【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第九話 お母さんの恋路
もっとも、とても簡単な錠前だったし、鍵はびっくりするほどすぐ見つかった。棚の上のガラス瓶のなかに、鍵ひとつだけが入っていた。たぶんこの鍵で間違いない。
まるで見つけてくれと言わんばかりに、置いてある鍵。じゃあ、なんのための鍵? 六花に見つけてもらいたかったのだ、と、お母さんが言っている気がした。
瓶から鍵を取り出し、恐る恐る差し込むと、あっけなく鍵は開いた。六花は恐ろしくなり、心臓がばくばくと音を立てる。お母さん、一体なにを残したの?
机に置いたアルバムの上に、