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年が明けてしばらく経ちますが、2023ベスト本


すっかり年が明けてしまって、なんなら2024年最初の1ヶ月ももう過ぎ去ってしまいましたが、主に卒論のせいで年内に間に合わなかった2023年の振り返り第1弾・ベスト本記事をこれから書こうと思いますー。


2023年に読んだ本の数は111冊

おそらく人生で一番本を読み倒した1年だったと思う。2022年は受験期間で離れていた読書習慣がやっと戻ってきた年で、三日坊主ならぬ一年坊主になってしまってもおかしくなかった。けれど、前年を超えてさらにたくさんの本に出会うことができて、ほんとうによかった。



「働き出したら、本くらいは好きなだけ買えるんちゃう?」と父は言った。

2024年、その言葉が幻となることなく、社会人になってもたくさん本を読めますように。



2022年のベスト本はこちら▽






「正義とは、悪とは何だ。」
ぼくのメジャースプーン/辻村深月

2022年が原田マハの年だとするならば、
2023年は間違いなく辻村深月の年です。

昨年の前半、辻村ワールドにハマりまくってすごろく作品をすべて買い漁り、一気読みしました。

中でもこの本は私に大切なことを教えてくれた一冊で、#2023年ベスト本 に留まらず、#名刺代わりの小説10冊 に選ばずにはいられません。この本に出会ったのがまだ昨年のことだなんて信じられない。それほどまでに私のバイブルとなった一冊です。

この本を読んだあと、少しだけ優しく、賢くなれる気がします。



「内側から生まれた問いの答えを探す旅」
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬/若林正恭

――キューバ旅行の部分のみで構成されている単行本は2017年の出版ですが、改めて、なぜ初の海外旅行がキューバだったんですか?
今の東京……資本主義や新自由主義の下での東京では、商品と広告が溢れて、競争に勝つことや富を蓄積することで「勝ち組」になれるシステム。そんな中、100%自己肯定するのは、非常に難しいルールになっていると思うんです。だったら、その真逆のシステム「社会主義国」を見てみたい。そしてどうせ社会主義国なら、陽気な人たちがいるイメージの国に行きたいな、と思って(笑)、キューバを選びました。

若林正恭「本気であれば伝わる、と信じている」

中学時代に読んだ『社会人大学 人見知り学部 卒業見込』は私にエッセイのおもしろさを教えてくれた本で、2022年には『ナナメの夕暮れ』を読みました。

今作は旅行記ということでパリへ行く前に読んだのですが、ただの旅行記ではなくて。自分の生きづらさから抜け出すために考えて、考えて、考え抜いて、行動した先にある景色と言葉を見せてくれている。ああ、好きだなぁと思いました。もっと前に出会いたかったなと思うけれど、私も自分でもがいた先で出会ったからこそ響いたのかもしれないな。



「これからも続いてゆく3人娘の友情と日常」
シェニール織とか黄肉のメロンとか/江國香織

江國ワールドって、浮世離れしているのに淡々としていて、いつ終わってもおかしくない。とにかく自由。それでいて、きちんと記憶に残る物語。

いろんな人生を持った人がたくさん出てきて、”世の中こんな人もいるかもしれない、おもしろいな” と思える。読んでいても「この人だれだっけ」とならず、あくまで3人に主軸が置かれていて、頭の中で自然と人物相関図を描けて読みやすかったです。



「とくべつ ってなんだろう」
さんかく/千早 茜

食べ物小説というよりも、三角関係のお話。

最近、食の描写が立体的でおいしそうな本は、食べ物小説として「食にまつわるお話」とか「生きることは食べること」みたいな、"食" にばかり焦点が当てられた紹介のされ方をしている気がする。そうするとどれも似たようなものに見えてちょっと、”うっ” と思ってしまう。

だけど、この話はちがくて。ちゃんと食べ物以外のところに物語の主軸があって、食描写はそれを浮き彫りにするために存在している感じがある。そのさりげなさがとても好きだ。


「おいしいね」を分かち合える人は "とくべつ" なんだろうか。
それって恋愛においてほんとうに必須なんだろうか。


そんなことを考えさせられる1冊。



「生きることは食べること。
まさに、本著のために存在する言葉だ。」

まだ温かい鍋を抱いておやすみ/彩瀬まる

つい、先ほどとは真逆のことを言います。

「生きることは食べること」というメッセージを、ここまでひしひしと感じた本は初めてでした。

この本には6つの物語が収録されているのですが、物語に登場する人物は文字通り生きるために食べないといけない人が多くて。まさに「あのひと口の記憶」というところを描くために、その「一口」に至るまでの背景、その「一口」を食べるきっかけをくれた人との関係性が一話一話、しっかりと描かれていて、すごく好きでした。

実は「2023年12月の読書記録」に登場予定だったのですが(公開が遅れに遅れてすみません)、思わず一話ずつ感想を書きそうな勢いでした。

「ひとり暮らしの家に持っていく本リスト(仮)」を鋭意作成中なのですが、そちらにも確実に入ってくる、そんな一冊です。



「他者への羨望や嫉妬は、持っていてもいいんだ。」
どうしてわたしはあの子じゃないの/寺地はるな

生きていくうえで、この本に出会えてほんとうに良かった。

「こんな醜い感情を抱くなんて」と自分を嫌になって責めることが、これからもきっとある。その度に、何度でもこの本を開いて、救われるのだと思います。

「この本のこの一言に」というような、絶対的に決定的な言葉があるわけではなくて、物語を読み進めていくうちにじわじわと溶かされている、そんな一冊です。



「一穂ミチ版・世にも奇妙な物語」
ツミデミック/一穂ミチ

先ほどまでのように、やさしい物語や言葉で心が救われる感じの小説ではなくて、「え、この先どうなるの?!」とミステリを読むときのようなワクワク感、ゾクゾク感、を持ったエンタメ小説です。読後、別世界から帰ってきたかのような爽快感で「おもしろかった!」と色々な人に薦めたくなりました。

何度でも言いますが、一穂ミチさんは「こんな設定、誰も思いつかない!」というような物語を書くのが上手ですよね。2024年もミチさんの新作を読むのが楽しみです。



「脱皮した彼女は蝶なのか、蛾なのか?」
異邦人/原田マハ

『楽園のカンヴァス』や『たゆたえども沈まず』のように西洋絵画を前面に押し出したアート小説!というわけではありませんが、美術界が舞台の物語で、絵画も出てきます。

だけどそれを吹き飛ばす黒さ!
11月に発売された『黒い絵』がマハさん史上最高の黒さとされていますが『異邦人』も良い勝負。かなり黒く、泥沼だと思います。

だけどそれを押してでも読んでしまう物語の引力。
読後感が良いとは言えないし、万人ウケするタイプの小説でもないのかなと思いつつ、「どうなるんだこれ…」とページを捲る手が止められませんでした。

あと個人的に、関西出身でよく京都に行くので、物語の舞台が京都だったのは想像しやすくて嬉しかったです。



「犯罪を犯した少年は、だれもが教育によってやり直せるのか?」
不可逆少年/五十嵐 律人

言葉に出会うための読書をはじめてから、遠のきがちだったミステリの世界に思わず戻ってきてしまった一冊。

『法廷遊戯』も読みましたが、私は圧倒的にこちらの方が好きです。

法学と心理学が絡まり合いながらも、きちんとミステリとしてラストに向かって伏線回収がされてゆく鮮やかさ。物語を読み終えたあとも読者のもとに残る「犯罪を犯した少年は、だれもが教育によってやり直せるのか?」という、考えさせられざるを得ない問い。お見事です。



その他おすすめ本

最高のアフタヌーンティーの作り方/古内一絵
西の魔女が死んだ/梨木香歩
子どもたちは夜と遊ぶ(上)(下)/辻村深月
冷たい校舎の時は止まる(上)(下)/辻村深月
神様のビオトープ/凪良ゆう
舟を編む/三浦しをん
うたうおばけ/くどうれいん



月1の読書記録はこちら ▽



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今日で私のnoteは 3周年。

490名のフォロワーの皆さま、いつも私のnoteを読んでくださりありがとうございます☺️

本当はこの記事を昨日公開し、今日は改めて自己紹介記事でも…と思っていましたが、間に合わず。この記事にてご挨拶失礼します。


「誰かに相談する前に勝手にはじめていることは、自分が本当にやりたいこと」なのだそうです。

まさに3年前、私は誰にも相談することなく、ひっそりとnoteをはじめました。特別、文章を書くことが好きだという自覚はなかったのに、3年間毎週なにかしらの記事を書き続けていることに、1番私自身が驚いています。

自分のために書いている、とはいえ、フォロワーさんが少なかったり、いつも仲良くしてくださっている方々がいなかったりすれば、きっと早々に辞めていたと思います。私に新しい居場所をくださり、ありがとうございます。


社会人になっても週に1度は何かしら書けたらと思います。
むしろ、ひとり暮らしが寂しくて更新頻度が増える可能性もあります(笑)


3年目の翠も、よろしくお願いいたします💐








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