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【小説編】蛸文(たこふみ)の読書記録

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2022年2月の記事一覧

【ぼぎわんが、来る】読ませる小説としては秀逸

【ぼぎわんが、来る】読ませる小説としては秀逸

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜これぞ角川ホラー〜本作は2015年の日本ホラー小説大賞(現在は横溝正史ミステリ&ホラー大賞)を受賞した作品で、「来る」というタイトルで映画化もされている。

「来る」は、エンターテイメントに特化したホラー映画、といった印象だったが小説である原作は、得体の知れない何かに襲われる恐怖が見事に表現されていて、その面白さのあまり一気に読んでしまった。

「火喰鳥を、

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【壁】自己の喪失をユーモラスに描く寓話

【壁】自己の喪失をユーモラスに描く寓話

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜安部公房は訳がわからない〜人に「好きな作家は?」と聞かれると、まず思い浮かべるのが安部公房である。
しかし、「安部公房って面白いの?」と聞かれると言葉に詰まる。

「砂の女」は比較的読みやすい小説なのだが、安部公房の作品は基本的には読みにくいと思う。
一言で言うと「訳がわからない」からだ。
主人公が訳の分からない状況に陥り、その周りの人物も訳のわからない事を

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