竜/芥川龍之介(1/1)
2024.01.01.辰年。
斜面で紹介されていたので読んでみた。
かの有名な『鼻』ではないが、でか鼻にまつわる話。大きな鼻をわらわれて不平をためていた鼻蔵は、ひとを笑うために『三月三日この池より竜昇らんずるなり』と嘘の建札を立てた。それはどんどん街中の大評判となり……――
自分で嘘の建て札を立てたくせに、周りの祭り気分にあてられてなんだかそわそわとほんとうに竜がでるんじゃないかと落ち着かないようすで自分の叔母と池をのぞく鼻蔵を思うと、滑稽でおかしくてすこしいとしくなる。