マネジメントを考える 〜自分へのマネジメント編〜
こんにちは。てぃんです!
今回は、『エンジニアリング組織論への招待』という本を読んだので、書評を書きたいと思います。
この本に出会ったきっかけは、ブクロブです。ブクロブの評価がとても高く、読後の口コミがよかったので、全く興味がなかったけど、この本を手に取りました。
結論から言うと、マネジメントに興味ある人は必読!が僕の感想です。
エンジニアリングにおける、課題を解決する思考の整理方法やメンタリング手法を開設!
とあるので、エンジニアが企業において抱える苦悩を解決する方法を教えてくれる本だと思っていました。これは半分当たっていて半分違います。
なぜなら、これは組織における人間関係をどう円滑に進めていくかの思考法と具体策をテーマにした本だからです。
論理的にわかりやすく書いてあるので、専門的内容でも素直に読めると思います。
しかも、超良書。学びがとても多いです!
なので、今回は1つの本を以下の3回に分けて投稿したいと思います!
1 自分へのマネジメント編(今回です!)
2 相手へのマネジメント編
3 組織へのマネジメント編
マネジメントの定義は、本文にはこのようにありました。
マネジメントとは、対象となる○○を管理し、効果を最大化する手法を表しています。
この本の感動したところは、組織マネジメントだけでなく自分のマネジメントの仕方が記載されているところです。特に"怒り"について詳細にふれています。
以下書評です。
是非読んでください!
1 内容
1-1 エンジニアリングとは?
1-2 不確実性とは?
1-3 3つの思考様式
① 論理的思考の盲点
② 経験主義と仮説思考
③ システム思考
1-4 コミュニケーション不確実性について
2 気づき
3 読後のToDo
1 内容
1-1 エンジニアリングとは?
まず、エンジニアリングの定義から説明していきます。
エンジニアリングとは、何か役立つものを実現していくための科学分野
と定義されています。
これは世に言うエンジニアの語源なのでしょう。
もちろんエンジニアの話も出てきますが、僕は、これはエンジニアだけでなく、全ての仕事において同じことが言えると思いました。
そこで僕は「エンジニアリング=仕事=何かを実現すること」と解釈できます。
「曖昧な状態のもの」を「具体的な何かに実現」することを我々は仕事として常に行っているんです。
つまり、仕事(エンジニアリング)とは、「曖昧さ」を減らし、「具体性・明確さ」を増やす行為なのです。
では「曖昧さ」とは何でしょうか。
曖昧さとは、まだ決まっていない、ハッキリとしない、将来どうなるかわからないもののことです。
筆者はこれを「不確実性」と表現しています。
仕事を行う上で、重要になってくるのは、どうしたら効率よく不確実性を減らしていけるのかと言う考え方です。
不確実性を減少させることが仕事であり、いかに効率よく不確実性を減らしていけるかが、人材価値なのではと思いました。
そして、ここで有意義な定義を筆者はしています。
不確実性を減少させる知識=情報
不確実性を減少させるには"情報"を手に入れないといけないのです。
仕事は、問題解決の連続です。問題を解決することは何かを実現すること。
実現するには、不確実性を減少しなければならない。そしてそれは、"情報"が必要なのです。
1-2 不確実性とは?
では不確実性とはなんでしょうか?そしてどのようにしたら"情報"を手にすることができるのでしょうか?
不確実性とは、わからないことです。
筆者は、人間にとって本質的にわからないことは2つしかないと述べています。
それは未来と他人です。
未来はそれがやってくるまでわかりません。このような不確実性を「環境不確実」といいます。
「環境不確実性」は、実際に行動し、実験して観察することで少しずつ確実になってきます。
他人と不確実性の発生要因です。会話や、書き残したものは正しく伝わるとは限りません。また、他人が思ったように行動するとも限りません。このような不確実性を「通信不確実性」といいます。
「通信不確実性」は、コミュニケーションを通じて不確実性を削減するしかありません。
以上の2つが我々が直面する不確実性の性質と打開策です。
そして、これらの不確実性があることを理解し、「実際に行動すること」「コミュニケーションを取ること」を通じて、不確実性を下げるための”情報”を生み出す必要があるのです。
1-3 3つの思考様式
ではどのようなことに注意して、”情報”を生み出し、仕事を行う必要があるのでしょうか。
まず意識しなければならないのは、仕事の性質です。
1 人数が複数人いること。
2 情報が必ずしもあるわけではないということ。
3 答えが決まっていないこと。
当たり前ですが、この3つのせいで仕事で結果を出すことができないということが発生します。
これらを理解し、情報を生み出して不確実性を減少させていくことが大切なのです。
それでは、この3つを解決する思考様式をお伝えします!
① 論理的思考の盲点
論理的思考とは、演繹的思考のことです。
演繹的思考は、前提であるルールと事象から、結論を導く思考方法です。
論理的思考には2つの重要な前提
・ルールと事象を正しく認知すること
・正しく演繹出来ること
ここに論理的思考の盲点が存在します。
仕事は複数人でやるが故に、仕事での問題解決を行うために必要な論理的思考力は、コミュニケーションの失敗によって制限されてしまいます。
したがって、できる限り正しく事実を認知するには、自分の認知が、いつ、どのように歪むのか知る必要があります。
大切なのは、自分は論理的でなくなる可能性があり、人が論理的でなくなる可能性があるのかを知った上で問題解決に臨むということです。
② 経験主義と仮説思考
2つ目は、情報が必ずしもあるわけではないという問題についての解決策です。
ここでは経験主義と仮説思考が用いられていました。
経験主義とは、情報を入手するために行動を起こして、その結果を観察し、そこから問題解決を行う考え方を指します。
不確実性を確実なものにするには、未来を現在にすること、つまり、行動して確かめる以外の方法は無いのです。
現在解くことができない問題にぶち当たった時、「何がわかればわかるのか」を考え、それを確かめることに変換されます。
経験主義は、「わからない」を「行動」に変換し、一歩でも正解にたどりつくための思考の補助線なのです。
要するに、経験主義は「知識」=「経験」を行動によって手に入れることを指しています。
そのためにさらに大切なことがあります。
それは、
・行動できることは何か
・行動の結果起きたことを観察できるのか
ということです。
人は知らず知らずのうちにコントロールできないものをコントロールしようとして、さらに思考が混乱するとか、ストレスに感じてしまいます。
コントロールできる/できない
=あなたの意思で直接コントロールできる/できないということ
そして、”コントロールできないはずのもの”をあなたの行動で変化させようと試みる時には、その対象が「観察できる」必要があるということです。
つまり経験主義は、コントロールできるものを操作し、観察できるものの結果を見ることでしか、前に進むことができないということを意味しています。
また、仮説思考とは、わずかな痕跡から、それを説明可能にする大胆な思考展開モデル化を行い、それを検証するための行動につなげる推論方法です。
限定された情報であっても、その情報から全体像を想定し、それを確かめることで、少ない情報から問題解決に向かうことができます。。
その思考法で大切なのは、「何が仮説なのかを明らかにする」ことと、どうしたら「検証できるのか」というアイディアを持つことです。
経験主義と仮説により、「問題を解く」というよりもむしろ、「問題は何なのかということを明晰にしていく」ことができるのです。
③ システム思考
3つ目は、答えが決まっていないという問題に対しての解決思考法です。
システム思考とは、要素の性質よりむしろ、要素同士の関係性に注目して、問題の構造を解き明かす考え方です。
システム思考は、局所最適解が、全体にとって最適な答えかどうかを判断するためにあります。
人間が認知している範囲というのは、全体のごく一部にすぎません。
全体最適に向かうことができるように、1次元上の視点から問題を捉えて、認知範囲を広げて問題解決するべきということです。
これは以前に読んだ、『5W1H思考』のBigWhy思考に似ていると感じました。
また筆者は、問題解決のための良い眼について述べています。
それは視野、視座、視点に分類されます。
視野:あるポイントからその問題を眺めたときに把握できる領域の広さ
視座:問題をどのように受け止めるかといった姿勢
視点:普段は見えない角度から本質を抉り出す力
人間は、完全な全体像を捉えることができないものなので、そのことを理解し、視野、視点。視座を鍛えていく必要があるのです。
1-4 コミュニケーション不確実性について
人間のコミュニケーション不確実性は以下の3つの不確実性から来ていると述べています。
1 他者不確実性
→人は他人や事象を完全には理解できない
2 伝達不確実性
→コミュニケーションが到達するとは限らない
3 成果の不確実性
→仮に理解されたとしても予想されたように行動するとは限らない
このような不確実性によって、「情報非対称性」と「限定合理性」が発生してしまうのです。
このような意味でいうと、コミュニケーション能力とは、コミュニケーション不確実性にを減少させる能力とも言えます。
そして、「情報の透明性」とは、意思決定に関わる情報が、正しく伝達されることであり、もしわからない決定があったとしても、直接聞いてみようと関係性を作ることです。
つまり、継続したコミュニケーションや仕組みを通じて、コミュニケーション不確実性を低く維持し、「情報非対称性」と「限定合理性」の働きが弱められている状態のことをが大切なのです。
2 気づき
仕事を行うということは、不確実性を減少することであると仕事の概念を再構築させられました。
仕事を行う上でコミュニケーション不確実性というのは、つきものですね。
本書の中に、怒りについて述べている個所があります。
論理的思考の盲点として、怒りを感じた時、人は論理的に物事を判断することができなくなるようです。
そして、怒りは、「自分を構成すると思っていること=アイデンティティ」を攻撃されると感じると述べています。
仕事を行っているとどうしても怒りを感じるときがありますが、それは、自分の構成する要素を攻撃されている時なのですね。
本書にも書いてありますが、怒りを感じた時は、「自分のことを傷つけられて悲しい」と伝えることが大切なのです。
これはチームで仕事を行う上で理解しておくべきことだなと感じました。
3 読後のToDo
この本は非常に学びが多かったです。
読後のToDoの項目もアップデートします!今後、行動を起こす時には、以下の2点を判断軸として、考えていこうと思います!
① 自分の意志でコントロールできるもの
② 観測可能なもの
それでは読後のToDoはこちら。以下の3つを行っていきます。
・不確実性の高い仕事から行うということ
・自分でコントロール出来ることと、観察できることを行動に起こしていく
・仕事におけるコミュニケーション能力とは、「情報非対称性」と「限定合理性」を低くする能力であるので、簡単に聞ける人間関係作り、そして情報の開示を意識的に行う
以上となります。
とても学びが多くおすすめ本です!
てか、4700字も書いてしまった・・・・・