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平安の人々もすなる「本歌取り」といふものを、令和の私もしてみむとて、するなり

小学生のころ、はじめて和歌の世界にハマったきっかけが、百人一首。

まずはマンガで、歌の意味や時代背景を知って。

その中でちょいちょい出てくる『本歌取り』というナゾの呪文に興味を持った。

本歌取りって何?

過去に詠まれた、著名な歌の1フレーズを取り入れて、そこから独自の世界に展開していく手法。

限られた音数の中に、他の歌を取り入れることで、世界感が深まる効果がある。

…ざっくりいうと、パロディとかオマージュとか、そんな感じ。

和歌の世界では、元々の、いち作品中の文字数が少ないから、盗作(著作権侵害)なのか本歌取りなのかの境界線が…とかあるそうですが、

難しいことは苦手なので、一旦置いておきます。

その代わりに、和歌の世界を知ったばかりの人にも分かるように、なるべく元ネタを添えようと思っています。

もちろん、本歌の作者や、その作者のファンの皆さんに最大限敬意をもって使わせてもらいます。

私の場合はね、

ルールにとらわれ過ぎて、文化が消えていく方がもったいないと思う派です。

この辺りのことは、また別記事で書いてみようかな。

さて本題。若山牧水を本歌取りしてみた。


…のが、こちら。

漱石は 哀しからずや 文脈から 切り離されて 拡散されて
(高橋)

本歌はこちら。

白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
(若山牧水)

若山牧水。国語の教科書にも載っている、有名な歌人です。

歌の意味としては、

お前、哀しくないのかい?
空の青、海のあを、どちらの色にも染まらないで、
ひとり、虚空をゆく白鳥よ…
(訳・高橋)


多分こんな感じ。個人的主観を交えた超訳です。ワタクシ、文法とか時代背景から読み解くのとか、苦手なので。

そのあたり正確に知りたい方は検索してみてください。

有名な方なので、解説記事もいろいろあって面白いですよ。

例えば、こんな感じで↓


私は、この孤独な白鳥に、漱石を重ねて、

「〇〇は哀しからずや」のフレーズを『本歌取り』して…

漱石は哀しからずや文脈から切り離されて拡散されて


漱石の言葉が、名言として・言葉遊びとして、漱石自身から切り離されて(海の青にも空の青にも染まず)漂っていくことへの孤独を問うてみる。

こんな感じで。

漱石先生、牧水先生のあの歌に出てくる白鳥に似てますね。「月が綺麗ですね」ってフレーズが、本質から微妙に離れて飛び出して、ひとり歩きしちゃってるようにも見えますけど…

「月が綺麗ですね」のフレーズも、本歌取りされまくってるのかね。本歌取りとはちょっと違うのか?

…うん。私は世界一受けたい授業の先生には呼ばれんタイプだ。解説だれかに丸投げしたい(苦笑)


えーと、

著名人の名言を、結婚式のスピーチに拝借するとか。

お笑い芸人や人気ドラマの決め台詞を、SNSの投稿に使わせてもらうとか。

そんな感じじゃない?

うまいことピタッとはまると、短いフレーズでも、ぐっと深みが増して、

聞き手がうるっと涙したり、ドッカーンとバズったりするでしょ?

そんな高尚なテクニックだと思わなくてもいいと思うよ。


サラダ記念日も、そうだよね?


「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
(俵万智)

例えば、俵万智さんの、サラダ記念日の歌も、たくさんの人に本歌取りされてますよね。

「〇〇がいいねと君が言ったから…」って。


私のこの記事のタイトルも、本歌取りになるのかな?

紀貫之の『土佐日記』の冒頭のフレーズ「男もすなる日記といふものを〜」を、お借りしています。

そんな感じです。



(追伸)
実はこの記事、けっこう長いこと #熟成下書き 状態だったものです(苦笑)

来年こそ…と言わず、年内のうちに一度、出しておきます。ちょこちょこ加筆修正するかも。


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