【短編小説】天空レストランの紳士(3/3)
美味しいものを、一流のお店で奢ってもらったはずなのに、いまいち気分の弾まない帰り道だった。男だったんだ、このひとも。そう思ったら、やりきれなさでいっぱいだった。
九州の夜を想像したら、ぞっとして鳥肌が立った。明日香は車のなかで、自分の身体を抱きしめていた。
さっきと同じ歌手の曲が流れる。くたびれた。早く帰りたい。
先ほどと同じ楓の街路樹の下で、渡良瀬取締役は車を停めた。
「これ、プレゼントしようと思って。」
取締役は、МDを車から取り出した。
「最近、注目してる