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【アプローチ失敗の原因は、破廉恥な妄想に突き動かされた下半身を律せなかったせい。】

「来たるべきX月Y日。俺はあの子に告白するんだ・・・!」

真夜中酔っぱらって決意を固め、彼女の美麗な顔を思い描く。優しく上品で非の打ちどころのない彼女。正義感も強く誰からも慕われる存在。
同じ空間にいるだけで、自分が窮屈な世界から解放されたようになる。彼女のことを考えるだけで、俗世で汚れてしまった胸の中に桃色の花が咲き誇る。
愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない。美しい夜空もとろける。ああ、付き合ったらあんなことやこんなことをたくさんして、普段の凛とした表情からは想像もできないような、淫らな表情を私に見せてくれるのだろうか。
魅惑的な2つの山にむしゃぶりつきたいという破廉恥な翹望は、ジョニーを猛々しく膨張させる。荒ぶるジョニーは、今にも2枚の布を突き破りそうである。
いざ秘密の花園へ船をこぎ出そう。朝な夕な、互いの汗と汗で身体を紡ぎ合おう。この気持ちはもう、誰にも止められないぜ・・・。
うへへへ・・・。


うむ、このケースはたいてい失敗する。これは青年が体の隅から隅まで肉欲にまみれているからとかそういうことではない。(いや、この雰囲気が相手に駄々洩れだったらあれだけど)

なぜ失敗するのか、それは告白する日を自分本位のタイミングにしているからである。

自分の決意がピークになる瞬間を「この日」に設定しただけであって、そこに相手の意思は関係してこない。
デートを数回重ねたとしても、自信がついてきたのは自分だけである。自信と成功率は比例しない。「勘違い」というよくやりがちなミスはここで生まれることが多い。
自分を査定する時間がまだ足りない相手に対して、「三回飲みに行けたから」とか「ラインの返信が以前より早くなった」などと浅い根拠のもと告白するのは非常に危険である。

告白はタイミングが命。これは間違いない。状況を客観的に見ながら、焦らず相手の様子を探り続ける。「よさげ」なポイントだけ見て自信満々になるのは、体中を悪玉男性ホルモンに毒された痛い勘違い野郎のすることだ。

これは私自身、めちゃめちゃめちゃめちゃやらかしている。
いけるかなあ、大丈夫かなあなどと不安ぶって、胸の内では「割と勝率あるんじゃね」と鼻息荒く興奮していたこともある。
湧き出てくる原水不明のポジティブ思考。過去に戻ってそのふやけたツラを思い切りひっぱたいてやりたい。狂恋に溺れた阿呆男子め。いくら恋に盲目になったとて、せめて杖だけはついておけ。

人を好きなるのはとても素晴らしいことだ。
恋は人生を彩ってくれる。

だがしかし、一方通行を無理矢理押し通そうとしてはいけない。めまぐるしい胸算用もポジティブばかりでは破産する。
とはいえ、こんな理論で上手くいかないのが恋の呪いである。いくら頭ではわかっていてもグイグイいってしまう。選択を誤る。ああ、どうしたらいいんですかね先生。助けてくださいよホントにまじで。

成功は失敗から生まれ、失敗はさらなる失敗を生むこともある。
つまり、すべての原点は失敗なのである。偉大な母なる大地なのである。成功から物語を始めた者はおそらく世界線を間違えてしまったのであろう。彼らには憐憫の意をもってその甘ったるい恋路を邪魔し、正しい道を標してやるのが我々失敗者の為すべきことなのだ。

次回は、私の懺悔すべき愛すべき哀しい懺悔すべき恋愛体験をお話しよう。2011年7月7日に起きた、若き日の悲劇なのであるが、ぜひ温かく慈しみのこもったマイルドな目で読み進めて頂きたい。
読了後、あなたは私に同情し、友愛の心で、惻隠の情で、可愛らしいハート形のボタンを赤く染めることになるであろう。(スキくださいおねがいしますなんならフォローもしてくださいおねがいします)

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