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【マシュマロ・テスト 成功する子・しない子】「自制」の力の素晴らしさを知る

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

非常に興味深く面白い本だった。
テーマとなるのは「自制」。後の利益のために目の前にある欲望を抑える意思の力である。
そして、この本は世の中の自己啓発やハウトゥ本の基礎となっている事も読めばわかる。
一生モノにしたい一冊となった。


〜「マシュマロ・テスト」とは〜

さて、この本のタイトルにもなっている「マシュマロ・テスト」とは何か?
未就学の子どもに「目の前にある1個のマシュマロを食べるのを我慢すれば、マシュマロを2個あげる」と言って、部屋に1人残して大人が出ていく。子どもが目の前のマシュマロを我慢出来るかどうか、というシンプルな実験である。
実験を受けた子どもの反応は様々だった。

すぐにマシュマロを手にとってしまった子。別のことに熱中しながら時間をクリアした子。何度も何度も葛藤しながら時間ギリギリにマシュマロを食べてしまった子。自分に対して「ダメ、ダメ」と言いながら目の前のマシュマロをひたすらに我慢した子。

「自制」の力は、著者の言葉を借りると、脳内のクールシステムによって働く。クールシステムの対極にあるのが、ホットシステムであり、これは目の前の危険や欲望に対してなかば自動的に身体が反応してしまう脳の機能である。このホットシステムを押さえ込み、冷静かつ理論的に行動するための機能がクールシステムだ。

この実験の肝となるテーマ、「後のより大きな利益のために目の前の利益に対して欲望を抑えられるか?」という「自制」の力は、驚くべきことに未就学児の時点で個々に差がある事がこのテストにより判明した。未就学児の中でもクールシステムが発達している子どもがいて、著者によると、このクールシステムが優れていた子どもは後の学業成績や年収も優れていた、という記録があるようだ。

いわば、このクールシステムは人生の成功を収めるために必要な能力であるということだ。


〜大人になってから「自制」の力を高めることは出来るか〜


さて、幼い頃からクールシステムが優れている子どもがいる事はわかった。ここで、著者は1つの疑問を持つことになる。
このクールシステムは、果たして生まれ持った才能なのだろうか?生まれ持ったクールシステムの良し悪しにより、人の人生は決まってしまうのだろうか?
著者の導き出した答えは「ノー」だ。クールシステムは大人になってからでも成長させる事が出来る。
本書にはそのクールシステムを成長させるためのノウハウもいくつか記載されているので、ぜひ読んで見てほしい。
そして、そのノウハウの数々がいろんな自己啓発本に書かれている内容で、あらゆる著者がこの本を参考にしている事がよくわかる。

「自制」の力を手に入れたいのであれば、そうなりたいと今から努力しても間に合う。そうなりたいと思う事が、意志の力である。

〜クールシステムを知り、人の動かし方を考える〜

クールシステムについて知り、それが自分の人生において重要なファクターになる事がわかった。

しかし、僕が興味深かったのは、このクールシステムがうまく作動しない時の話だ。
非常に興味深かったのは、このクールシステムは強いストレスやプレッシャーに弱い、という事だ。
クールシステムを発揮する前頭前皮質は、冷静な判断や理論的な思考を行うために使われるというのだが、この部分がストレスやプレッシャーに弱い。
クールシステムを活用するために、自分がプレッシャーやストレスを避けるように努力しなければならないのはもちろんの事だが、その一方で他人に冷静かつ理論的に行動してもらいたいのであれば、その人に過度なプレッシャーやストレスを与えない事が重要なのだと思った。
職場のバカ上司に言ってやりたい。
「キチンと考えろ!」と新人を怒鳴りつけても、そのストレスとプレッシャーで冷静に考える事が出来ないんですよ。あなたの今の行動は矛盾しかありません、と。

私事だが、近々子どもが産まれる。
子どもにはこのクールシステムを伸ばしてもらいたい。我慢を教えることと同時に、頭ごなしに怒鳴りつける事だけはしないようにしようと思う。

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