エピローグ-回想の『銀の匙』(2)
●高嶋家の行方
半世紀の時を隔てて高嶋家再訪を期待していたのですが、6月14日の我孫子行のおりには果たせませんでした。それでもあきらめのつかない気持ちがあって、8月9日にもう一度我孫子に向いました。高嶋家の所在地と思われる場所には家屋はなく、雑木がたくさん繁っていました。その場所のすぐ近くの喫茶店に入り、店主らしいおじいさんに話をもちかけてみたところ、高島家の消息がわずかにわかりました。高嶋家はここにあったと思われた雑木の土地はたしかに高嶋家の所在地でしたが、当主がだいぶ前に