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月星真夜(つきぼしまよ)
2024年11月23日 06:17
その朝、ウサギは目を覚ますと、夢の余韻を感じながら静かにカーテンを引いた。今にも泣き出しそうな空を見て、彼女はもう一度ベッドに戻ると、温かい毛布にくるまった。その時、部屋の隅に置かれた小さな本棚が、なぜか自分を呼んでいるように感じた。気づけば足がそちらに向き、青い背表紙の絵本に手を伸ばしていた。「こんなお天気の日は、物語の世界に旅しなさいってことね」ウサギは部屋着をふわりと羽織り、窓辺の椅
2024年8月3日 06:39
夕立が降り始めた午後、窓を叩く雨音を聞きながら、ウサギの心は幼い頃の思い出へと誘われていた。野山を駆け回ることが何よりも好きだった彼女は、いつの間にかお洒落な街に憧れるようになっていた。思いにふけりながら、彼女は部屋の隅にある小さな本棚から一冊の本を取り出した。それは、子どもの頃からずっとお気に入りの絵本だった。物語の中で、ちいさいおうちは静かな田園地帯の小高い丘の上に建ち、四季の移ろいを
2024年6月28日 06:02
雨がしとしとと降り続いていた。ウサギは窓辺に腰を掛け、雨音にそっと耳を傾ける。灰色の雲は、降り続く雨にもかかわらず、一向に薄れる気配がない。彼女はぼんやりと外の景色を見つめながら、心の奥に潜む感情を静かに抱きしめていた。彼女はふと何かを思い出したように、本棚に手を伸ばし、一冊の本を取り出した。「雨の日に読むのはこの本ね」その本の表紙には、目を閉じて椅子に座ったおじさんの姿が描かれていた。物
2024年6月18日 06:21
朝から雨が降っている。ウサギは窓の外を見つめ、小さくため息をついた。「雨の日が嫌いってわけじゃないんだけどね」灰色に煙った外の景色は、いつもより少し寂しく見えた。「こんな日には、あの絵本が読みたいわ」彼女は窓から離れて、小さな本棚の前に立った。揺れる瞳で背表紙をなぞると、その中から一冊の絵本を取り出した。そして窓辺に腰を下ろすと、柔らかい雨音を聴きながら、ゆっくりとページをめくり始めた。
2024年4月24日 06:44
今朝は雨が降っている。ウサギは部屋の窓辺に座り、じっと雨の音に耳を傾けていた。彼女の目の前で窓ガラスを伝う水滴は、それぞれが小さな旅をしているかのようにゆっくりと動いていく。窓から見えるいつもの景色は、雨の日は少し特別に見える。彼女は、そんな雨の日が好きだった。ウサギはふと思い出したように、本棚から一冊の本を取り出した。「雨の日に読むなら、この本だね」と彼女は呟いた。その本の表紙には、一輪の赤