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ニスグレー

 あーでもないこーでもないと考えて、結局何にもならない休日。  食欲もあるにはあるのだろうけど、食べたらすぐに下してしまう。    そんなある日、招待状が届いた。  そのとき僕は本屋のバイトでレジで虚だった。  ヘルメットを被った郵便配達員のおばちゃんが、郵便物を持ってこちらへと向かってきた。  僕がそれを受け取ると、おばちゃんは「あなたにです」と言った。  僕が「え?」と言ったときには、おばちゃんはもう出口へと向かっていた。そして、カチャン シャーコシャーコシャーコと

    • リアルパンク吉田

       リアルパンク吉田 鶏小屋に住んでる  だからいっつも羽根だらけ  リアルパンク吉田 昼夜問わず缶チューハイ  ズボンのポッケにそのままねじ込む  リアルパンク吉田 たまにバッグ持って得意げ  それは小さなビニール袋  リアルパンク吉田 動物園へお出かけ  ゾウに巻かれて全てが飛び出す  リアルパンク吉田 草野球眺める  首掛けタオルでボールをキャッチ  リアルパンク吉田 垂れさがり電線で感電  少し倒れてまた感電  リアルパンク吉田 週刊誌立ち読み  吸い込まれ

      • Rolling

        池のそばのベンチでオレは 何かを食べていた あまりのことに あの日の記憶 ちょっぴりあいまいだ あいつはローリング そう呼ばれてる 転がる男だと 本を作りたけりゃ作るだけ Tシャツ作りたけりゃシルクだね 美味しけりゃそれほどこだわらず 行きたい場所に転がる オレには憧れてる場所があり それゆえゆずれぬものがある だけどいまも辿りつけぬまま 不自由の沼にハマる ねぇローリング教えて そこにはどーすれば行ける? ローリング 転がる そこにはもういない ロ

        • かえる

          バーン! バーン! バーン!  青空に打ち上げられた空砲が鳴り響きます。  いつもは何もない森の野原に大きなテントがはられ、やきそばやあんず飴の屋台が出ています。ひとが沢山集まりとても賑やかです。 そこにモール(まる顔の男の子)とニョ(三つ編みの女の子)がやってきました。「わー! すごいねぇ!!」とニョが声を上げました。「うん」とモールはうなずきました。 「すごいよすごいよ~~」テントの入口に立っている男がそう言い続けてひとをを呼び込んでいます。 「入ってみようか」とモー

        ニスグレー

          うらむけむ

          新緑の季節はあしもとにご注意 毛の生えたモゾモゾがたくさんおりますから 知らずに踏んでること結構ありますから 中にはうらみぶかいのいて その名も うらむけむ 行くさき  まちぶせしてたり 行くあと  ついてきてたり うらむちから て すごい!! いつのまにか生きがい!! だけどたまに思うんです どーしてこんなにうらんでいるのかと… 突然プレゼントでもしてみればわかりあえるかな そしたら花でも贈ろかな きれいな野の花を コンコン ドアをノックして 訪ねる

          うらむけむ

          自主成仏

          「はぁ…疲れた…。」 実家暮らしのフリーター、たける。 本日もひとりごとを漏らしながらバイト帰り。 「ただいまぁ。」 「はい…はい…そうですか…わかりました…。」 たけるが帰宅すると、廊下奥のリビングで不安そうに電話をしている母親が見えた。 一人暮らしをしている2歳上の姉も何故か慌ただしく動き回っている。 たけるは「身内に何かあったに違いない」と感じた。 「ただいま…どーした?何かあった…?」 たけるは電話を終えた母親に聞いた。 「あ、おかえり…うん……あのね…亡くなった

          自主成仏

          メグマ・トゥ・メグマ

          メグマという者がおりました。 基本的にはクマです。が、目が特徴的です。 なんとブラックホールになっているのです。 嫌な奴がいるとその目をクルクルと回し、吸い込んでしまうのです。 現在までに吸い込まれたのは、歩きスマホでぶつかっておきながら謝りもせずスタスタ進んでいった奴や、まだ火のついているタバコをポイ捨てした奴などです。 その他にも数知れず、メグマが嫌だと思った奴は吸い込まれました。 そして、メグマの目の中に光る星のひとつとなったのです メグマは池のある公園で毎日

          メグマ・トゥ・メグマ

          虫人

          「虫を漢字一文字で表すと?」 と問われ「そもそも虫は漢字一文字でしょう(笑)」と思ったが、声に出すのはやめておいた。 何故なら此処には私ひとりしかいないから。 しかし、問いに対する答えはすぐに浮かんだ。 「「単」ではないでしょうか。」と声に出してみた。 …やはり此処には私ひとりしかいないようだ。 虫の顔を真正面から見ると「タンッ」て感じがする。「タンッ」て音が聞こえる気がする。だから「単」。てのがまずひとつ。 と、ここで「え?音に当てるだけなら「単」じゃなくてもい

          「ライブしてぇな。」

          「ライブしてぇな。」 と呟いて、エレキギターを手に取りドアを開けた。 随分地下まで潜ったので地上に出るには時間が掛かるだろうと思ったが、そこは地上だった。 しかし何かこう違和感があると思ったら、人がいない。生き物の気配が全くしない。 住宅、電柱、植物…見えるのは普通の景色なのだが、この世に自分ひとりになってしまったような… 「僕が始まったとき 世界は終わっていた」 そんな言葉が浮かんだ。「ザ・バースデイかミッシェル後期のチバユウスケが叫びそうだな」などと思いながらも「

          「ライブしてぇな。」