『評伝 中勘助』の執筆を終えて(7)
・大正八年(一九一九年)十月の東北旅行の回想
昭和三十二年八月三十一日付、今村小百合宛書簡より
角舘を出て生保内(おぼない)の小林区署へ寄つて行き方を教はらうとしたら署長さんが大きな掛図をかけて小林区署といつてもよその大林区署ほどのところ、二万七千町歩も管かつしてゐてこの通り大変な山の中で自分も県界=管かつ界までしか行つた事はないし行つた人があるときいた事もない。青森県側=山頂から向ふの様子は全くわから[な]いし・・・それにそろそろ熊も出ましからとしきりにとめられました。署長