たびと

合計17年強、上海で生活した日本生まれ日本育ちの日本人。高校卒業後に上海へ渡り大学~大学院で中国史の勉強。「アジア金融危機とかで日本にゃ仕事がない」と親から脅され、現地でフリペライター・市場調査、日本帰国後も中国情報メディア&マーケティング関連のお仕事に従事中。うつ病治療中。

たびと

合計17年強、上海で生活した日本生まれ日本育ちの日本人。高校卒業後に上海へ渡り大学~大学院で中国史の勉強。「アジア金融危機とかで日本にゃ仕事がない」と親から脅され、現地でフリペライター・市場調査、日本帰国後も中国情報メディア&マーケティング関連のお仕事に従事中。うつ病治療中。

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  • 孫子をゆる~く読むコラム

    『孫子兵法』をノンビリ、ややオタクに読むColumn。昔、PDFで配信していたものを再編集しています。

  • 中国のお仕事など

  • 読んでて良かったもの

  • 中国語について

  • ウツと“生きる”と中国と

    うつ病と診断されてから考え始めた、自分にとっての「生き方」と「中国」との関係を、思いつくままにまとめていきます。 ただし、けなす、否定する、見下す、憎悪するものではありません。

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孫子をゆる~く読むコラム始計篇を読み込む②~詭道論~

前回のコラム(https://note.com/tabito_china/n/n5bd545e2ffb1)では始計篇における「五事」・「七計」について考えてみた。これは、戦争における基礎情報であり、セオリーであり、勝利における必須条件である。しかし、これだけでは勝つことはできない。五事・七計が整った条件のもと、それをより効果的に勝利に繋げる方法が必要となる。それが今回の「詭道」である。今回はその詭道論について紐解いていこう。 「詭道論」とは  『孫子』は始計篇において、ま

    • 人や社会から見た中国経済の「欠けている部分」~非専門家の勝手な物言い

      中国経済に関する論著は近年、数多く発表・出版されている。 ネット上でも数多くの議論が交わされており、「中国経済期待論」から「中国経済崩壊論」まで多種多様な意見があることがわかる。 私は政治・経済・金融の専門ではないし、そうした仕組みやデータの読み解きも門外漢。同様のアプローチを行うことはできない。 しかし、実際に中国で生活し、中国の人や社会を見てきた人間として、少しだけ思っていることを書き出してみようと思う。 もちろんきわめて定性的で合理性に欠けることは十分に承知しているが、

      • 日本人が「グローバル人材」なるための「漢文」素養に関する勝手な考察

        「グローバル人材」という言葉が世に出て久しい。 いまやビジネス界だけでなく、教育の現場にも「グローバル人材」を売りにしているトコロが少なくない。 英語教育などに力を入れ、海外の先進的な考え方を取り込もうとする事業や教育がすごく多いのだが、しかし、生来にひねくれた性格の成果、時々「それって本当にグローバル人材になれるの?」と思う事が多い。 なので、今回はちょっと「私的なグローバル人材について」を書き出してみよう。 グローバル人材=外国語ができる人、でいいのか? ではその「グ

        • 中国の「愛国教育」の「反日教育」化と「反日トラフィックビジネス」を考える~日中間の議論のすれ違いを考察する

          9月18日に起こった痛ましい事件。 発生からしばらくの間、仕事もあまり手に付かない状況が続いていた。それだけ自分にとっては悲しく、ショッキングな事件であった。 しかしそれと同時に巻き起こった日中のSNSにおける相互ヘイトを見ながら、その議論の「すれ違い」、お互いに「空虚なものを殴り合っている感」が日に日に強まった。 いわゆる日本側の言う「反日教育」への意識の違いである。 少々、私自身も冷静さを取り戻しつつあるので、思いつくことを書き出し、今後の思考の基礎材料としてみることとし

        • 孫子をゆる~く読むコラム始計篇を読み込む②~詭道論~

        • 人や社会から見た中国経済の「欠けている部分」~非専門家の勝手な物言い

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          2本
        • 中国のお仕事など
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        • ねころんでロンゴ(論語)
          24本

        記事

          中国SNSのソーシャルリスニングで大事なこと~文系さんのビッグデータ解析

          中国消費市場のソーシャルリスニングに携わっており、「中国SNSからみた訪日インバウンド」や「中国消費者の化粧品の好み」などのレポートを作る日々を送っている。 そんな話をすると「アナリストだ」、「データサイエンティスト?」、「デジタルマーケッターだ」などと勘違いされるが、いずれも誤解である。 私は相変わらず「歴史研究者のなり損ない」で、「似非ライター」であり、「不合格リサーチャー」なのである。 ただ、そんなのがなぜ中国のSNSによるクチコミ分析(ソーシャルリスニング)をやって

          中国SNSのソーシャルリスニングで大事なこと~文系さんのビッグデータ解析

          中国ビジネス、中国学、中国語などに飛び込もうとする人たちに読んでもらいたい書籍④

          現代中国が形成される1つの要素となった「六四」 6月4日である。 この日はどうしても「現代中国」というものに思いを巡らさざるを得ない日である。 この日の出来事に対して、数多くの書籍が出されているが、 今回は現在における中国ルポライターのこの方の本を紹介。 書名:八九六四完全版 「天安門事件」から香港デモへ 著者:安田峰俊 出版:角川新書 いわゆる天安門事件(第二次天安門事件、六四事件)は、中国では「89年6月的政治風波」といった、やや婉曲な表現をされているが、記録から

          中国ビジネス、中国学、中国語などに飛び込もうとする人たちに読んでもらいたい書籍④

          中国ビジネス、中国学、中国語などに飛び込もうとする人たちに読んでもらいたい書籍③

          日本国内ではけっこう「闇の組織」化してしまっている、「中国共産党」という組織。 「気味が悪い」とか「非合法組織」めいたイメージばかりが広がっているが、原則的に言えば、中華人民共和国の政権与党、執政党なので、公的な組織であることは、ちょっと考えればわかるようなもの。 それでも「恐怖の闇組織」と言われてしまうのは、組織トップそのものの透明性にあるのだろうが、本書はそうした部分を取り払い、非常に客観的に、かつ冷静に「中国共産党」という組織を解説している書籍。 まさに、中国という

          中国ビジネス、中国学、中国語などに飛び込もうとする人たちに読んでもらいたい書籍③

          中国ビジネス、中国学、中国語などに飛び込もうとする人たちに読んでもらいたい書籍②

          中国の若者はこれまでの世代とは大きく異なる。 中国マーケティングを行っていると、その事実を常に突きつけられている。 その「違い」を恋愛や結婚という人生の一大イベントという切り口から描き出した一冊。 書名:シン・中国人―激変する社会と悩める若者たち 著者:斎藤淳子 出版:ちくま新書 まさに経済発展の恩恵を享受しながら育ってきた90後世代だが、社会に放り出された後に、現実とまた上の世代との価値観の違いと向かい合わなければならなくなる。 特にモノが溢れ、社会に良質な商品が「普

          中国ビジネス、中国学、中国語などに飛び込もうとする人たちに読んでもらいたい書籍②

          中国ビジネス、中国学、中国語などに飛び込もうとする人たちに読んでもらいたい書籍①

          春、学校や会社、自身の研究テーマやビジネスノウハウとして「中国」というキーワードを選択する、もしくは自発的ではないが出会う人も多かろうと思う。 そういう人に読んでいただきたい書籍を少しずつ紹介していこうと思う。 今回は日本の最高学府の中国専門家たちの講義内容をじっくり読めるというお買い得の書籍。 書名:現代中国ゼミナール: 東大駒場連続講義 著者:東大社研現代中国研究拠点 出版:東京大学出版会 発売:2020/5/21 「一帯一路」、「雨傘革命」、「デジタルチャイナ」、

          中国ビジネス、中国学、中国語などに飛び込もうとする人たちに読んでもらいたい書籍①

          約20年前の中国“非主流”トリップ体験と中国観 ~中国の多角的多様性を考える~

          おことわり 自分の経験(中国学習、中国留学、中国就業や中国ビジネスなど)を整理して書き出そうと思い、準備を始めた。 一部はノートのこのページに書いてあるのだが(https://note.com/tabito_china/n/n4b5d084487bc)、ほかに何かないかと探していたら、社内用に作った資料が出てきた。 自分の原点であり、一部の「中国すごいぞ系」のビジネスマンや、中国で有名になった日本人たちとは一線を引いている理由にもなっているもの。 本文は自分が上海で在留日

          約20年前の中国“非主流”トリップ体験と中国観 ~中国の多角的多様性を考える~

          孫子をゆる~く読むコラム 始計篇を読み込む①~五事・七計~

          序ビジネスに役立つと言われる中国古典『孫子』。 確かに同書は会社の事業戦略やマーケティング戦略、人事労務に関係する人間関係などを考えたり、果ては人生そのものに役立つ内容が多く盛り込まれている。 しかし、それを真剣に読もうと思うとけっこうな労力がかかる。 なので、少し大学院時代の研究を思い出し、『孫子』を読み解いていこうと思う。 ただ、どこまで続くか分からないし、かなりオタクな内容を差し込むことがあるので、笑いながら読んでいただければと思う次第である。 始計篇の絶対的価値『孫

          孫子をゆる~く読むコラム 始計篇を読み込む①~五事・七計~

          ウツと“生きる”と中国と~中国とカエルのお腹~

          眠るのが怖い。 眠ると確実に悪夢を見て自分の叫び声で目が覚めるのが毎日の習慣になっている。 休んでいるのに、かえって疲れてしまうのである。 誤解のないようにふと前回の文章を読み返して、誤解を招くかもしれないので書いておこう。 ▶前回の文章 ウツと“生きる”と中国と~努力できない人間と努力の定義~ https://note.com/tabito_china/n/n4b5d084487bc 私が「うつ病」になったのは上海が悪い、と言いたいわけではない。 正直に言えば、上海で

          ウツと“生きる”と中国と~中国とカエルのお腹~

          ウツと“生きる”と中国と~努力できない人間と努力の定義~

          「うつ病」という病気は、症状が出てくると、本格的にいろんなことができなくなってくる。 書きたいと思った文章も、まったく書けなくなる、書く気がなくなる。 とにかくできるところから、まずはもう一度、自分が中国に行った経緯を整理してみようと試みた。 それで思ったのだが、ツラかったことの一つが「努力」という言葉の持つ意味の違いじゃなかったのか、と思う。 なぜ中国へ行ったのかと自分にとっての「努力」私が中国に渡ったのは高校卒業の翌年である。日本の大学には進学しなかった。 なぜ中

          ウツと“生きる”と中国と~努力できない人間と努力の定義~

          ねころんでロンゴ(論語)~オリンピックスピリッツ

          八佾第三 原文子曰「君子無所爭。必也射乎。揖讓而升下、而飮。其爭也君子。」 書き下し子曰く、君子は争う所無し。必ずや射か。揖譲(ゆうじょう)して升下(しょうか)し、而(しこう)して飲ましむ。其の争いや君子なり。 訳孔子が五輪見て(ウソ)つぶやいた。 「イケてる人って、ああだこうだって争うことはしねぇよな。 まぁ勝ち負け付けるとしたら弓の試合ぐらいか。 それだって、きちんとマナー守って、譲り合って試合場に出入りして、試合終わったらスッキリ一緒に飲む。 そいうヤツなんだよな

          ねころんでロンゴ(論語)~オリンピックスピリッツ

          ウツと“生きる”と中国と~序~

          この内容を書き始めようと思い立ってから3~4カ月が過ぎていた。 仕事が忙しいというせいもあるが、気が湧かない、頭も体も気怠く、時間のある時は横になっていたいという欲求に勝てなかった。 それも仕方がない、と自分では思う。 2020年、コロナ禍の中、私は「うつ病」との診断を受けた。 ただ、医師と話していて言われたのが、昨年にうつ病になったわけではなく、そう診断されたにすぎない。 医師の言葉を借りて言うと「症状はけっこう長く続いていたんだね」という言葉。 確かに思い返してみれ

          ウツと“生きる”と中国と~序~

          ねころんでロンゴ(論語)~それが一番大事

          子路第十三 原文子路問政。 子曰。先之勞之。 請益。 曰。無倦。 書き下し子路、政(まつりごと)を問う。 子曰く、「之に先(さきん)じ、之を労(ねぎら)う」。 益(えき)を請う。 曰く「倦(う)むこと無かれ」。 訳子路が政治について大切なことを聞いたので、 孔子はそれに答えてあげた。 「まず自分からやること。周りをねぎらってやること」 子路が「もうちょっと、なんか教えてください」と(図々しく)言うので一言。 「飽きちゃダメ」 子路「Σ(゚д゚lll)ガーン」 寸感政

          ねころんでロンゴ(論語)~それが一番大事