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売れる小説と書きたい小説。 【エッセイ】

 小説が好きだ。でも、小説が嫌いだ。
 小説を書きたい。でも、小説を書きたくない。

 ベストセラー小説を何冊か読んでみた。何十万部突破とか、何とか賞受賞とか、売り上げランキング第一位とか。そんなやつ。一度くらい勉強のつもりで読んでみようと思ったんだ。

 つまらない。嫌い。気に食わない。そんな本ばかりだった。僕の感想は変なのだろうか。ネットで調べてみる。どこをみても大絶賛の嵐。さらに嫌になる。そうか、こういう小説が"良い"小説なのか。

 読む分にはまだ許せる。自分が好きな本だけ読んでいればいいのだし、それがベストセラーである必要など、まるでないのだから。

 しかし、僕は書きたいのである。小説を書いて生きていきたい。別に大作家になろうなんて思わない。ただ生活できればそれでいいのだ。

 "良い"小説は僕には書けない。面白さが分からないのだから仕方がない。じゃあ、自分が面白いと思う小説を書けばいいじゃないか。でも、そうして書いた小説は、きっと売れないのだろう。

 さあ僕はどうすればいいでしょうか。クイズが得意な人に聞いてみたい。答えがわからないまま、とりあえず自分が好きな小説を書いている。

 僕は10年後、どんな小説を書いているのだろう。魂を売って、売れる"良い"小説を書いているかもしれないし、小説自体を書いていないかもしれない。僕は勝手に、自分が面白いと思う小説を書いていてほしいと期待する。

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