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「普通の人になりたいだけ」の意味

『ただ普通の人になりたい』

生きづらさを感じている人には、
こう思ったことがある、と言う人も
少なくないのではないでしょうか。

こんなことを言われたら、あなたならなんて返しますか。

『普通じゃなくても
あなたらしくいればそれでいいよ』

『あなたにとって普通って
具体的にどういうこと?』

『あなたも十分普通だよ、全然変じゃないよ』

こんな言葉が浮かんできた人も
いるのではないかと思います。

全部(多分)善意の言葉です。

でも、こんな一見励ましの言葉も、
生きづらさを感じている人の中には、
なんだかつらくなって
話すのをやめてしまう人も
いるんじゃないかと思う。

失礼になりたくないから
質問には答えるけど、
『そういうことを言いたいんじゃない』
って悲しく思ったり、憤りを感じるかもしれない。

そんな自分に対して、
『相手は自分のことを考えていってくれているのに』
『また迷惑をかけてしまっている』
と自責の念を持つかもしれない。

それはなんでなのか。

『普通になりたいだけなのに』
はいったい何の叫びなのか。

多分、多くの場合、それって
『みんなに受け入れられたい』
だと思うんですね。

つまり、『普通になりたい』は
『もう疎外されたくない』
『もう嫌われたくない』
『もう一人になりたくない』

ではないかと。

そう思うと、『普通じゃなくたって
あなたらしくあればいい』は…

『疎外されていても、
一人で幸せになればいい』

みたいな…

そんな無茶を言わないでくれ、
みたいなアドバイスになってしまうのが
わかるかと思います。

『あなたにとって普通って
具体的にどういうこと?』

これは質問としては悪くないのですが、
『普通の人は、みんなと自然と仲良くなれて…
初対面の人とでもそれなりに馴染めて…』
と言ったような返答だと、

『そんな人いないよ!
みんな人付き合いで大変な思いしながら
頑張っているんだよ』

と言った、生きづらさを抱える人の
考え自体が間違っている…というか

『みんな大変なのに、
あなただけ甘えているんじゃない?』

といったメッセージになってしまったり。

反対に

『あなただってみんなに好かれているよ、
全然「普通」だよ』

と励ます、というケースだと
『拒絶されていると感じていてつらい』
という感情自体が間違っている…みたいな
メッセージになってしまいがち。

多分、ここまで読んで、
じゃあなんて返せばいいんだよ!

と困ってしまった人もいると思います。

これに対する、これを言えばOK!みたいな
明確な答えはないのですが、
そういう時は『もっと相手を理解する』ことを
目標にする、と考えると『何か言わないと』という
プレッシャーからはある程度解放されます。

つまり、肩の力を抜いて
『自分は普通じゃないって感じているんだね…』
『どういう時にそういうふうに感じるの?』
みたいな感じで、深掘りしていく。

『話を聞いてもらう』ということ自体が、
『受け入れられている』と感じる土台になるので、
言ってしまえば答えなんてなくたっていいのです

話を聞くだけで申し訳ないな、と感じる場合は
最後に『何か力になれることがあったら言ってね』
と付け加えるだけで、相手にはまた
『こういうこと、話してもいいんだ』
『受け入れられた』という実感になる。

『普通になりたい』をそのまま
解決すべき相談内容だと捉えて
それを解決しようとすると
『ただ話を聞いていても
解決にはつながらないし…
そもそも普通ってどういうこと…
どうしよう…』と
ものーすごく複雑な話になってしまうのですが、

『普通になりたい』はイコール
『誰かに受け入れられたい』だと理解すると、
(全てのケースがそう言った意味であると
いうことではないです、念の為)
『話を聞く』ことで実際に
『受け入れられている』実感を得る手助けをする…
と、かなり直接的な手助けができているんですね。

もちろん小一時間話を聞いた程度で
相手の問題が全解決、というわけではありませんが、
普通に生きていてこう言ったふうに
『ただ話を聞いてもらう』ことってほとんどないので、
たった一度の会話でも、その人はその後何年も
ずっと覚えている、ということも実は珍しくありません。

いつも読んでくださって
ありがとうございます。


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