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良いものが売れるはず BtoB製造業で陥りがちな錯覚| マーケティングはこれだけ!| コラム⑦

こんにちは、Tak@外資流マーケティングです。

今回はBtoB製造業のなかでありがちな、『より良いものを作れば売れるはず』という陥りがちな錯覚についてお話ししたいと思います。

■良いものづくりは、わが社のポリシー?

BtoB 製造業において『より良いものを、より安く作って、PRすれば売れる』という感じで話が進んでしまうことってとてもよくあります。

これは私自身が様々な製品に携わってきたなかで、どの事業でも会議のなかでうっかりその方向で話が進んで行きがちなことが多々ありました。

皆さんの会社でも、社内会議では、自社製品の販売を拡大させるために競合分析を行ったり、製品の差別化ポイントを洗い出したり、展示会や販促についても議論しているかと思います。

『自社製品の品質が良いから売れている』
『安定供給があるから売れている』
『柔軟に価格対応を行なっているから売れている』

など、現在の製品価値について意見が出てくるかと思います。

そういった話を聞けば、製造部門としてより良い製品を作って差別化しようと考え、広告宣伝部はそれをプロモーションしようとします。

しかし、本当にそこがポイントで顧客は価値を感じて購入しているのでしょうか?

それを強化すれば販売が伸びるのでしょうか?

■良いものが売れているわけではない、安ければ売れるわけでもない

こんなものにお金を払うぐらいだったら、もっと良いものがいっぱいあるのになと思いながらもそれを手にしてしまうことってありませんか。

例えば、ビニール傘。

急な雨の日にビニール傘をコンビニで1000円払って購入したことがある方も多いと思いますが、『折りたたみ傘さえ朝持ってくれば・・・』と思うほど、悔しいですよね。それに1,000円払うよりも、もう少しお金を払えば、もっと質の良い普通の傘が買えます。

住宅は人生で最大のお買い物と言われていますが、必ずしも良い品質の住宅選びをしているわけではなく、分譲戸建ての場合は、土地選びを最優先にして建物は2の次になっていると思います。都内の分譲戸建ての値段もかなり高くなっています。品質を最優先にした場合は、地方で安い土地を買って、注文住宅を建てた方がより高い性能の住宅を購入することができます。

居酒屋に行っても、業務用の安いウィスキーハイボールのお店が多いですが、同じ金額を払うならば、家で好きな銘柄のウィスキーで、もっと質の良いハイボールを飲むこともできます。もちろん、それを知りながら安い居酒屋のハイボールを飲んでいる方が多いと思います。

『モノの質で選んでいるわけではない』事例を挙げてみました。

いずれも4P戦略における『Place』の要素が関係していることにお気づきでしょうか。

■B to B製造業だと陥りがちな製品ファースト志向

上記の事例は、4P戦略における製品については決して品質や性能が良いものではなく、価格も安いわけではないのにも関わらず、売れる製品になっているものになります。

消費者に近い B to C マーケティングにおいては、マーケットインの志向で、流通チャネル、ECを含む販売チャネル、店舗立地などについても良く練られているのですが、B to B マーケティングでは、流通チャネルを介した販売となり、消費者から遠く、マーケティングとしての流通戦略は疎かになり易くなります。それよりも製造業として、モノづくりでの施策、差別化のほうが馴染みやすいものになりがちです。

整理すると、4P戦略において、Product:製品、Price: 価格、Promotion: プロモーションばかりに目が行き、Place: 流通施策についてのマーケティング調査、分析、施策が少ないということになりやすい傾向があります。

■B to B の流通施策で考慮されるべきポイント

B to B 製造業の場合、最終顧客直販やEC販売が可能なケースは少なく、多くの場合は、商社などを起用して販売する仕組みとなっています。以下のポイントを考慮しながら、流通で当社の強みを構築しなくてはなりません。

・チャネル長さ(最終顧客までの流通の長さ)
・流通コスト(流通マージン)
・物流(在庫・配送拠点)
・売上回収(キャッシュフロー)
・与信管理(倒産によるリスク)
・営業能力(価値提案が出来る営業力)

これらのポイントで競合他社はどのような、Place:流通施策を行っているのかを知り、当社はそれに対して、どのように差別化しているのか、今後どのように差別化していくのかを議論する必要があります。

3C分析によって検討したバリュープロポジションに沿った4P戦略が必要になるということについては過去のNoteでもご紹介しました通りですが、4つの P それぞれが、バリュープロポジションに対して矛盾がないようにしなくてはならないため、流通戦略は当然、欠かせないものになります。

先ほどの住宅の事例であれば、狭小ローコスト住宅を地方の広い土地で分譲住宅として展開しても売れません。コンビニのビニル傘を1,000円でデパートで販売していても売れません。4P全体施策が、ターゲットした顧客に対するニーズやウォンツに刺さっているからこそ売れる製品になっているのです。

B to Bの製造業において、製品、価格、営業プロモーションだけの差別化だけではなく、チャネルでも自社が差別化できるポイントを見出し、顧客にとってのバリューを届けていきましょう。

お読みいただきありがとうございました。

以上

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