー(神話)の視点から日常生活をみる、考えることなんてないから、最初はよく意味がわからなかったけど、だんだんと、ああ、そういう視点で見ているのかという、中沢氏の視点、ミトロジーの視点が見えてくると、だんだんと面白くなってくる。
ミトロジーとは、神話、神話学のことである。誰もが神話を知っているし、ある意味で僕たちは神話とともに生きている。それくらい神話は身近なものであるのだ。でも、普段日常生活の中で、その神話を意識することは少ないだろう。それこそ、小説、漫画、アニメなど、神話を活用して作られているエンターテイメントは多く、僕たちはそれにとても慣れ親しんでいるし、神話の世界を楽しんでいる。
でも、ふとそれが日常生活でどう関わっているのかと考えた時には、それはなかなか見えてこない。僕たちがスター・ウォーズのような世界に生きていたら、もっとわかりやすかっただろうか。でも、僕たちの生活の土台には神話がある。ある人の人生を追っていけばそれはまさに神話のような人生になっているのではないだろうか。そんな人間の人生と密着している神話。その視点から世の中を見てみると、世の中はミトロジーだらけ、むしろ、ミトロジーが世界を形成していると言っても過言ではない。そんな風にも見えてくる。
あなたの何気ない日常にも神話はきっとみつかるだろう。そんなミトロジーの視点で日々をみてみると、目の前のことで右往左往している自分をもっと大きな流れの中で捉えることができるようになるかもしれない。ただ、こんな視点で日常を眺めることができるようになるには、結構時間がかかるだろうし、そんな視点で眺めてもきっと1円の得にもならないだろう。でも、それでも、そんな視点で世の中をみてみたい人には、きっとより人生を楽しむ柔軟さや豊かさが残っているのではないだろうか。ぜひ日常にミトロジーを。