見出し画像

胃が強くなる食べもの

 胃弱で悩んでいる人は多いでしょう。胃が弱いと十分に食べられなくなるため、栄養が慢性的に不足して筋力や体力が低下していきます。筋肉量が減少することで、首や肩のコリや痛み、腰痛やヒザ痛などに悩まされることになります。また、栄養不足は貧血や骨粗鬆症の原因にもなります。つまり、胃弱は虚弱の元なのです。
 胃を強くするには、何を食べればいいでしょうか?
 実は、超意外な食品が胃を強く丈夫にしてくれるのです。

胃を強くするホルモンとは?

 胃の上部は「胃底」、中部は「胃体」、下部は「前庭部」と呼ばれます。
 食べたものは胃の上部(胃底)に1~4時間ほど貯蔵されて、ある程度消化されると胃の下部(前庭部)に送られます。ここで腸に送り込んでよいか確認されて、OKならば胃の出口から十二指腸に送られます。
 胃の上部と中部の粘膜から分泌されるのは、胃酸(塩酸)とペプシノーゲンとムチン(粘液)です。胃酸とペプシノーゲンが反応すると、ペプシンというタンパク質消化酵素になります。胃酸とペプシンによって、胃の内容物が殺菌されるとともに、タンパク質が消化されます。また、胃酸によってカルシウムやマグネシウムや鉄や亜鉛などといったミネラルがイオン化されて、腸から吸収されるようになります。
 胃の粘膜からは、内因子も分泌されます。内因子は、ビタミンB12と葉酸を吸収するために必要です。ビタミンB12と葉酸は赤血球をつくるために必要なビタミンです。もし内因子が分泌されなくなると、ビタミンB12や葉酸が不足して貧血になります。この貧血は「悪性貧血」または「ビタミン欠乏性貧血」といわれます。
 胃の下部(前庭部)からは、「ガストリン」が分泌されます。ガストリンは胃内に分泌されるのではなく、血液中に分泌されるホルモンです。ガストリンは血液を通じて、胃底腺から胃酸とペプシノーゲンの分泌を促します
 こう聞くと「胃酸を逆流させる犯人はガストリンだったのか?」と思うかもしれませんが、違います。
 実はこのガストリンが、胃の働きを高めて丈夫にしてくれるのです。
 ガストリンはなぜ胃の内部にではなく、血液に放出されるのでしょうか?
 それは、脳に「胃酸が足りない」ことを伝えるためです。脳はその情報を受け取ると、アセチルコリンを迷走神経を通じて胃に伝えます。それによって、胃のぜん動が促され、胃酸やペプシノーゲンやムチンの分泌が促され、インスリンの分泌も促されます。そして、下部食道括約筋をしっかり閉じて胃酸の逆流を防ぎます。つまり、ガストリンによって脳からアセチルコリンが胃に伝わることで、胃の働きが高まり、逆流を防ぎ、食後に血糖が上がりにくくもなるのです。
 さらに、ガストリンには「栄養効果」もあります。栄養効果とは、ホルモンの標的となる内臓を大きくする作用です。
ガストリンが多量に、かつ持続的・反復的に放出されると、胃底腺が大きくなり、胃体の壁が厚くなってくるのです。したがってガストリンの分泌を促せば、胃が強く丈夫になるのです。

肉と酒が、胃を丈夫にする!

 ガストリンは、肉や魚などに含まれるアミノ酸やアルコールの刺激によって放出されます。ですからガストリンの分泌を促すには、肉や魚のスープかお酒を飲めばよいわけです。
 酒飲みが概して胃が丈夫なのは、アルコールが消化を助けて胃を丈夫にするからです。とはいっても飲みすぎたり、度数の高い酒を一気飲みしたりすれば、胃粘膜がただれてしまうので逆効果になります。また、アルコールに弱い人が飲むのはNGです。
 しかし、アルコールを分解できる人であれば、ビールや日本酒やワインなどを飲みながら肉や魚を食べるというのは消化に良くて、胃が強くなるのです。
 
 お酒が飲めない人は、重曹を飲めばいいのです。
重曹も、ガストリンの分泌を促します。食事の10分くらい前に、重曹0.5~1g程度を水かお湯に溶かして飲めばよいでしょう。
 前庭部では、胃酸で消化・殺菌されたかをチェックしているので、内容物が酸性になっていなければいけないわけです。ところが重曹というアルカリ性のものが入ってくると、「胃酸が足りない!もっと出さないと!」と判断して、ガストリンを分泌するのです。

肉を食べても動脈硬化にはならない!

 「肉に含まれる飽和脂肪酸が、コレステロールを増やして動脈を詰まらせる」という説は、50年前に信じられていた時代遅れの常識で、今では完全に否定されています。
 アメリカでは、1988年に「コレステロール悪玉説」に基づくガイドラインが発表され、「心筋梗塞を減らすためにコレステロールを減らそう!」というキャンペーンが国をあげて行われました。肉や卵などの動物性食品を控えて、コレステロール降下剤(スタチン)を飲んで、コレステロール値を下げようと努力しました。
 ところが20年たっても心筋梗塞の患者は減らず、日本人の3倍以上も発症率が高いうえ、肥満や糖尿病になる人がかえって増えてしまいました。
 アメリカはこの国民的プロジェクトの失敗から、「コレステロールが原因ではなかった」ことを学びました。
 1991年に発表された、フィンランドの「ビジネスマン研究」も有名です。
 この研究は、心筋梗塞の危険因子をもつ1200名を2つのグループに分けて、一方(介入群)には「コレステロール降下剤とともに、動物性食品を控える食事指導」を5年間にわたって行ない、もう一方(対照群)にはとくに何も指導しないで本人の自由に任せました。
 その結果、初めの5年間は両群に大きな差はみられませんでしたが、5年を過ぎたあたりから徐々に食事指導を行なった介入群の死亡者が増え始め、その後は年を経るごとに差が開いていき、ついには介入群の心筋梗塞の死亡率が、対照群の2.4倍にも達したため、15年で実験が中止されました。
 これらの結果から、『動物性脂肪の摂取を減らしても、コレステロール値を下げても、心筋梗塞や肥満や糖尿病などを防ぐ効果はない』ことが明らかになりました。
 その後の脂質研究で、動脈硬化の真の原因は「炎症」であり、とくに血管の炎症が大きな原因になっていることが分かりました。
 そして、血管の炎症の原因となるのは、肉の動物性脂肪ではなく、コレステロールでもなく、植物油に含まれるリノール酸であることが明らかになっています。
 今日では、『炎症を促すのはリノール酸、反対に炎症を抑えるのはDHAやEPA、αリノレン酸といったオメガ3脂肪酸である』ことが常識になっています。
 つまり、肉を食べても動脈硬化になるわけではないのです。
 肉を焼くときに、リノール酸が多い植物油は使わないほうがいいでしょう。例えば、紅花柚・大豆油・コーン油・ヒマワリ油・綿実油・菜種油・キャノーラ油・グレープシード油などといったサラダ油です。
 コンビニ弁当ばかり食べていると胃が悪くなるのは、ごはんにサラダ油を加えて炊いているからです。酸化した油脂を一緒に食べているから、胃に炎症がおきやすくなるのです。
 
 また、リノール酸に水素を添加してつくるマーガリンやショートニング(トランス脂肪酸)は細胞毒性がありますから、できるだけ摂らないようにしたほうがいいでしょう。
調理に用いて安全なのは、バター・ラード(豚脂)・シソ油(エゴマ油)・コメ油・(ギリシャ産)エキストラバージンオリーブオイルなどといった酸化に強い油脂です。
 しかし、できれば油脂を使わない、煮る・茹でる・蒸すといった「水の調理」のほうがよいでしょう。
 

肉はガンの原因ではない!

 人間は、科学で解明された事実よりも、イメージで判断しがちです。
 「肉を食べるとガンになる」というのも科学ではなく、宗教や思想による思い込みにすぎません。
 海外のほとんどの国々では、日本人の3~4倍の肉を毎日食べています。肉がガンの原因ならば、海外の人たちはほぼ全員ガンになるはずですが、そんなことはありません。
 ちなみに人口10万人あたりの胃ガンによる死亡数(年齢調整値)ランキングをみると、世界172ヶ国中、日本は25位(人口10万人あたり14,236人)です。ちなみに1位はモンゴル、2位はグアテマラ、3位は中国です。
 日本人の3~4倍の肉を食べている国々をみると、イタリアは66位(人口10万人あたり6,919人)、アルゼンチンは69位(人口10万人あたり6,445人)、ニュージーランドは129位(人口10万人あたり3,587人)、オーストラリアは140位(人口10万人あたり3,163人)、アメリカは152位(人口10万人あたり2,598人)と、日本よりはるかに胃ガンの死亡数が少ないのです。
 胃ガンだけでなく、すべてのガンでみると順位が変わりますが、「肉の消費量とガンの発症率」は比例していません。
 一人あたりの肉の消費量が多い国は、第1位が香港、第2位がアメリカ、第3位がオーストラリア、第4位がアルゼンチン、第5位がスペインとなっていて、日本は50位以下と非常に少ないのです。
 一方、2020年のすべてのガンの死亡数(年齢調整値)が高い国別ランキングをみると、第1位がハンガリー、第2位がクロアチア、第3位がラトビア、第4位がスロバキア、第5位がスロベニアとなっていて、肉の消費量第2位のアメリカは第35位となっています。
 このように、肉を食べている量とガンは関係ないのです。
 2022年2月に「JAMA Network Open」というジャーナルに掲載された、ステージ3の大腸ガン1011人を対象に「赤身肉および加工肉の摂取量と大腸ガンの再発・死亡との関係」を調べた論文でも、『赤身肉の摂取量と大腸ガンの再発や死亡率との関連はみられなかった』という結果が出ています。
 実際に、肉をまったく食べないでガンで亡くなった人がたくさんいます。私が知っている人(とその関係者)だけでも10人以上います。
 マクロビオティックの講師をしていた女性は、自らも厳格な玄米菜食を続けて、52歳で肝臓ガンになり、56歳で亡くなりました。
 「肉を食べるとガンになるから食べてはいけない」と言い続けていた栄養士も、68歳で胃ガンで亡くなりました。
 千葉県の有機農法のメッカである村に移住したご夫婦も肉をまったく食べない生活を続けて、ご主人が大腸ガン、奥様はすい臓ガンで、お2人とも50代半ばで亡くなりました。
 同じく肉をまったく食べなかったご夫婦も、ご主人が大腸ガンで、料理研究家の奥様は乳ガンで、お2人とも69歳で亡くなりました。
 アップルの創業者のスティーブ・ジョブズも、肉をまったく食べずにすい臓ガンになって、56歳で亡くなりました。
 実は、菜食をしている人たちのほうが、ガンになりやすいのです。なぜかというと、栄養不足(とくに低コレステロール)によって細胞膜が脆くなるからです。細胞膜が脆いと、細胞内に有害物質が入りやすくなり、それによって遺伝子が損傷するリスクが高くなるのです。

「もっぱら肉か、魚を食べ、果物や野菜をまったく食べない人たち(イヌイット族やマサイ族もその例である)のかなり多くが、ほとんどガン(あるいは心疾患、糖尿病、肥満)にかからなかった。これは肉食がこれらの疾患ではないことを示唆しており、また大量の果物や野菜はそれらを予防するために必要ないことを意味する。(中略)
 なぜガンが、菜食主義の社会(たとえば、1899年にある英国の医師が「彼らにとって肉鍋は嫌悪の対象」と表現したインドのヒンズー教徒)において広がり、イヌイット族、マサイ族、北米のグレートプレーンズ(大平原)に住む米国先住民、その他の明らかに肉食の集団においてほとんど見られないのか、について説明できなかった。」
『ヒトはなぜ太るのか?』p189ゲーリー・トーベス著・太田喜義訳(メディカルトリビューン)

胃を弱くする食品

 胃を丈夫にするのは、胃の下部(前庭部)から分泌されるガストリンです。ガストリンの分泌を促すのは、肉や魚のタンパク質と(適量の)酒と重曹です。
 胃から分泌されるタンパク質分解酵素はペプシノーゲン(ペプシン)ですが、ペプシノーゲンはタンパク質でできています。つまり、タンパク質がタンパク質を分解するのです。ですから長い間タンパク質が不足した食生活を続けていると、タンパク質を消化する力が低下してしまいます。
 野菜にはタンパク質が含まれていないので、野菜をいくら食べても胃は強くなりません。強くならないどころか、胃を悪くする野菜もあります。
 例えば、ニンニクです。ニンニクに含まれる「アリイン」という成分は、胃潰瘍の原因となり、腸から吸収されると溶血(赤血球が壊れること)をおこし、血圧低下やめまい、貧血などといった症状を引きおこします。また強い殺菌力によって、腸内の善玉菌も殺してしまうので、腸内環境が悪化して腹痛や下痢、便秘などを引きおこす恐れもあります。
 アリインは、ニンニクをすりおろしたり切ったりすると酵素(アリナーゼ)と反応して「アリシン」に変化して、強烈なニンニク臭を放ちます。アリシンは、ビタミンB1の吸収力を高めて疲労回復を促すほか、抗菌作用や免疫力を高める作用がありますが、摂りすぎは逆効果になります。ニンニクは1日2片までに留めることです。
ミントは胃の動きを止めてしまうので、食事の前後にはミントを含むものを摂らないようにしましょう。
タンニン(渋み成分)が多い茶類も胃の動きが悪くなり便秘も悪化しますので、渋い茶類は飲まないほうがいいでしょう。
ホウレン草や小松菜、チンゲン菜や春菊などといった葉の色が濃い青野菜も、あまり食べないほうがいいでしょう。濃い緑色は葉緑素ではなく「硝酸態窒素」の色で、色が濃いほど多く含まれています。硝酸態窒素は胃酸と反応すると、発ガン性物質のニトロソアミンに変化します。胃の中で発ガン性物質ができるのですから、胃に良いわけありません。
 ちなみに硝酸態窒素は、緑茶(とくに玉露・抹茶に多い)や青汁にも含まれています。
 
 また、果糖は胃を弱くします
 果糖をたくさん摂ると下部食道括約筋が弛緩して、胃酸が逆流しやすくなります。
砂糖は、ブドウ糖と果糖が一分子ずつ結合した糖ですから、半分は果糖です。
 また果糖は、果物や果汁をはじめ、果糖ブドウ糖液糖が入ったドリンクにも含まれています。果物でダントツに多いのは、バナナです。
 胃を強く丈夫にしたければ、果糖を多く含むものをできるだけ摂らないことです。菓子パンやケーキ、チョコレートやアイスクリーム、饅頭や羊羹などといった「甘いもの」をたくさん食べていると、胃が弱くなります。例えばアンコの半分、羊羹の7割は砂糖です。
 また、スポーツドリンクや経口補水液には、血糖濃度(0.1%)の50~70倍もの糖が含まれています。
エナジードリンクに含まれる糖はさらに多く、血糖濃度の100倍以上も含まれています。
缶コーヒーに含まれる糖は、もっとも多いもので一缶あたり44.5g、少ないものでも12.5g、微糖でも8gほど含まれています。
 また、乳酸菌飲料にも糖がたくさん入っています。ヤクルト110mlには8g、ミルミル100mlには13.7gも含まれています。
 万田酵素や大高酵素などといった酵素飲料にも、大量の砂糖が入っています。
野菜ジュースにも、甘い果汁が加えられています。
 一見、健康に良さそうなイメージで喧伝されているものでも、かなりの糖(とくに果糖)が含まれているものが多いので、成分表示をよく見て確認することが大事です。成分表示は多い順に記載されていますから、砂糖や果糖ブドウ糖液糖などが最初のほうに表示されていたら避けるほうが賢明でしょう。
 
 
▶胃腸を丈夫にする食事を解説した『大豆毒が病気をつくる』(知道出版)『自律神経を整える食事』(鳥影社)はこちら。
 
▶リーキーガットやSIBOのためのサプリメント『ガットサポート』の購入はこちら。
 
▶「桜ヶ丘整体院」へのお問合せはこちら。

いいなと思ったら応援しよう!